朴槿恵(パククネ)大統領が13日、談話発表に続く記者会見で、米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島配備問題と関連し、「在韓米軍のTHAAD配備問題は、北朝鮮の核とミサイルの脅威などを考慮し、私たち(韓国)の安保と国益に沿って検討していく」とし、「(配備するかどうかの)基準はそれだけだ」と述べた。朴大統領が野党はもちろん、中国の強い反発が予想される「THAAD配備の検討」を直接言及したことから、問題になりかねない発言だ。
朴大統領はまた、国内の一部で戦術核兵器の保有を求める声が高まっていることに、「今、私たちも戦術核兵器を持つ必要はあるのではないかという主張については、十分理解できる。緊迫した状況だからこそ、そのような主張も出てくるのだろう」としながらも「しかし、これまで私たちがずっと国際社会に言ってきたことがあるため、それは国際社会との約束を破ることになるだろう」と述べた。
朴大統領が同日核保有論やTHAADの配備について発表した方針は、政府の既存の態度とあまり変わらないものだ。ただし、大統領が直接「安全保障と国益に基づいて検討する」余地を残した点が目を引く。
米国の軍需メーカー、ロッキード・マーチン社が開発したミサイル防衛用の迎撃手段であるTHAADは2014年6月、カーティス・スカパロッティ韓米連合司令官が「本国にTHAADの朝鮮半島展開を要請した」と明らかにしたことで、議論になった。しかし、中国政府がTHAADの導入を自国を狙った兵器として認識し、韓国政府に懸念を表明したことで波紋が広がり、国内でもTHAADの配備をめぐって賛否が分かれた。
問題が大きくなると、政府は「米国政府の配備要請があれば、安保と国益を考慮して決定する」という公式見解を明らかにした。朴大統領が同日、THAAD配備の基準として「安全保障と国益」を再確認したのも、このような内外の議論を意識した発言と思われる。大統領が「検討」という言葉を直接言及したことをめぐり、様々な解釈が出てくる可能性がある。
THAAD問題は依然として“火中の栗”だが、実際の議論はまだ足踏み状態にあることが分かった。国防部当局者は「THAAD配備と関連して米国から協議を要請されたこともないし、米国政府も何も決まっていないと聞いている」と述べた。しかし、軍では、在韓米軍がTHAADを導入することに対する抵抗感があまりない。実際に、キム・グァンジン大統領府国家安全保障室長は、2014年6月、国防部長官時代、国会の対政府質問で「在韓米軍がTHAADを戦力化することは構わない。ただし、私たちが購入し配備する計画はない」と述べている。ハン・ミング国防部長官も同年10月、国会で「THAADが配備されると、在韓米軍だけでなく、韓国の防衛にも大きく寄与すると思う」と述べた。
核武装と関連し、朴大統領は、主に「戦術核兵器」に言及した。しかし、文脈からして、最近、セヌリ党を中心に浮上した独自の核武装論と米軍の戦術核兵器導入論の両方を狙った発言と思われる。戦術核兵器とは戦術的な面から大砲や短距離ミサイルなど搭載して発射できる核爆弾のことを言う。米軍は、1960年代末から韓国にアーネスト・ジョン・ロケット、8インチ核大砲などを導入したが、北朝鮮に核兵器開発の名分を与えないために、1991年にすべて撤収させた。
朴大統領は、朝鮮半島で核を容認しない根拠として、国際社会との約束と、米軍の核の傘の提供などを挙げた。核武装は、核拡散禁止条約(NPT)に違反であるため、国際法違反となる。国連安保理の制裁と韓米同盟の亀裂を覚悟しなければ不可能である。戦術核兵器の導入も、米国の核戦略の変化がなければ可能ではないため、実効性がない主張だ。核兵器の導入と配備を禁止した朝鮮半島非核化共同宣言に対する違反でもある。朴大統領の同日の発言は、このような事情をあまねく考慮したものと見られる。
韓国語原文入力:2016-01-13 21:06