登録 : 2016.01.15 12:22 修正 : 2016.01.15 16:20

[週刊ハンギョレ21] 
申惠ボン・青山学院大学法学部教授(ボン=横線三本に縦線)

チョ・テヨル外交部2次官が29日午後、京畿道広州市の「ナムヌの家」を訪ね、日本軍慰安婦被害者問題解決のための韓日政府の合意に対する政府の立場を説明するのに先立ち、慰安婦被害ハルモニたちに頭を下げ挨拶している=広州/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社
 「(合意内容には)性奴隷という言葉も入っておらず、慰安婦問題が国際法上の犯罪だったとの認識もない。にもかかわらず、まるで解決したかのように朴槿恵(パククネ)政権がなぜこんな合意をしたのか、私としては残念でならない」

 国際法・国際人権法が専攻の申惠ボン(シンヘボン)教授(50)は、韓国政府の合意責任をまず言及した。「両国間で『喉に刺さった骨』のような懸案だった慰安婦問題では、特に日本政府が、これ以上韓国からも国際的にも非難されたくないという思いがあった。それは真剣に問題の深刻性を認識し、被害者のために決断したというより、日本の体面のためのものだったという側面が大きい。『次の世代の子供たちに謝罪を続けさせる宿命を負わせてはならない』という安倍首相の話に、そうした姿勢がよく表れている」

 在日コリアン2.5世の申教授は、日本の国際人権法学会理事長でもある。父は済州、母は日本で生まれ育った。1月4日、「第3回国際人権冬季講座:人権とアジア2016」(ソウル大人権センター主催)初日の招請講師として韓国を訪れた申教授に会い、その後、電子メールを交わす書面インタビュー形式で内容を補填した。

■政府が個人の権利を消滅させることはできない

在日コリアンの申惠ボン・青山学院大学教授は「朴槿恵政権の12・28合意は残念」と指摘した=チョン・ヨンイル記者//ハンギョレ新聞社

 12・28合意を条約とみなせるのか、申教授が断言することはなかった。あまりに曖昧な部分が多く、問題がより複雑になったという。

 「国際法上の条約は『条約法に関するウィーン協約』第2条1項で、国家間に文書の形式で締結され国際法によって規律される合意と定義されている。したがって今回の合意にウィーン協約は適用されない。ただし、ウィーン協約も文書の形式でない国際的約束の法的拘束力自体は否定していない(第3条)。例は少ないが、文書の形式でない口頭の合意が国際的合意として認められた判例もある。韓日政府が文書を作成しなかった理由は、おそらく日本政府が、今も法的には1965年の韓日請求権協定で解決されたという立場に固執しているためだろう。しかし、韓日請求権協定により解決されたという主張には根拠がないと日本の研究者も指摘しており、私もそう主張してきた」

 両国政府が合意したとしても、被害者たちの法的権利を奪うことはできないと申教授は強調した。「今回の合意は口頭の合意ではあるが、国際的合意として両国間で法的効力を持つ。しかし、被害者が加害国の責任(事実の認定、損害賠償、歴史教育を含む“満足”措置)を問うことを防ぐことはできない。それは人権侵害被害者の剥奪できない権利だ」

 申教授は国際法でも問題が多い合意だと指摘した。「重大な人権侵害に対する責任を解決することを目的とする合意としては、含まれねばならない内容が非常に不足している。被害者の苦痛をできるだけ除く、国際法上の“満足(satisfaction)”に結び付く措置を取ることが不可欠だ。また今回の合意は、法的責任を曖昧にしたまま基金を設立するとしており、1990年代の『アジア女性基金』と似た問題を繰り返している。必要なのは国家として違法行為の責任を認め、それを土台にする賠償をすることだ」

 申教授は合意を反故にする可能性についてこう話す。「もし韓国政府が国内世論に押され今回の合意を反故にしようとしても、日本政府は“不可逆的”という強い表現を使った以上、容認しない態度を示すと予想される」。被害者の同意や協議なしに合意がされた背景については、「韓国政府は、被害者の気持ちを理解してあげながら、安倍政権を相手に被害者の要求をそのまま貫徹するのは無理だと考えたことだろう。10億円拠出を条件に少女像移転問題を言及するなど、日本政府の態度も非常に傲慢だ」と語った。

 日本でも「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」や被害者の立場で問題に関与してきた良心的な弁護士たちが合意発表後に声明を発表した。被害者が受け入れられる内容と形の具体的な措置を求めたのだ。申教授もこうした声明の立場に同意だと明らかにした。「日本では安倍政権が韓国政府の譲歩を引き出し、外交的成果をあげたという評価もある。反面、慰安婦問題自体が嘘だと声高に主張してきた一部の国家主義者が、安倍政権に失望する反応を見せている」という。「国際法から見れば、ジュネーブ協約が保護する人の権利を、当事国の間の条約で否定できない。国民のために国家が行使する外交保護権は、国家の権利として存在するだけのことだ。個人の権利は別にある。政府の合意だけでそれを消滅させることはできない」

チョン・ジンシック、ホン・ソクチェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-14 14:57

http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/726183.html?_fr=mt1訳Y.B

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