米国防省が2017年7月末に予定された次世代ステルス戦闘機F35の開発試験完了日程が"非現実的"であるとし、1年ほど遅らせるべきと米議会に報告した。韓国でも2018年から4年間、毎年10機ずつ空軍用F35Aを導入することにした状況で、米国防省の報告書は、開発費用の増加で韓国のF35購入費用が増えるのはもちろん、韓国が最終的な性能評価を経ない兵器を抱えることになる恐れがあることを示唆する。
報告書に操縦席の射出など重大な欠陥
予め購入公約をしないよう勧告も
米空軍が搭載ソフトウェアに「使用不可」
韓国、検証を経ない兵器購入することに
開発延期時は購入費用も増大
米国防省内の独立的な評価機関である試験評価局は、1日(現地時間)に提出した年例報告書を通じ、全般的にF35の開発試験の日程が遅れていると判断した。報告書はF35の開発試験の日程が遅れている最も主要な理由として、F35に搭載するソフトウェアの開発が遅れている点を挙げた。ロッキード・マーティン社が主製作社となるF35はステルス機能以外にも「飛ぶコンピューター」と呼ばれるほど、すべての作戦を高性能コンピューターとソフトウェアを通じて遂行するため、ソフトウェアがF35の性能を左右する。
報告書は、韓国でも導入予定の空軍用F35Aに搭載する実戦の前段階のソフトウェア「ブロック3i」の3番目の開発試験飛行が、昨年10月に実施されたとし、これは2012年に再調整された日程より8カ月も遅れていると明らかにした。報告書は「ソフトウェアの欠陥と新しい航空電子工学的問題のため、開発試験は引き続き難航している」と伝えた。実際に報告書は、米空軍が昨年12月のブロック3iで「レッド」(使用不可)等級をつけたと公開した。
こうした理由から報告書は、現在の傾向を考えると早くても2018年1月、遅ければ2018年5月に開発試験を終わらせると見込んだ。さらに、これまで100の試験項目当たり、修正すべき新たな項目が平均5個ずつ追加で出された点を考慮すると、2016年の開発試験の過程でも新たな問題が引き続き発見されると報告書は明らかにした。この場合、開発日程はさらに増えるものと予想される。報告書を作成したマイケル・ギルモア試験評価局長は「F35合同プログラム事務局(JPO)は2017年7月までの試験開発日程が非現実的であることを認めなくてはならない」と日程を1年ほど先送りすることを勧告した。
また報告書は、修正が必要な重大な欠陥が発見されており、同事務局が提案した「ブロックバイ(block buy)」を慎重に検討することを国防省に勧告した。ブロックバイは、国防省など兵器購入機関が今後の日程や単価予測の便宜性を考慮し、検証が不十分な兵器についても、一定の機数を予め購入する公約をいう。
報告書には、「空を飛ぶコンピューター」「航空工学の完結版」と言われた、これまでの華やかな修飾語に相応しくないF35の致命的な欠陥がそのまま記されている。
第一に、報告書は非常状況で操縦士が脱出できる操縦席の射出問題と関連した模擬実験が、昨年7月と8月に2回実施されたが、人体模型を成功的に射出させるのに失敗したと明らかにした。
2015年7月に施行された模擬実験では、46.7キロの人体模型が3世代ヘルメットをつけて160ノット(秒当たり82メートル)の速度で脱出する試験をしたが、首の負傷回避基準を充たすのに失敗した。1カ月後の昨年8月に人体模型の体重を61.7キロに引き上げたが、やはり基準を満たせなかった。
連続的な失敗後、同事務局は体重61.7~74.8キロの操縦士しか飛行できないよう制限した。しかし、報告書は「この場合でも死亡率23%などの数値になることをもとに、同事務局は依然として危険レベルを『深刻』と表示した」、「(それでも)事務局は操縦士がこの程度のリスクは受け入れなければならないと決定した」と伝えた。操縦士の生命と直結した決定が恣意的に行われていることを示す事例だ。
第二に、F35Aの戦闘能力は最先端に似合わず、戦闘機の兵器装着庫が熱に弱いことが明らかになった。まず、離陸前に地上の外部温度が32.2度を超える状況で10分以上兵器装着庫の扉を閉ざしておくと、兵器装着庫の熱気が上がってくることが明らかになった。さらに高度7.6キロ以下で高速飛行を行う場合も、兵器装着庫の温度が上がるという事実が明らかになった。兵器装着庫の温度を下げるため扉を開けばF35のステルス機能はなくなる。気象条件や飛行環境により操縦士の任務遂行を難しくさせ、むしろ敵に露出する恐れがあることを意味する。
第三に、燃料を満タンにした場合、F35Aは3.8G(重力加速度)以上は出せないことが明らかになった。少なくとも45%以上の燃料タンクが空いていなければ7G以上に拡大できないというのだ。戦闘機は作戦中に、急旋回、急下降、急上昇などを行う過程で重力加速度が上がるが、燃料を満タンにしたら、F35の機動性が大幅に劣ることになる。これは戦闘機必須機能である「近接航空戦」の力量が十分でないことを物語っている。
第四に、兵器を発射するためにはF35Aの最大速度をマッハ1.6から1.2に落とすべきだと報告書は明らかにした。これは防御や追撃戦の際、致命的な問題を引き起こす恐れがある。
韓国語原文入力:2016-02-06 00:14