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[コラム] 北朝鮮核問題への理性的アプローチ

登録:2016-01-11 00:30 修正:2016-01-11 07:13

 「心配ないよ。かえって安定するだろう」。米国の著名な国際政治学者ケネス・ウォルツが生きていればそう言っただろう。 ウォルツは多くの国家が核兵器を持てば、かえって平和が訪れるだろうと語った。 彼は『核平和論』で核兵器とは「報復されるかもしれないので攻撃できない」、それで「狂っていなければ使えない兵器」と述べた。 もちろん「誰もが同じように考えるだろう」というウォルツの理論は間違っている。 世の中は合理的でなく、政府は理性的でない。

 朝鮮半島を見よ。 核兵器は絶滅の危機を持たらしうる、従って争いの火種を消すべきなのに、むしろ在来式衝突の可能性を高める。 北朝鮮の核抑止力はむしろ地域の不安定を激化させている。 韓国との外交が途絶えて8年を超えたが、解決するつもりはなく非難ばかりしている。 対北朝鮮政策を修正すると言っているが、対北朝鮮政策が存在したことがあるのか? “反米”を言うわけでもないのに核武装を主張する水準以下の政治家も必ず一人か二人は登場する。 平常時には中国封鎖に乗り出した国家が、北朝鮮が核実験をしたと言って中国ばかりを眺めている。 中国の対応が過去と違うと言って大声を上げるが、国連安保理の制裁水準は中国が受け入れる強度で決定される。

 一度騒ぎが静まれば米国は再び傍観し、韓国は突拍子もない統一の話を続けるだろう。 すると、北朝鮮は技術的欠陥を補完して5回目の核実験を行うだろう。 これが私たちが体験し、また今後体験する北朝鮮の核問題だ。 この見るのもうんざりする連続ドラマの再放送で変わることが一つだけある。それは北朝鮮の核能力だ。 核物質と核兵器の数は増え、近い将来ミサイルに搭載できる程に核兵器は小型化されるだろう。 そんな北朝鮮の核保有を傍観していて良いのか?

 核問題の本質を理解できなければ解決方法を見つけることはできない。 北朝鮮が核兵器を持とうとする理由は、かつての韓国の朴正煕(パクチョンヒ)政権や台湾の蒋経国政権が核兵器を開発しようとしていた動機と違わない。 恐怖のためだ。 侵略されるやも知れないという不安感だ。 だから北朝鮮の核兵器は朝鮮半島冷戦体制の産物であって、その逆ではない。 重要なことは核兵器ではなく、関係の性格だ。 敵対関係を清算しなければ北朝鮮は核兵器を放棄しない。 インドとパキスタンのように核兵器を持っても在来式局地戦争が起き、反対に両国関係が良くなれば核兵器はもはや脅威にならない。 アルゼンチンとブラジルのように友人になれば互いに核兵器を持つ理由もない。

 力で北朝鮮の核兵器をなくすことができるという考えは、一方的で根拠がなく非現実的だ。 2003年のリビアが、あるいは2015年のイランが、どのようにして核兵器を放棄したか? 強力な制裁の効果だと言うが、明確に別の側面があった。 核を放棄しても生きていける可能性の話だ。 交渉の本質は後先の問題でもなく金の力でもない。 信頼を積んで恐怖を解消する過程が核心だ。 ラテンアメリカやアフリカの非核地帯化もそのような忍耐の過程を経た。

キム・ヨンチョル仁済大統一学部教授=資料写真 //ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の核問題が歩んで来た道を見れば答えが見つかる。 交渉の失敗と言うが、忍耐心を持って交渉をしてみたことがあるのか? 過去25年の北朝鮮の核の歴史で交渉は短かく制裁は長かった。 交渉は時々瞬いたが、制裁の火は一度も消えたことがない。 制裁は北朝鮮を核兵器の開発に催促しただけだ。

 戦争は困難で制裁は効果がない。 野次馬ではなく解決当事者になれば答えを見出すことができる。 道に迷ってさ迷う野党もしっかりしなければならない。 平和が時代の精神であり、無能の逆走は阻まなければならない。 「ミネルバの梟は黄昏に飛ぶ」と言ったが、なぜ権力の「犬」どもばかりがあれほど騒がしく吠えるのか?

キム・ヨンチョル仁済(インジェ)大統一学部教授

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/725493.html 韓国語原文入力:2016-01-10 18:50
訳J.S(1734字)

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