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[ニュース分析]繰り返される警察と市民の衝突…集会犯罪視が悪循環の原因

登録:2015-12-07 22:51 修正:2015-12-08 12:21
集会封鎖と暴力の連鎖を断ち切るためには
過剰鎮圧と暴力デモの悪循環//ハンギョレ新聞社

 今月5日、ソウル広場で主催側の推定で5万人(警察推定1万4000人)が集まる中で開かれた「ペク・ナムギ農民の快復祈願と民主回復、民生再生のための汎国民大会」と行進は“異例にも”警察とデモ隊が衝突することなく、平和裏に終わった。しかし、同日の集会は、再三平和デモを公言した主催側と、例外的に車壁と武装警察を配備することなく集会を管理した警察、そして警察の集会・行進禁止通告に対する裁判所の執行停止仮処分決定など、いくつかの条件がかみ合って実現された側面が大きい。集会とデモに対する見方が根本的に変わるまでは、大規模な集会で衝突が繰り返される可能性は依然として残る。

申告→禁止→強行→封鎖...結局警察と市民の衝突につながる 
「集会は国民の基本権」を認めてこそ平和定着の道開 
大法院「禁止・未申告の際も明白な危険なければ保証されるべき」

■禁止→強行→封鎖→衝突の連鎖

 5日の汎国民大会が異例の“平和デモ”だったのに比べ、先月14日の第1回民衆総決起は、大規模な集会のたびに繰り返されてきた衝突の典型を露呈した。当時、民主労総と民衆総決起闘争本部などがソウル光化門(クァンファムン)広場一帯で集会を開くことを申告したが、警察は交通機関への支障(集会およびデモに関する法律12条)などを理由に禁止を通告した。ソウル広場側の集会を終えた主催側が、禁止が通告された光化門広場への進出を目指したことを受け、警察は車壁で(経路を)遮断し、デモ隊に向かってカプサイシンと催涙液を混ぜた放水銃を発射した。以降、一部のデモ隊がロープで車壁を突破しようとするなど、衝突は激しさを増した。全羅南道宝城(ポソン)から上京した農民ペク・ナムギ氏(68)が放水銃に撃たれ重体に陥り、デモ隊51人が連行された。

 このような状況は、100人が連行されるなど、大きな傷跡を残した今年4月18日のセウォル号事故1周年追悼汎国民大会でも見られた。未申告集会で開かれた同日の行事は、警察が光化門一帯に車壁を設置して行進を遮ったことで、大規模な衝突につながった。5月1日に開かれたメーデー集会では、民主労総がソウル広場で集会を開き、デモ隊の一部が申告された行進経路ではなく、光化門広場方向に行進したことを受け、警察が車壁を設置し、放水銃とカプサイシンを発射して衝突が起きた結果、デモ隊54人が連行された。

■裁判所 「禁止・未申告集会も保障すべき」

 人権団体連席会議の活動家ラン・ヒ氏は、「これらの集会は厳密に言えば、禁止通告を受けた集会や未申告集会であって、当初から暴力集会ではなかった。警察が、これらの集会が禁止を通告されたり、申告が行われていないとの理由で、暴力行為がなかったにもかかわらず車壁で封鎖し、過剰鎮圧をしたことが暴力につながった」と話した。民主社会のための弁護士会(民弁)のイ・ジョンイル弁護士は「警察が、都心の集会を大統領府警護の一環として捉えて、許可しない方針を固守する限り、都心で開かれる大規模な集会は平和的であるかどうかにかからず、禁止通告を受けたり、未申告とされたり、申告の範囲を逸脱した集会にならざるを得ない」と指摘した。

 大法院(最高裁)は、申告された範囲を逸脱した集会(2001年)や禁止通告を受けた集会(2011年)、未申告集会(2012年)に対しても、一貫して「直接かつ明白な危険をもたらさない場合、解散を命じ、これに不服したとして処罰することはできない」と判示している。大法院は2012年、「集会の自由は、個人が国家権力の介入や強制なしで自由に自分の意見や主張を集団的に表明できる基本権として、個人の人格発現の要素であり、代議制自由民主国家に必須の構成要素に当たる」と明らかにした。

■犯罪ではなく民主主義の構成要素として

 裁判所が重ねてこのような判決を出した理由は、集会・デモの自由が交通疎通など、競合する他の法益よりも重要だと考えているからだ。憲法は、言論・出版の自由と集会・結社の自由を市民の最も重要な基本権として明示している。しかし、最近、警察などの行政当局は集会自体を犯罪視する動きを強めている。民主労総など一部の団体が先月14日の集会で不法・暴力行為を“企画”したとして、6日、警察が「騒擾罪」の適用を検討していると発表したことからも、このような動きが如実に表れている。

 民弁のパク・チュミン弁護士は「警察などの行政当局、さらに司法当局まで集会・デモを民主的な意思決定過程の重要な軸として捉えるのではなく、“悪”または“必要悪”と見ている」と指摘した。ハン・サンヒ建国大学法学部教授は「警察が集会を市民の当然の権利であると考えているのではなく、“防がなければならないもの”として捉える基本的な態度を変えない限り、暴力事態の根絶は決して解決できない問題」とし「暴力の悪循環を断ち切るためには、強硬対応と処罰ではなく、集会とデモという基本権を保障することが最善の道だ」と述べた。

ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-07 19:47

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/720714.html 訳H.J

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