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韓国の自殺者9割が死亡前にシグナル

登録:2016-01-27 08:02 修正:2016-01-27 14:46
政府機関が自殺心理分析結果を公開
自殺者121人の心理分析結果//ハンギョレ新聞社

「私がいなければ」など言語的信号
睡眠・食欲の変化など行動でも表出
遺族10人のうち7人が理解に遅れ

74%が職業、69%が家族とのストレス
福祉部、予防ゲートキーパーの教育拡大
来月、精神健康総合対策を発表

 「私がいなくなったら君はどうやって暮らしていく」。なんの脈絡もない質問だった。幼い子供に突然理解し難い説教をすることもあった。「大変な世の中だから、兄弟どうし助け合って生きていかなくちゃだめだ」。夫が亡くなった後、妻はそうした言葉がすべて警告のシグナルだったことを思い知った。会社生活での困難を訴えていたK氏は、ある日、出勤途中で自殺した。

 自殺を防ぐことはできないのだろうか。自殺で亡くなった人たちの最後の動きと周辺の陳述を通じ、自殺の原因を糾明する心理分析は、こうした質問の答えになる。フィンランドでは1987年の高い自殺率に対する特別な処方として、1年間発生したすべての自殺事件(1397人)の心理分析をした。その後に国家的な自殺対策が続き、1990年に人口10万人に30.2人だったフィンランドの自殺率は、2012年に15.8人に47.7%減った。

 国内でも、2014年に開設された保健福祉部傘下の中央心理剖検センターが最近、過去4年間で自殺で死亡した20歳以上の韓国人121人の心理分析結果を26日公開した。警察や精神健康増進センター等を通じ遺族を説得したが、参加者はそれほど多くなかった。保健福祉部担当者は「まだ自殺に対する通念が強く、遺族が自殺した事実そのものを言えずに一人で悩んでいる場合多い」と話す。

 調査結果、故人は失職や家族の死亡など、人生の様々な困難に直面していた。自殺で死亡した人の10人のうち3人(28.1%)は、家族の自殺や自殺企図を体験したことがあった。54.5%は死亡するまでの3カ月間、無職状態で、73.6%が失職・離職などの「職業ストレス」を体験していた。家族との葛藤や家族の病気・死亡など「家族ストレス」を体験していた人は69.4%に達し、夫婦の不和、別居、離婚など「夫婦関係ストレス」も46.3%が体験していた。

 心理分析対象者の93.4%は自殺前に警告シグナルを送っていた。「私は先に行くから、元気で暮らしていってくれ」といった話のように、死に直接言及したり、「消化が良くならない」などの身体的な不便を訴える場合、「天国はどんな所なんだろう」といった死後の世界に憧れるような話などは、すべて自殺について考えていたり、自殺の意図があることを示す兆候と思われる。警告シグナルはこうした言語的信号だけでなく、睡眠状態や食欲、体重の急激な変化、財産を整理して家族に譲り渡すなど周辺を整理する場合、急激な飲酒や喫煙などの行動、突然泣いたり無気力な情緒として現れることもある。

 しかし多くの場合は、警告のシグナルの正確な意味が遅れて家族に理解されていた。調査に応じた人のうち67%は、死亡後に警告のシグナルを理解し、14%はシグナルがあったかすら分からなかったと答えた。

 自殺死亡者の多く(88.4%)は憂鬱障害や中毒障害など心の病に罹っていたが、まともな治療を受けた比率は15%に過ぎなかった。一部(25.1%)は精神医療機関や精神健康増進センターの相談を受けていたが、それを上回る人たち(28.1%)が睡眠・消化障害など症状が現れると1次医療機関や漢方医院しか訪ねていなかった。自殺の事前兆候を察知することを助ける「自殺予防ゲートキーパー」の教育が重要なのはこのためだ。

 チャ・ソンギョン保健福祉部精神健康政策課長は「過去3年間に16万5千人ほどがゲートキーパー教育を修了しているが、今後は警察、教師、軍人などの職群から徐々にゲートキーパー教育を広める」とした上で「精神疾患の早期発見システムを準備するなど、今回の心理分析結果を基にした精神健康増進総合対策を2月中に出す予定」と明らかにした。韓国の自殺率は人口10万人当たり28.5人(2013年基準)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国で11年間1位だ。

オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-26 21:21

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/727957.html 訳Y.B

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