地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD<サード>)の配備問題は、2014年6月にスカパロッティ韓米連合司令官が「THAADの在韓米軍配備を米国政府に要請した」と初めて明らかにしたことから始まった。
それ以来、韓国では韓国型ミサイル防衛(KAMD)の米ミサイル防衛(MD)への編入問題が大きく扱われるようになった。 野党と市民社会を中心に中国との摩擦などを理由にTHAAD配備反対論が出てきて、セヌリ党のユ・スンミン議員など与党では北朝鮮のミサイル脅威などを挙げてセヌリ党配備賛成論が提起された。
中国政府も公開的に繰り返し在韓米軍のTHAAD配備に対する反対を明らかにするなど、韓中関係にも緊張が及んだ。 昨年2月、中国の常萬全・国防長官はソウルで韓国のハン・ミング国防部長官に会い、THAAD配備に対する憂慮を伝えた。 その翌月には中国外交部の劉建超次官補が韓中外交部次官補協議でTHAADの朝鮮半島配備問題を取り上げ、「中国の関心と憂慮を重視することを望む」と圧迫した。 北朝鮮の4回目の核実験後、中国外交部の華春瑩報道官は「いかなる国も自身の安全を図る時には他国の安全、利益、地域平和、安定についても考慮しなければならない」としてTHAAD配備反対を明確にした。
韓国政府はこの問題が論議されるたび、THAAD配備と関連した米国からの協議要請はなく協議もしていないとし火消しに忙しかった。 米国がTHAADの配備を決めた後に協議を要請すれば、国益と安保の両次元で検討するという方針を繰り返した。
米国はTHAADの朝鮮半島配備と関連して、奇妙な二重プレーを続けてきた。 2014年9月、当時のロバート・ワーク国防副長官が、米国外交協会(CFR)主催の懇談会でTHAAD配備と関連して「韓国政府と協議している」と話し、韓国政府は「事実でない」と否定すると、米国務省が後に協議の事実を否定した。 米国政府は以後、THAADと関連して「韓国政府との協議はしていない」という公式見解を維持してきた。 しかし米国は実際にはTHAADの朝鮮半島配備準備を進めた。 在韓米軍は昨年3月に資料を出して「韓国にはTHAADシステムが配備される可能性がある場所があり、将来可能な配備に備えて適切な場所を探すための非公式調査が実施された」と明らかにしたことがある。