韓中自由貿易協定(FTA)批准同意案が30日、国会本会議を通過した。政府は「関税撤廃で韓国企業が中国市場で競争国に比べ有利な価格競争力を確保することができ、韓国の中国輸入市場占有率1位維持の助けになる」として「年内に発効されるよう必要な手続きを迅速に進めていく計画」と明らかにした。だが、農林水産業従事者や小商工人などは中国産低価格製品の輸入拡大にともなう被害を憂慮した。
国会は同日午後5時頃に本会議を開き、在席265人のうち賛成196人、反対33人、棄権36人の表決で韓中FTA批准同意案を可決した。6月1日に朴槿恵(パク・クネ)大統領と習近平中国国家主席が正式署名して6カ月ぶりになる。与野党は、韓中FTAが韓国の国益に符合する方向で履行されるか国会が持続的に点検し、改善事項を政府が中国政府と協議して実現させることを求める内容等を含む「韓中FTA補完要求決議案」も共に通過させた。韓・ベトナム、韓・ニュージーランドFTA批准同意案、韓・トルコ・サービス・投資協定批准案も可決された。
これに先立ち、与野党の代表、院内代表、院内首席副代表、政策委議長はナ・ギョンウォン国会外交統一委員長が同席した中で「与野党4+4会談」を開き、韓中FTA批准同意案を処理することに最終合意した。
与野党指導部は26日から4日間のマラソン交渉の末、この日未明に韓中FTA処理に暫定合意した後、午前の両党議員総会を通じ追認を受けた。金武星(キム・ムソン)代表は会談で「韓中FTAが少しでも(経済活性化に)役立つよう望む」と期待を示した。文在寅(ムン・ジェイン)代表は「韓国は通商国家でありFTAを積極的にせざるを得ない」として「私たちの党が努力して(農漁民の)被害対策が工夫されたが、まだ不十分な状態で、政府・与党が予算審査する時にもう少し関心を持ってもらいたい」と明らかにした。
与野党は民間企業、公企業、農水産協同組合の自発的寄付金で毎年1000億ウォン(約100億円)ずつ合計1兆ウォン(約1千億円)の財源を用意して農漁民支援事業を遂行するものの、企業らの寄付金が目標値を下回る場合、政府が不足分を充当する措置を取る内容を盛り込んだ農漁業分野の被害保全対策を用意した。野党が主張してきた「貿易利益共有制」は政府・与党と財界の激しい反発で受け入れられなかった。
被害保全直払い制(FTAにより価格が落ちた農作物に対し下落した単価の一定比率を保全する制度)は現在の保全比率を90%から95%に高め、畑農業の固定直払い金支援対象であるすべての品目に対し、直払い金を2020年まで段階的にヘクタール(ha)当たり60万ウォン(約6万円)に引き上げる。現在の畑の直払い金の26品目はヘクタール当たり40万ウォン(約4万円)、残る畑作物は25万ウォン(約2万7千円)が支給されている。
これと共に与野党は、与党が要求してきた観光振興法と国際医療事業支援法などの経済活性化法案と、野党が要求してきた代理店取り引き公正化法など経済民主化法案も近い将来国会本会議で合意処理することで意見を集約させた。
チョン・ヨングク大統領府報道官は本会議通過後、「年内発効されるよう後続手続きが最大限迅速に進むことを望む」として「経済活性化法と労働改革5法なども定期国会内にすべて処理されることを期待する」と付け加えた。
韓国語原文入力:2015-11-30 22:27