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VW不正で得をするのはシリコンバレー企業

登録:2015-09-30 23:01 修正:2015-10-01 06:51
 テスラ、初の電気SUV発売
 未来車主導権競争が加熱
 一度の充電で400キロ走行SUV披露
 今後2年間は牽制されず無風地帯
 ドイツは2018年に競争車を発売予定
電気自動車メーカー テスラの最高経営者イーロン・マスクが29日(現地時間)、米国カリフォルニア州フリーモントの本社で自社初のスポーツ実用車(SUV)である「Model X」を紹介している。Model Xは狭い空間で最大の長所を発揮できるよう、上方にドアが開く「ファルコン ウイング(falcon wing)」を装着した=フリーモント/AFP連合ニュース

 ドイツ完成車業界の代表走者フォルクスワーゲングループが、排出ガス不正問題で危機に瀕する中、米国シリコンバレーの電気自動車メーカー「テスラ」が初のスポーツユーティリティ(SUV)「Model X」を29日夜(現地時間)披露した。テスラはこの日、米国カリフォルニア州フリーモント工場で新車を顧客に引き渡す様子をウェブサイトを通じて生中継した。 7人乗りのModel Xは、ドアを鷹の翼のように上に持ち上げ人が乗って降ろす「ファルコンウイング(Falcon wing)ドア」を備えているのが特徴だ。後部に付けられたこのドアは内部空間の確保にも有利だ。 また、一度の充電で約400キロを走れると米紙ロサンゼルスタイムズ等、主な外信が報道した。価格は7万ドル(約840万円)~10万ドル(約1200万円)になると予想される。

 米国のシリコンバレー企業と世界最高の内燃機関を作り出すドイツ完成車企業間の親環境・自律走行など未来自動車の主導権争いが次第に表面化している。マスクはModel Xの公開を控えて「フォルクスワーゲン不正が教えていることは、ガソリンやディーゼル技術が限界に達したということ」と評価して注目を集めた。テスラは今年第2四半期に全世界で1万1532台を販売し、低油価状況でも成長を継続した。21日にはアップルが2019年頃に電気自動車を出すというニュースが知らされた。

 フォルクスワーゲン不正問題で27日に静かに幕を下ろしたフランクフルト・モーターショーの主題は、当初「モビリティーコネクツ(mobility connects)」であった。 ドイツも車が自ら周辺環境を認識し運転する自律走行など、自動車と情報通信(IT)技術の融合に遅れをとらない意志を表明したのだ。 今年7月、アウディ、BMW、ダイムラーのドイツ車ビッグ3は、シリコンバレー業者との自律走行技術競争に備えてノキアの地図サービス「ヒア(HERE)」を25億ユーロ(約3100億円)で買収した。

 モーターショーの閉幕前に退席することになってしまったマルティン・ヴィンターコルン前フォルクスワーゲングループ最高経営者(CEO)はモーターショーの前夜祭で「2020年までに小型車から次世代フェートンおよびアウディA8に至る全車種にわたり20種以上の電気自動車およびプラグインハイブリッド モデルを発売する」としながら「デジタル時代でもフォルクスワーゲンの地位は変わらないだろう」と自信を示した。 この日、テスラと比肩する電気自動車の開発進行状況も公開した。 子会社であるポルシェは、電気スポーツカー「ミッションE」をリリースした。 一度の充電で500キロの走行が可能で、時速0キロから100キロまで加速するのにかかる時間は3.5秒に過ぎない。 アウディも一度の充電で500キロ以上走る電気自動車SUVコンセプトカーを紹介した。

 しかし際限なく広がっているフォルクスワーゲン問題は、ドイツの完成車企業と米国シリコンバレーの競争構図にも影響を及ぼすと見られる。 今回の事態を契機にヨーロッパでの環境規制は強化されるという展望が相次いでいる。 今後2年間はテスラのModel Xを牽制できるスポーツユーティリティ(SUV)電気自動車は出てこない。 アウディが開発中である一度の充電で500キロ走れる車両は、早くとも2018年頃に市場に出てくる展望だ。 テスラが今回の機会を利用して一歩さらに跳躍するかは、Model Xの成功如何にかかっていると見られる。 テスラはModel Xの発売を契機に今年5万台を売る計画を明らかにしたことがある。

パク・ヒョンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/710895.html 韓国語原文入力:2015-09-30 20:22
訳J.S(1943字)

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