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朴槿恵政権が目指す「時間制拡散」が不平等と貧困を悪化させた

登録:2016-01-05 23:24 修正:2016-01-06 06:44
最低賃金より低い賃金を受け取る労働者の比率…2004年17%→2013年36%

 朴槿恵(パク・クネ)政権が雇用率70%という目標を掲げ、時間制労働者を増やす政策を実施している中、時間制労働者の拡散が韓国社会の不平等と貧困を一層悪化させたという研究結果が出た。

2014年の韓国の時間制労働者の社会保険加入状況 //ハンギョレ新聞社

 韓国保健社会研究院のキム・ヒョンギョン博士チームが5日明らかにした報告書「時間制の働き口の拡散が所得不平等と貧困に及ぼす影響」によると、時間制労働者が多い世帯ほど貧しくなる確率が高いことが分かった。 報告書は「世帯内の就業者数のうち時間制就業労働者の比率が1%増加すれば、時間制就業者のいる世帯が貧しくなる確率が0.08%増加する」と明らかにした。 また時間制労働者の増加が韓国社会の不平等に悪影響を及ぼすという事実も確認された。 そして「韓国の世帯を所得水準により10分位に分けて、時間制就業者の比率増加が及ぼした影響を分析した結果、時間制労働者としての就業が高所得層である9分位より低所得層である1分位でさらに大きな所得減少を呼び起こし、不平等を一層悪化させる効果があることが分かった」と説明された。 今回の研究は1999年から2014年までの労働パネル資料を基に行われた。 研究チームは「韓国における時間制の働き口の増加は貧困脱出を助けられないのみならず、低所得層の賃金を低め全体的に労働所得分布を悪化させる傾向があることを示す研究結果」と指摘した。

 時間制労働者とは、同一の仕事をする労働者より短時間仕事をする労働者のことで、一般的には週に36時間未満働く労働者を言う。 だが、すべての国の時間制の仕事がこのような結果をもたらすわけではなかった。 時間制労働者の比率が39%に達するオランダの場合、時間制就職の拡大が就業者数を増やすと同時に、世帯所得の不平等を減らす効果があることが明らかになった。

 韓国で時間制の働き口の拡散が貧困と不平等悪化につながる理由は、韓国の時間制の働き口の質が極めて悪いためというのが研究チームの説明だ。 実際、韓国の時間制労働者の月平均賃金は2004年に53.9万ウォンであったが、10年が経過した2014年にも66.2万ウォンにとどまった。 2004年に時間制労働者のうち最低賃金より低い賃金を受け取る人は17.2%だったが、この比率は2013年には36.4%に高まった。

 韓国の時間制の働き口は脆弱な集団が進入する働き口という特性も作用したと分析された。 時間制労働者として就業する集団は、主に女性と30歳未満の青年層、中高齢層、そして中卒以下の階層であることがわかった。 時間制労働者全体に占める30歳未満の青年層は2003年の7.4%から2014年には15.5%に増え、中高齢層は同じ期間に14.6%から33.5%に増加した。 朴槿恵(パク・クネ)政権が2013年以後に雇用率70%を目標に掲げ、それを達成するために時間制の働き口を増やすことに重点を置いているため、時間制労働者はさらに増える傾向だ。 統計庁の資料によれば、賃金労働者全体に占める時間制労働者の比率は2003年の6.6%から2014年には10.8%に増えた。

 キム・ヒョンギョン博士は「全日制労働者より短時間働くのでそれに比例して賃金は低くとも、各種社会保険などの福祉は保障され、希望すれば全日制労働者への移動が自由ならば、仕事と生活のバランスを望む人々にとって時間制働き口は選択したい働き口になりうる」と話した。

イ・チャンゴン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/724831.html 韓国語原文入力:2016-01-05 19:56
訳J.S(1594字)

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