サムスン電子は最近、「クリスタル・ブルードアドラム式洗濯機」が欧州各国の消費者評価誌から最高の評価を受けていると明らかにした。昨年9月、LG電子チョ·ソンジン ホームアプライアンス(HA)事業本部長(社長)がベルリンの家電展で破損したと疑われた洗濯機が、市場で好評を受けていることを強調したのだ。これに先立ち、チョ社長は当時の状況を撮影した動画を公開し、意図的に破損したという疑いを否定し悔しさを滲ませた。
両社の洗濯機をめぐる戦いは現在法廷での争いにつながった。両社は、テレビ、洗濯機、冷蔵庫などで長く家電製品市場での熾烈な競争を繰り広げてきた。これにより、一緒に成長してきた肯定的な側面もある。しかし、いまだ優劣をつけ難い競争が繰り広げられる中で、今回の争いが新技術ではなく、プライドをかけた戦いという点で専門家たちの捉え方は必ずしも肯定的ではないようだ。
■長い戦い
1993年7月にサムスン電子の従業員2人が、LG電子の冷蔵庫工場に潜入して摘発された。彼らはLG電子の取引先の名刺を盗用して競合他社の技術を盗もうとした。 LG電子がこれを激しく非難したが、サムスン電子は謝罪しながらも、過去LG電子側もサムスン半導体関連の機密を盗もうとして自認書を書いたことがあると反論した。翌年には、政府が発表したサムスン電子とLG電子の生産量のことで争いが起きた。政府は、冷蔵庫、洗濯機、掃除機ではLG電子が、エアコン、電子レンジではサムスン電子が最多生産したと発表したが、両社は互いにそれぞれの分野で1位と主張した。
競争関係は白黒テレビをはじめ冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどほとんどの製品で続いた。LG電子がサムスン電子を相手に不当に従業員をスカウトしたと訴訟を提起したり(2003年)、逆にサムスンディスプレイがLGディスプレイを相手に技術流出の疑いで告発する(2012年)など、法廷闘争にまでつながった。最近も2013年に冷蔵庫の容量をめぐり訴訟戦を繰り広げたのはもちろん、サムスン電子が出した「家庭用エアコンの国内シェア1位」の広告に、LG電子がくってかかったのも長く続いてきた争いの一場面だ。
慶熙大学パク・ウォンギュ教授(経営学)は「両社が二転三転の技術競争を繰り広げ、お互い補完材の役割をした。その結果、グローバル企業に成長するのに非常に役立った」と語る。熾烈な競争が消費者に得になる場合もある。 2001年12月、LG電子がエアコンの新製品を発売し、10万ウォン相当の小型家電製品を景品として提供することを発表すると、10日後にはサムスン電子が壁掛け型エアコンを買う顧客にキムチ冷蔵庫を景品として提示した。するとLG電子は、サムスンよりも一段階高いキムチ冷蔵庫の提供で対抗した。
■時には協力も
熾烈な競争の中でも、共同の「敵」が登場すると、急速に仲良くなることもある。 1990年代に大宇電子が空気の泡の洗濯機で人気を呼ぶと、両社が口をそろえて攻撃した。
市場を寡占した状態で、八百長(談合)もした。サムスン電子とLG電子がカラーテレビに入るブラウン管の海外市場での価格を談合した事実が2010年明らかになった。国内市場でも2008年に洗濯機、ノートパソコンなどの消費者価格を一定水準に維持するか引き上げることで同意し、2010年には教育機関や公共機関にシステムエアコンとLCDテレビなどを納品する際、共に調達単価の引き上げることを決めた。
■激しくなる競争
競争は1958年に金星社(現LG電子)が設立されてから、11年後にサムスンが電子産業に参入したことの必然的な結果かもしれない。 LG電子創業者の故グ·インフェ会長が、姻戚であるサムスン創業者のイ·ビョンチョル会長の電子産業への進出の話に「(利益が)余るから、やろうとしているのではない!」と怒ったことで争いが始まったと噂されてきた。 1963年に一緒に放送産業を始めようとしたが、LG電子側が姻戚間の不和を未然に防ごうと譲歩したことで、両社間の争いが始まったとの見方もある。
現在、両社の激戦場は家電市場である。かつてサムスン電子が2002年以降4年連続で赤字を記録して放棄説もあったが、後に黒字に転じ、孝行息子の役割を果たしている。 LG電子も携帯電話の不振を家電が埋めるほど、着実に実績を積んでいる。特に、今後のすべての機器をインターネットで繋ぐモノのインターネット(IoT)やスマートホームの中心に家電製品が位置するという見通しが多く、競争はさらに激化する見込みだ。
パク·ウォンギュ教授は「最近の洗濯機争いは新技術ではなく、プライドの戦いであるという点で、消費者は眉をひそめている。感情対立は自制する代わりに、新技術の競争に焦点を合わせるとき」だと話した。イ·ゴンヒ サムスン会長も著書の『ちょっと考えながら世界を見てみよう』で「国内事情を振り返ってみると、私たちはまだ狭い枠の消耗的な争いから抜け出せずにいる。(中略)これからは完勝したり、完敗するゲーム、すべて得るか失うかのゲームではなく、誰もが勝つ共生の知恵を発揮しなければならない」と明らかにした。
韓国語原文入力: 2015.02.23 20:18