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日本の市民団体「安倍政権の教科書国定化を勢いづかせる」と韓国の国定化に反対声明

登録:2015-10-18 22:41 修正:2015-10-19 12:47
危険な教科書阻止会など24団体 
「韓国政府はまったくの時代錯誤」と批判
中高校の韓国史教科書国定化への転換が発表された12日午後、大学生たちがソウル鍾路区の光化門広場にある李舜臣銅像前で奇襲デモを行っている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府の韓国史教科書国定化決定について、日本の歴史歪曲教科書に対する阻止運動を繰り広げてきた日本の市民団体が「安倍政権による教科書改悪の試みに悪影響を与える可能性がある」として、抗議声明を発表した。日本の市民社会が自国ではなく、韓国の教科書政策に反対声明を出すのは極めて異例だ。

 「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」(以下、大阪の会)など、日本の24の教科書・歴史関連の市民団体は16日、声明を出して、2017年から中高校の韓国史教科書を国定化するという韓国政府の発表は、「長い間の韓国市民の教科書の民主化と東アジアの歴史和解のための努力を踏みにじるものであり、日本の教科書国定化の口実を与えるおそれがある措置として断固反対する」ことを明らかにした。彼らは長い間、日本の多くの地域で草の根の市民運動として教科書運動を続けており、その分野でかなりの専門知識を確保している。

 日本の市民団体は、まず、日本が軍国主義時代に経験した不幸な過去に触れながら、反対の理由を明らかにした。彼らは「国定歴史教科書は政権の歴史認識を(国民に)押しつける手段だ。かつて日本は日露戦争直前の1903年から敗戦の1945年までの42年間の長きにわたって国定教科書を使用し、その結果、多くの日本人が侵略戦争を『聖戦』と信じこみ、アジアの人々を殺戮した」と指摘した。日本は1948年、連合軍最高司令部(GHQ)の占領のもと、国定制を放棄し、検定制を採用して今日に至った。

 彼らは「韓国も戦後の一時独裁政権下で民衆が苦しんだ歴史があるが、人々の粘り強い闘いによって民主化を勝ち取ってきた。にもかかわらず、今回の韓国政府の国定化方針は歴史を逆戻りさせるものであり、まったくの時代錯誤だ」と批判した。教科書国定化が自国中心主義の歴史観をもたらし、国家間の関係を悪化させ、国連などの国際社会が掲げた基準にも違反するという点なども、反対の理由として挙げた。

 特に日本の市民団体は、韓国政府の決定が安倍政権と厳しい戦いを繰り広げている日本の教科書運動に大きな打撃を与える恐れがあると懸念を示した。安倍政権は、教科書の検定基準と採択制度を変え、教科書の執筆・採用過程における政府の介入を強化すると共に、過去の侵略戦争を正当化しようとする育鵬社の教科書など、歴史を歪曲した教科書が多く採択されるように積極的に支援している。

 彼らは「2001年、日本最大の右翼団体である日本会議と安倍晋三自民党議員らのバックアップを受けて『新しい教科書をつくる会』が教科書を発行した時、韓国からは政府からも市民団体からも強く抗議が来ました。その時、日本の右派は『国定教科書の韓国が、検定教科書の日本を批判する資格はない』と開き直った。にもかかわらず、今回韓国が再び国定化に移行することは、彼らを再び活気づかせ、安倍政権にも本格的な国定化の口実を与えるのではないかと危惧している」と指摘した。さらに「韓国の人々は多大な犠牲の上に勝ち取った民主化の成果を決して手放さないだろう。韓国政府は日韓両国の市民の願いを誠実に受け止め、国定化方針をただちに撤回してほしい」と主張した。

 声明を主導した「大阪の会」の相可文代事務局長は「民主化を粘り強く勝ち取ってきた韓国市民が政府の横暴を絶対に阻止すると信じていることを伝えるために声明を発表した。声明に賛同する団体が増え続けている」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-18 19:22

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/713327.html 訳H.J

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