2日、朴槿恵(パク・クネ)大統領と安倍晋三首相が3年半ぶりの2カ国首脳会談で“最大の難題”である日本軍慰安婦被害者の問題と関連して議論した結果として、両国政府が発表した内容は、ただ一行の文章だ。「両首脳は、今年が韓日国交正常化50周年ということを念頭に置いて、可能な限り早期に慰安婦被害者の問題を妥結するための協議を加速するように指示した」。ところが、協議の原則や方向、内容、主体、時期への言及は見当たらない。大統領府の関係者は、「両国首脳が合意した内容なので、付け加えるような内容はない」と述べた。「慰安婦問題にかなりの進展が見られる」とした朴大統領の6月の発言(ワシントンポスト6月11日付インタビュー)とは雰囲気が全く違う。
朴大統領「被害者が受け入れ、国民が納得できなければ」
安倍首相「将来の世代に障害を残してはならない」
「1965年の最終解決論」の延長線に留まる
専門家「平行線」「無期延期」の評価
日本、「追加措置の必要性」を初めて認めたにもかかわらず
妥結の前提と期限が設けられず“険しい道のり”
決裂ではないが、進展と評価するのも難しい。何よりも、解決策を模索するための大きな原則と方向が提示されなかったことから、“かりそめ”の対策に近い。韓日政府は、両首脳の間で「率直な意見交換」があったと発表した。外交的修辞での「率直」とは、互いに言いたいことを言い合ったという意味で、接点を広げていく協議を意味する「実務的」という表現とは対照的だ。
実際、両首脳の発言と会談後に行われた日本側の詳細な説明によると、接点の余地は大きくない。朴大統領は、単独会談に続いて行われた拡大会談の冒頭発言で「過去の歴史を克服し、未来に向けて共に出発する転換点を作らなければならない」とし「痛ましい歴史を治癒できる、大乗的見地で真心のこもった会談」になることを望むと述べた。しかし、安倍首相は「未来志向的な日韓関係」だけを重ねて強調した。「過去の歴史を克服」や「痛ましい歴史の治癒」には言及しなかった。両国の立場の間には隔たりが見られる。
朴大統領は会談で「慰安婦問題が両国関係の改善の最大の障害」であると指摘し、「被害者が受け入れられると共に、韓国国民が納得できるレベル」で早急に解決されるべきだと強調したと、キム・ギュヒョン大統領府外交安保首席が伝えた。これは、朴大統領が年頭記者会見(1月12日)で明らかにした日本に対する要求と同じレベルのものだ。一方、安倍首相は会談後、ソウル小公洞にあるロッテホテルで行った日本の記者団との会見で「慰安婦問題は、未来志向の協力関係を構築していくに当たって、将来の世代に障害を残してはならない」と強調した。安倍首相の言及は「1965年韓日協定で植民地支配のすべての法的責任は終結した」という日本政府の基本的な見解を前提として、慰安婦問題と関連した「追加措置」が必要な場合は、韓国政府がこれ以上この問題を提起しないと約束すべきとする、いわゆる「最終解決論」の延長線上にあるものと思われる。慰安婦問題と関連し、今回の会談の結果について「平行線」(チョ・セヨン東西大学特任教授)とか、「(慰安婦問題の解決の)無期限延期」(ヤン・ギホ聖公会大学教授)と否定的に評価されるのも、そのためだ。
しかし、安倍首相が先に「国交正常化50周年」や「将来の世代に(慰安婦問題という)障害を残すことがあってはならない」と強調した事実を根拠に、それなりの積極的解決の意志を示したと評価する見方もある。実際、安倍首相の最側近である萩生田光一・官房副長官は会談後、日本の記者団との会見で、「いわゆる慰安婦問題」としながらも「追加措置」の必要性を認めた。萩生田副長官は 「(終戦)70年談話(安倍談話)で言及したように(慰安婦として)人権を蹂躙された女性たちの存在は、首相や日本政府も認めている。補償が終わったという問題と、人道的見地から様々な後続措置を講じるのは、切り離して認識してもらいたい」と述べた。安倍政権が慰安婦問題と関連して「追加措置」の可能性を公に言及したのは今回が初めてだ。これをめぐり、日本政府の態度が事実上、河野談話以降、1995年にアジア女性基金を作っていた当時に、戻ったという肯定的な評価もある。
ただし、両首脳が「指示」した「協議の加速化」の結果がどうなるかを予測するのは難しい。萩生田副長官は「なるべく早く進めようということで、最終妥結を前提にしたり、期限を定めているわけではない」とし「当分の間は、これまで通り局長級協議を続けることになるだろう」と述べた。最終妥結を前提にしたり、期限を定めた「協議の加速化」ではないということだ。これからも長い道のり待っている。
韓国語原文入力: 2015-11-02 19:34