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財産譲渡の条件に「親孝行契約書」…韓国最高裁も有効と判決

登録:2015-12-28 23:23 修正:2015-12-29 17:59
今や両親の扶養も契約時代
親孝行契約書 //ハンギョレ新聞社

 息子の結婚を控えているキムさん(56)は、先月同窓会に行って「親孝行契約書」について話を聞いた。 子供に「親孝行」することを条件に財産を譲り、子供がこれを守らなければ財産の返還を求める内容の契約だった。 キム氏夫婦は老後資金に用意しておいた2億ウォン(約2千万円)の現金を息子の貸切住宅保証金として与えようと考えた。 だが、夫がまもなく退職するので、その後は収入がなく老後が心配になった。 息子は1カ月に一度ずつきちんと生活費を送ると約束したが、嫁が果たしてその約束を守るか心配になった。 キム氏は悩んだ末に、今月初め友人の紹介で弁護士事務室を訪ねた。

両親の財産を子供に贈与する代価として
老後の扶養責任を負うよう約束
主に富裕層より中流層の両親
大法院「守らなければ贈与を取消」判決
専門家「口約束だけでは無効
契約条件を具体的に明示することが必要」

 最近、キム氏のように「親孝行契約書」について弁護士に相談するケースが増えている。 チャン・ジニョン弁護士は「富裕層の両親よりは住宅を一軒程度所有している中流層の両親たちが多い。 子供が「事業の元手を支援してくれれば一生責任を負う」と言っているが、どのようにすれば良いかを訊いてくる」と話した。 大法院(最高裁)の統計によれば、経済的に苦しい境遇の両親が子供を相手に起こす「扶養料支給請求訴訟」は2003年127件から2013年には250件で2倍以上増えた。

 最近、大法院は両親を扶養する条件で不動産の贈与を受けた子供が、扶養条件を守らなかったならば財産を返還しなければならないと判決した。 ユさんは2003年12月「親孝行」を条件にソウルの2階建て住宅を息子に贈与した。 息子は「父親と一緒に暮らし、両親を忠実に扶養する。 不履行を理由とする契約解除や他の措置に対して異議を提起しない」という覚書を書いた。

 だが、財産の贈与を受けた後に息子の態度は変わった。 当時、ユ氏夫婦は2階に暮らし、息子は1階に暮らしていたが、息子は両親の面倒をよく見なかった。 病気の母親には療養施設に入院するよう言った。 これに怒った両親が不動産を返すよう言うと、息子は拒否した。 裁判所は両親が息子に不動産を贈与したのは単純な贈与ではなく、受け取る側が義務を履行しなければならない「負担付き贈与」なので、この義務を守らなかった場合には贈与契約は解除されると判断した。

 専門家はユ氏夫婦のように「親孝行契約書」を作成すれば親孝行の保証が得られると助言する。 両親が子供の漠然とした約束だけを信じて財産を贈与すれば、子供がそれを守らなくとも財産を取り戻すことはできない。 反面、贈与する際に条件を付けた「負担付き贈与」をすれば、契約に反した場合に財産を取り戻すことができる。 ただし親孝行契約書を作成する時は、親孝行の内容を具体的に書き、義務を果たさなければ贈与された財産は返還するという字句を必ず入れなければならない。 また、親孝行の内容が贈与財産の価値に較べて過度であってはならない。 キム・ヨンイル弁護士(法務法人キルサン)は「契約書がなければ子供たちが贈与後に知らんふりをしても、それを証明する方法がないので口約束だけでなく契約書に条件を具体的に明示をすることが重要だ」と話した。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/723643.html 韓国語原文入力:2015-12-27 10:12
訳J.S(1551字)

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