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教科書国定化は恥ずべき行為…保守陣営からも反対の声

中道・保守学者も執筆拒否 
「政府は今からでも撤回すべき」 
与党議員も党論に反旗
市民団体メンバーが19日午前、ソウル中区の韓国言論会館国際会議場で開かれた「国定教科書事態に直面する市民社会時局宣言」で「国定教科書」と書かれた鉢巻きで目隠しをしている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 中高校歴史教科書を国定で単一化しようとする朴槿恵(パク・クネ)大統領の意志は確固としているが、中道・保守指向の学者とセヌリ党議員など保守陣営からも「国定化はすべきでない」とする声が後を絶たない。歴史・教育学界では保守・進歩の分け隔てなく国定化反対と執筆拒否で声を一つにしている。

 代表的中道・保守指向の学者に選ばれるハン・ヨンウ・ソウル大名誉教授は「国定をすることになれば様々な要求がされ、一つの教科書を作ろうにも作りようがない」として国定教科書に反対論を提起した。9月初めに反対声明を出したオ・スチャン・ソウル大国史学科教授は、国定化反対世論が圧倒的な現実を挙げ「まだ行政予告期間なのだから今からでも政府が撤回すればすむ問題だ。憲法で規定した教育の専門性を考える時、教育専門家らが圧倒的に撤回を要求するのには理由がある。国定教科書をうまく作るという論理は民主社会では初めから成立可能ではない」と国定化強行を批判した。

 匿名を希望する国立大のある教授も「国定化を押し通せば政府は恥を余計にさらすことになるだろう。総合学問である歴史学の専門家などが拒否しているのに、他の専門家らを集めて歴史教科書を作るなど話にならない」として「国定化は歴史学に対する挑戦」と批判した。ある私立大の国史専攻教授は「保守を自認する人たちも国定化作業は恥ずかしく思っている。単純な歴史戦争でなく、この論議を翌年の総選挙まで継続するという政治工学的計算」とした上で「今、韓国社会で必要な議論は青年失業、少子化問題などでなければならない」と指摘した。朴槿恵大統領の核心参謀だったキム・ジョンイン元大統領府経済首席(現大韓発展戦略研究員理事長)はハンギョレとの通話で、「多様性をとても重要に考える社会になった。画一的方式は正しくない。常識的に判断すべき」と話した。

 「国定化党論」を採択したセヌリ党内でも、ソウル・首都圏の一部議員を中心に国定化反対の声が出てきている。金武星(キム・ムソン)代表はじめ指導部が連日「国定教科書貫徹」を訴えているのとは相反する動きだ。国定化に否定的な首都圏中道層の民心を反映したものと分析される。

 キム・ヨンテ議員(ソウル陽川乙)はこの日、記者団と会った時とラジオのインタビューで「政府が国定化を一方的に推進した」として「当惑するし呆れる」と語った。キム議員は「一部の偏向した教科書を変える方法が国定化しかないというやり方で一方的に宣言しておいて、ついてこいと言わんばかりだ」と語り、「あっけにとられる」と不満を露わにした。そして「総選挙でも首都圏ではセヌリ党に非常に不利に作用するだろう」と指摘した。これに先立ちチョン・ドゥオン議員(ソウル西大門乙)もラジオインタビュー等を通して「現行歴史教科書に多くの問題はあるが、国定化で解決しようとするのは時代錯誤」と批判している。チョン・ビョングク議員(京畿道驪州・楊坪・加平)もこの日、ハンギョレとの通話で「国定化はできるわけがない」と話し「方法論を誤った」と批判した。チョン議員は「国民統合のため歴史教科書を正そうとするのが逆に国論分裂の要因になっている」として「現行教科書の問題点をすべてとりあげて国民に示し、国民的合意を通じて国定化でも検定強化でも解決方法を探すべきだ」と話した。

 ナム・ギョンピル京畿道知事もマスコミとのインタビューで「すでにセヌリ党が党論として採択した状況なのでこれ以上言及しない」としつつ「国定化には反対だ。合理的右派が優秀な教科書を作り、市場で採択されるようにしなければならない」と指摘した。ナム知事は先月11日、パク・ウォンスン・ソウル市長とのトークコンサートで「歴史は画一化することができないので国定化に反対する」と明らかにしていた。

ファン・ジュンボム、チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-19 21:45

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/713569.html 訳Y.B

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