登録 : 2015.11.16 10:48 修正 : 2015.11.21 09:22

 最近、5歳の仮想の子供「Zeze(ゼゼ)」(ブラジルの小説『わんぱく天使』の主人公)に関する記事が話題になったが、私はそれと少し違う子どもたちのことが気になっていた。テレビで「国民の子ども」と愛される三つ子の幼い兄弟が空軍部隊を訪ね、兵営文化を体験するテレビ番組を見たからだ。

 事情も分からず自分の体より大きな軍服を着た幼児に「やっぱり軍人は勇敢だ」「朝から戦友愛あふれる生活観」などのテロップをつけた画面は、いくらエンターテイメントといってもとても笑えるものではなかった。子どもが「娘よ俺の心を信じちゃならない」と『赤いマフラー』を歌う場面では思わず苦笑いしてしまった。子どもとの性的接触を好む指向をペドフィリアと呼ぶそうだが、言葉を覚えたての満3歳の幼児に軍隊式丁寧語で話させたり、「軍テリア」(軍内のお店)で買い物をを楽しむ様子を見て満足する症状は何と呼ぶべきなのか。

 家父長主義と新自由主義的な自己啓発論理の遭遇こそが最近、テレビなどで“軍隊”というコンテンツがしばしば登場する理由だろう。しかし事態はもっと深刻だ。すでに報道された通り、この“三つ子”の兵営文化体験は、「愛国ごっこ幼稚園」なるものを用意し、幼稚園でも安保教育を実施しようという政府の新たな政策と緊密な関係があるためだ。小中高の安保教育事業の「愛国精神継承発展」予算も大幅に増やされたという。「健全な安保意識の育成と国家観の確立」が目的だというのだが、いったい「安保」や「健全な国家観」とはなんなのか。それは安保教育や兵営文化体験のような細工を通じて育成されねばならないものなのか。

 フェミニズム的視点で国際政治を分析するシンシア・インローは、特定類型の男性を特権化して女性より優位にさせることにより、軍事主義の地球化が達成されると述べた。インローによれば「軍事化されるということ」は軍事的価値(階級秩序、服従、武力使用に対する信念)を他の何より優先させ、軍事的解決方法をもっとも効率的だと考える軍事的態度が蔓延すること」を指す。韓国はどうか。国防部が教科書執筆に乗り出すというのだから、あえて語るまでもない。「民主化時代」以来、韓国は奥深く、そして早く再軍事化が進んでいる。

 奇妙なのは、韓国はどの国より軍事政権の暗黒を強烈に体験したというのに、軍隊の秩序と文化が日常化することに対する感受性が非常に鈍いという点だ (“三つ子”の祖母も最近、挨拶を強調し『挙手敬礼のアイコン』になった)。戦争および分断を体験した韓国社会で「安保」は唯一無二の威力を振り回す絶対命題であり、それは常に軍事主義を正当化してきた。ところがその“国家安保”は大抵、外部の敵より国内の“危険勢力”を統制するための言葉として使われる。国定教科書反対者、セウォル号遺族、さらに同性愛者を“従北(朝鮮)左翼”と決めつけ、決起した民衆に殺傷兵器化した催涙液放水銃を放って敵化させる事例を、私たちは毎日のように見せつけられている。

オ・ヘジン氏(近現代文化研究者)//ハンギョレ新聞社

 したがって必要なのは“安保”に対する新しい理解だ。あの三つ子は誰から自分の家族を守らなければなければならないと考えるようになるだろうか。あの子たちも母親と妻と娘を当然“被保護者”と感じるようになるだろうか。非合理的な敵対主義と他者の“女性化”を通じて得られる“男性らしさ”。これに対する省察なしに培われる安保意識は結局、暴力と嫌悪が幅きかす「ヘル(地獄)朝鮮」(現代の韓国社会の生きづらさを説明する言葉)の主役を生むだけだ。

 真の意味の安保とは、平和運動に対する関心とジェンダー感受性の育成、そして“脱軍事化”によってのみ可能だということを子どもちにも教えよう。もちろん、子どもたちがもう少し大きくなってから。

オ・ヘジン(近現代文化研究者)(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-15 19:00

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/717504.html訳Y.B

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