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[ニュース分析]分裂した韓国野党勢力…「美しい敗北」など存在しない(下)

登録:2016-02-06 01:31 修正:2016-02-06 06:55
野党勢力が首都圏で連帯できなければ
与党勢力の「歴代級勝利」は阻めない
4月総選挙を控え相対的に議席が少なくなる湖南地域の議席をめぐり分裂した野党の現実と与党の姿を描いたイラスト=キム・ヨンフン記者//ハンギョレ新聞社

地方区全体議席の半分が首都圏
非首都圏を全て合わせて嶺南(ヨンナム)と同じ
それでも、すべての関心は湖南に集中

セヌリ党は首都圏で30%取っても過半数
日本の自民党のような永久執権体制に進入する可能性も

“親朴”公認を巡りノイズはあるが
“愛国”の前では分裂の可能性はなく

どうでもよい名分攻防の末に離別した野党勢力
ヨーロッパ式多党制を口実に分裂の責任を回避
損得計算にこだわり連帯成否は暗い見通し

 野党勢力は首都圏議席の70%を確保できるだろうか? 不可能だ。 2004年の17代総選挙で当時の「開かれたウリ党」が首都圏で76議席(70%)を取ったことがある。 盧武鉉大統領弾劾の逆風という特別な状況のためだった。 今回の4・13選挙で野党勢力はセヌリ党の過半数議席を阻止できない。文在寅(ムンジェイン)前代表は、目標設定を誤った。

 首都圏はむしろ与党が圧勝する可能性が高い。 野党勢力の分裂はセヌリ党にとってチャンスだ。近頃は国会とセヌリ党党舎にはセヌリ党予備候補らが詰めかけている。 党内ライバルに対する非難もはばからない。 セヌリ党の公認を得れば当選の可能性が高いと見るためだ。 2008年の18代総選挙の時と雰囲気が似ている。当時ハンナラ党は首都圏で81議席(73%)を占めた。

 セヌリ党が首都圏で70%の議席を占めればどうなるだろうか。 概略計算でも“200”という数字が出てくる。 200議席であれば国会に日本の自民党のような保守既得権永久執権体制ができるということだ。 国会先進化法が無力化されるのはもちろんだ。

 信じられない? 簡単な算数をしてみよう。 1996年の15代総選挙の結果は、新韓国党139、新政治国民会議79、統合民主党15、自民連50、無所属16だった。 新韓国党と自民連を加えれば189議席だ。

 2008年の18代総選挙の結果は統合民主党81、ハンナラ党153、自由先進党18、民主労働党5、創造韓国党3、親朴連帯14、無所属25だった。 ハンナラ党、自由先進党、親朴連帯に親朴無所属連帯の12を加えれば197だ。

 与党と野党は選挙に臨む戦略や態度でも差が生じる。 朴槿恵大統領と金武星(キムムソン)代表は“親朴”公認を巡って戦争中だ。 だが、セヌリ党の親朴と非朴勢力が分裂する可能性はない。 その理由は何か。

 朴槿恵大統領と金武星代表は共にいわゆる“愛国勢力”だ。愛国勢力は韓国の経済を生かし統一に備えるためには自称保守右派が一貫して執権しなければならないと信じている。 政権が変われば国が滅ぶと信じて疑わない。 国を守るためにも保守が分裂してはならないというのが彼らの思いだ。 愛国という名分を既得権守護という損得計算と一致させているわけだ。

 野党は事情が全く異なる。 文在寅と安哲秀はどうでも良い名分争いの末に離別した。 その後、両党は分裂フレームの呪術にかかったゾンビのように行動している。 なぜそうなるのか。

 ヨーロッパ式の多党制が分裂フレームの一軸を構成している。 ヨーロッパ式多党制は韓国の政治現実とは距離の遠い理想論だ。 ところが2017年の大統領選挙に備えて全国組織を構築しなければならない安哲秀議員の損得計算、今回落選しても自身の名前を知らせ野党勢力内のライバルを除去した後に4年後をにらむことができるという出馬希望者の損得計算が絶妙に一致する。 したがって野党圏は今後の連帯が難しいと判断される。

 「与党勢力団結―野党勢力分裂」のフレームが流通する通路はマスコミだ。 親与党指向の一部新聞や総合編成チャンネルが中心だ。 最近、総合編成チャンネルでの討論によく使われる素材は共に民主党と国民の党が行っている野党勢力の主導権争いだ。 与野党対立の構図は見せようとしない。

 小説家のポク・コイルは最近「民乱の追憶」というコラムで「安哲秀現象は本質的に民乱」として「特に安議員は『総選挙で野党勢力の連帯はしない』と宣言し、自身が失敗に学ぶ政治家であることを見せてくれた」と褒め称えた。

「2党体制の克服はできるのか」
20年ぶりの国会3党体制への挑戦…
安哲秀『今回が最後の機会』
「安哲秀の国民の党、野党勢力連帯をやめてこそ2党構図を壊せる」

 国民の党創党の翌朝、ある新聞の1面トップ記事、3面トップ記事、社説のタイトルだ。 ヨーロッパ式多党制を口実にした野党勢力分裂フレームは選挙が近づくほど一層強烈になるだろう。

 結局、与党勢力の完ぺきな団結と野党圏の分裂、そして与党勢力の勝利を祈念するマスコミの支援の下で行われる4・13総選挙は、与党に“歴代級勝利”を、野党に“歴代級敗北”を抱かせる可能性が高い。

 専門家たちはどのように見ているか? セヌリ党と国民の党の事情に明るい戦略通に助言を求めた。

 「金泳三(キムヨンサム)政権以後、政治はますます国民と乖離している。『彼らだけのリーグ』に転落した。 変化が必要な状況で、おりしも安哲秀新党が出現した。 安哲秀新党の政治革新が成功するためには、絶対にセヌリ党から嶺南地域の中道保守勢力を奪取しなければならない。 ところが忠清地域の中道勢力さえ取り込めずにいる。 そのうえ湖南地域を席巻する可能性もない。 安哲秀議員はこのような難関を突破できるリーダーシップを備えた人ではない。 4・13総選挙で院内交渉団体の構成には成功しても、政治地形を変えることはできないだろう。残念だ」

 彼は共に民主党と国民の党が首都圏で連帯しなければ野党は完敗すると予想した。そして選挙後の朴槿恵大統領とセヌリ党の暴走を憂慮した。

ソン・ハニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/729572.html 韓国語原文入力:2016-02-05 19:30
訳J.S(2561字)

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