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サムスンとLGのスマホ・半導体が停滞 新収益源は「車の家電製品化」

登録:2016-01-04 23:50 修正:2016-01-05 14:18
危機の韓国経済、突破口を探せ 
揺れる製造業

「スマートフォンはもはや汎用商品(commodity)になった」

 サムスン電子のある役員は「ギャラクシーS6エッジ」が失敗した原因に“汎用化”を挙げた。 既存の成功モデルである交換型バッテリーを捨てメタルケースと屈曲画面を装着するために数兆ウォンを注ぎ込んだが、結果は期待外れだった。 大きな変化が消費者にとっては大きな差別性にはならなかったのだ。

サムスン、昨年末に電装事業チームを新設
LG、電気自動車バッテリー強者の地位固め
系列会社製品とのシナジー効果も期待
バイオ・ヘルスケア・太陽光事業など
新成長動力投資にも拍車

サムスン電子とLG電子の売り上げ推移 。資料:金融監督院電子公示、KTB投資証券 (単位:ウォン)//ハンギョレ新聞社//ハンギョレ新聞社

 スマートフォンの不振は売上の下落につながった。 昨年のサムスン電子の売上は約200兆ウォン(約20兆円、 KTB投資証券推定値)で、前年(206兆ウォン)より6兆ウォンほど減る展望だ。 役職員の年俸を凍結し、マーケティング費の縮小などコスト節減を通じて営業利益は1兆ウォン以上増えると見られている。 だが、困難は今年も続くと見られる。 市場の状況が悪化しているためだ。 スマートフォン市場は初めて一桁台の成長率を記録し、平均販売価格(ASP)も一貫して下がっている。 半導体とディスプレイ価格も下落傾向だ。

 数年にわたり売上50兆ウォン台から跳躍できないLG電子も似た状況だ。 スマートフォン市場に対する対処が遅れ、新たな収益源と期待していた電気自動車など親環境自動車部品市場も成長が鈍かった。 携帯電話をはじめ半導体、ディスプレイなどはこれまで韓国経済を牽引してきた親孝行産業だった。 だが、スマートフォンが汎用商品になったように、かつての革新商品が汎用化され、成長は鈍い上に中国やインドなど後発企業の追撃を受けている。

 昨年12月28日、京畿道龍仁(ヨンイン)市のサムスン人材開発院で開かれたサムスングループ最高経営者(CEO)ワークショップでも危機意識がにじみ出ていた。 このワークショップで革新・新成長・挑戦などが経営のキーワードとして提示された。 事業革新を通じて新たな収益源を探そうということだ。 サムスン電子の役員は「新しい経営環境を変化と革新で克服するという趣旨」と話した。 サムスン電子はスマートフォンのモデル数を減らし「物のインターネット(IoT)」で家電・テレビなどと連結し安定した成長を試みる態勢だ。LG電子もスマートフォンでは新興市場の攻略を狙い、家電分野では有機発光ダイオード(OLED)テレビ、ツインウォッシュ洗濯機などのプレミアム製品で武装している。

 新収益源としてはサムスン電子もLG電子も自動車を挙げている。 サムスン電子は昨年末に電装事業チームを新設し、自動車事業に参入した。 まずナビゲーションなどのインフォテインメント分野に進出すると同時に、スマートカーまで拡張すると見られる。 イ・ハング産業研究院先任研究委員は「今後5年以内に自動車の電装部品が50%以上になると予想され、サムスン電子の電装事業進出は当然の手順」と明らかにした。 LG電子は昨年米国の自動車メーカーであるゼネラルモータース(GM)の電気自動車“シボレーボルトEV”に11の部品を供給するなど、サムスン電子より先に始めた親環境自動車部品市場で成果を見せている。 米国のグーグル・アップルが先行している自律走行車市場と完成車メーカーなどが親環境の流れに歩調をそろえて注力している電気自動車市場にサムスン電子とLG電子が部品供給業者として飛び込んだ。 さらに今後は直接生産も可能で、スマートフォンのようにバッテリー・ディスプレイ・発光ダイオード(LED)など、他の系列会社とともにシナジー効果も期待できる。

 この他にサムスン電子はバイオ・ヘルスケア分野を、LG電子は太陽光・エネルギー保存装置(ESS)などに投資して、未来の成長動力として育てている。 今後の人口高齢化にともなうユーザーの利便性を高めることができて、気候変化・親環境などますます重要になっていく産業パラダイムに合わせて事業の方向を変えているわけだ。 既存産業の低成長の中で新たな活力を生み出す姿は、過去の日本の電子事業とそっくりだ。 イ・チピョンLG経済研究院首席研究委員は「日本企業は長期不況を体験して既存製品の差別性を強化し、次世代先端新事業開拓に乗り出した」として、「会社固有の力量に基づいて新製品を開発した富士フイルム、新再生エネルギー事業を準備した東芝のように、急変するビジネス環境に合わせて未来トレンドに対する投資と実行が必要だ」と助言した。

イ・ジョンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/724643.html 韓国語原文入力:2016-01-04 19:35
訳J.S(2067字)

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