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LINE問題「第1ラウンド」の損益計算書と課題【寄稿】

登録:2024-07-24 06:06 修正:2024-07-24 07:54
キム・ヤンヒ|大邱大学経済金融学部教授
ネイバーのチェ・スヨン代表理事が2日午後、ソウル市汝矣島にある国会の科学技術情報放送通信委員会の全体会議に出席し、LINE問題についての懸案質問に答えている/聯合ニュース

 ここ数カ月にわたり論争の的だったLINE問題は、日本の総務省による株式売却要求の撤回で終わったのか。そうではない。第2ラウンドに移っただけだ。これについて、LINEをめぐる重要な利害関係者別の現段階での損益計算書と課題を整理してみよう。

 今回の問題は、政府でも企業でもない第三の行為者の無視できない役割を浮き彫りにした。総務省は7月1日にLINEヤフーが提出した報告書に合格点をつけ、そもそも株式売却は目標ではなかったと態度を変えた。日本政府の要求に合わせてソフトバンクがネイバーと資本調整の協議に入ったことは、誰もが知っているにもかかわらず。総務省の要求撤回は韓国の反発世論に押された部分が大きい。その反面、韓国政府は終始、ネイバーの背後に隠れた傍観者、または日本政府の代弁者のような態度を示した。韓国政府は今後、今回と類似の事態の再発防止策を講じる必要があるという重い課題を抱えることになった。

 今回の問題の最大の勝者は日本政府だ。LINEヤフーは当面は株式売却は行わないとしたが、事実上、ネイバー側との重要な取引関係は終止符を打ったため、経済安保強化の目的を達成したわけだ。7月1日付の報告書の補足資料でLINEヤフーは、日本と海外事業の一部について、ネイバーの技術とシステムの利用だけでなくサービス開発委託も早ければ2025年までに終了する方針だと明らかにした。LINEの脱ネイバー計画をいつどのように行うのか詳細に報告せよという日本政府の行政指導にきわめて忠実に従ったこの補足資料は、経済安保時代の国家の優位を物語る。ヤフー側が出したネイバーの代替案は、内在化と日本国内の他社に切り替えることだ。すなわち、自民党経済安全保障推進本部の甘利明本部長が要求した「LINEのすべての日本化」だ。日本政府の次のカードは、重要な経済安保情報の取扱者を国家が決められるようにした「重要経済安保情報保護活用法」になる可能性がある。ネイバーがこれに基づく法的な侮辱を免れるためには、日本のユーザーの個人情報保護のために血のにじむ努力をしなければならないが、これによって日本のプラットフォーム保護主義の高波を避けられるかは疑問だ。

 直接的な利害当事者であるネイバーは、当面は株式売却による新規事業の資金調達の機会を逃し、グローバル経営にも支障が予想される最大の被害者だ。ネイバーの人工知能(AI)開発に及ぼす悪影響も懸念される。それでも7月2日に国会の科学技術情報放送通信委員会に証言者として出席したネイバーのチェ・スヨン最高経営責任者(CEO)は、総務省の株式売却要求はLINEヤフーによる親会社(ネイバー)の管理の困難さのためだとする総務省の論理をそのまま口にした。驚くべきことに、甘利本部長の露骨なLINEヤフーの日本化要求も、それは事実ではないと言って擁護した。チェCEOは総務省の株式売却要求の撤回を引き出した韓国世論が不満だったのだろうか。同床異夢ではあってもネイバーが望んだ株式売却と相通じるため、日本側の要求を受け入れようとしていたのだろうか。ネイバーの苦悩も理解できないわけではない。排他的な日本市場で生き残るためにヤフーと統合するなど、LINEの日本化に傾けた努力が、韓国の関与で台無しになるのではないかという懸念も強かったろう。国会の公開会議の席で、勉強不足であることが明らかな議員らのとんちんかんな質問に答えるのも大変だっただろう。それでも、起こりうる日本との紛争と韓国の後発企業の日本進出を考慮した場合、近視眼的な社益だけにとらわれたチェCEOの答弁は、韓国唯一のグローバルプラットフォームの素顔を如実に示した。ネイバーのグローバル経営はまだ遠い道のりだ。

 LINEヤフーのグローバル経営を担当する韓国の子会社はどうか。ネイバーの106社ある国外の系列会社をみると、LINEヤフーの支配構造の各所にネイバーとのつながりが鮮明に浮び上がる。ネイバーの2023年の国外収益に占める日本の割合は7%で、米国(5.5%)とその他の国(1.5%)を合わせた分と同等だとする解釈は断片的だ。国外の系列会社のうち、日本の割合は所在国基準で26%に過ぎないが、所在国を問わない最大の投資家基準では73%に達し、日本がネイバーのグローバル経営の足掛かりの役目を果たしているからだ。しかし今回の問題によって、韓日企業間の前例のないグローバル協力事業は座礁の危機に直面した。その結果、LINEプラスなどのヤフーのグローバル事業を担当する韓国内の子会社の従業員は、雇用不安を訴えている。一方でヤフーが海外事業を内在化するためには、韓国の従業員のうち中核となる人材の吸収が必要となる。これは、ヤフーへの技術流出を極力阻止しなければならないネイバーにとっての当面の課題だ。

 LINEをめぐる利害関係者の激しい戦いはこれからだ。しかし、曖昧な国益と明瞭な社益は突出した一方、公益と民益のありかたは見られない。後者を見出すのは誰の課題だろうか。

//ハンギョレ新聞社

キム・ヤンヒ|大邱大学経済金融学部教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1150228.html韓国語原文入力:2024-07-23 09:13
訳M.S

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