北朝鮮の4回目の核実験後、強硬一辺倒の韓国政府に、中国政府が強力な“牽制球”を投げた。王毅・中国外交部長は、ユン・ビョンセ外交部長官との70分間にわたる電話会談で、遠回しながら強いメッセージを送った。朴槿恵(パククネ)大統領と習近平・中国国家主席との間では、10日までに電話会談すら実現していない。
王毅部長、ユン・ビョンセ外交部長官と70分間通話
非核化3原則を再確認し「交渉への復帰」を強調
拡声器放送など韓国の対応と明確な違い
専門家「3回目の実験当時の制裁レベルになるだろう」
王毅部長は「北朝鮮の核問題が様々な紆余曲折を経たが、中国は一貫して朝鮮半島の非核化の実現、朝鮮半島の平和と安定の守護、対話を通じた(平和的な)問題解という三つの原則を堅持している」と8日の夜に行われた電話会談でユン長官に強調した。王毅部長が言及した「3原則」は目新しいものではない。中国政府が北朝鮮の核問題と関連していつも強調している公式の方針だ。
中国政府が韓国政府に伝えようとした主なメッセージは、3原則そのものではない。王毅部長は「この三つは互に繋がっており、一つでも欠けてはならない。核問題の交渉軌道への復帰を進めるべきだ」と強調した。「一つでも欠けてはならない」という発言には、韓国政府に求める2つの“注意事項”が込められている。第一に、国連安全保障理事会における対北朝鮮制裁の議論と共に、6カ国協議の再開など、対話と交渉を通じた問題解決を図るべきである。第二に、韓国政府の対北朝鮮拡声器放送の再開は、南北の軍事的対決と衝突を引き起こしかねないため、「朝鮮半島の平和と安定の守護」にあまり役に立たないという指摘だ。外交的修司で包まれているものの、非常に強いメッセージだ。実際、政府関係者は10日、「『一つでも欠けてはならない』という王毅部長の言及は、非常に強い意味」と指摘した。
王毅部長の言及は、「北朝鮮に相応する対価を支払わせなければならない。国際社会の意志を行動で示すべきだ」というユン長官の呼び掛けに、そのまま応じるわけにはいかないという答えだ。これに先立ち、中国側の6カ国協議首席代表である武大偉・朝鮮半島事務特別代表は8日、韓国側の6カ国協議首席代表であるファン・ジュングク朝鮮半島平和交渉本部長との電話会談で 「これまでとは異なる強力な対応」を求めたファン本部長に対し、「適切に対応」すべきと答えた。ユン長官と王毅部長は韓中6カ国協議首席代表協議を近いうちに開くことにしたが、これは中国側の要求によるものと見られる。
さらに、北朝鮮の4回目の核実験後、対北制裁と関連した韓中協力を強化しようとする朴槿恵政権とは異なり、中国政府は韓中協議を避けているような雰囲気だ。ハン・ミング国防長官は7日、国会国防委員会で「韓中国防長官の間に設置されたホットラインで、中国国防部長と通話を進めている」と述べたが、10日午後まで実現されなかった。大統領府は習主席との通話をはじめ、中国と協力を多角的に模索しているという見解だけを、繰り返し表明している。
朴槿恵政権を当惑させる中国政府のこのような態度は、朝鮮半島情勢に対する戦略的判断によるものと見られる。北京大学の金景一教授は、ハンギョレとの電話インタビューで「中国は北朝鮮体制の不安定性が増幅し、緊張が高まることで、南北関係が予測不可能な状況に陥ることを望んでいない。中国は米国や韓国が望む方向(強硬な制裁)には進まないだろう」と述べた。匿名の中国の国策研究院の関係者は、「今まで出てきた中国政府の公式反応を見ると、北朝鮮の3回目の核実験以降の制裁レベルを超えないと思われる」とし「中国が、米国が求めているような制裁をすべて行ったとして、中国の国益に何か得になることでもあるだろうか?例えば、強力な制裁で北朝鮮体制が崩壊すれば、大規模な難民は鉄柵がある韓国より中国で押し寄せるだろう。まだ中国は北朝鮮が持つ地政学的価値を無視できない」と述べた。中国内部では、米国が“北朝鮮問題”を口実に、北東アジア地域の情勢に介入し続けることで、中国を牽制し、封鎖しようとしているという認識が根強い。
韓国語原文入力: 2016-01-10 21:56