ドイツ・英国などEU国家は60代まで賃金緩やかに上昇
韓国の労働者の賃金は40代で頂点に至り、急落傾向を示していることが明らかになった。 1997年外国為替危機以後「サオジョン」(四五定=45歳で事実上定年退職。西遊記の沙悟浄と発音が同じ)、「オリュクト」(五六盗=56歳まで会社に通えば泥棒、五六島と発音が同じ)といった言葉が象徴するように、大幅に増えた「希望退職」や「名誉退職」などの早期退職の結果が反映されたと見られる。 中年層以上の雇用安定のための対策が急務と指摘される。
21日、キム・ジェウム韓国労働研究院副研究委員が出した資料「賃金と生産性―国際比較」によれば、30歳未満の労働者の賃金を100として、韓国労働者の賃金は30~39歳で151.9、40~49歳で174.1に急上昇する、50~59歳は158.4、60歳以上では106.2に急落することが明らかになった。 諸外国と比較すると、韓国の中年層の“賃金絶壁”現象がどれほど深刻なのかが見えてくる。 英国やドイツなどヨーロッパ連合(EU)加盟15カ国は、30歳未満の労働者の賃金を100とした時、30代は140.4、40代で155.8、50代160.8、60代以上165.2とゆるやかな上昇を最後まで維持している。 韓国と似た賃金体系を持っている日本も、40代172.7、50代176.0で、50代で頂点に達し、60歳以上では119.4に下がった。 ヨーロッパでは韓国のような“賃金絶壁”は見当たらないし、日本でさえも10年長く準備した後に、よりゆるやかな下り坂を迎えることになっていた。
このような現状の原因としては、韓国労働者の短い勤続年数が第一に挙げられた。一つの職場に長く通うことが難しいという意味だ。 統計庁が10日に発表した「韓国の社会動向2015」によれば、昨年の賃金労働者の52.8%が3年未満の短期勤続者であると調査された。 10年以上勤続者は20.6%にとどまった。 また、賃金労働者全体の平均勤続年数は6.1年で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最も短いことも分かった。
勤続期間にともなう賃金上昇幅がきわめて大きいことも賃金絶壁の間接的原因と分析された。 勤続年数1年未満の労働者の賃金を100とした時、勤続年数6~9年は178.8、勤続年数15~19年は250.0、30年以上は328.8になっていた。 勤続年数30年以上の労働者の賃金が169.9にとどまったヨーロッパ連合(EU)15カ国や、246.4だった日本に比べても上昇幅が大きかった。 キム研究委員は「高い年功序列制(勤続年数により賃金が増える傾向)が労働者の早期退職の原因として作用する。 また、40代以上が退職後に再び得られる職場の賃金水準は、それ以前の職場より顕著に低くなるので、このような賃金格差が現れたと見られる」と分析した。
韓国労働組合総連盟のチョン・ムンジュ政策本部長は「企業の無差別的な希望退職により、生計費用の充当という賃金の1次目的さえまともに達成するのが難しいという事実が明らかになった」として「賃金ピーク制の導入で50代の賃金を削ろうとすべきでなく、雇用安定性を高める対策が必須だ」と強調した。 韓国労働研究院のペ・キュシク研究委員は「韓国の労働市場には事務職を中心とする成果給モデル、生産職の号俸制モデルなど、多様な賃金体系が無秩序に混在している状況」とし「個別事業場ごとに一貫性なく規定された賃金体系を、職務特性を中心に再確立する必要がある」と提案した。