本文に移動

[インタビュー]与党のポータル威嚇の狙いは政治による韓国社会の植民地化

登録:2015-09-17 23:03 修正:2015-09-18 07:46
元老言論学者キム・ミンファン高麗大学名誉教授
元老言論学者キム・ミンファン高麗大学名誉教授//ハンギョレ新聞社

 韓国言論史研究の権威である元老言論学者キム・ミンファン高麗大学名誉教授(70)は10日、ハンギョレとのインタビューで、最近の与党の“ポータル(サイト)バッシング”など、インターネットの規制を目指す動きと関連し、「市民社会の中心は世論であるのに、政治がこれを監視して制御したら、民主主義社会とは言えない」と述べた。キム教授は昨年からネイバーで外部の専門家を招聘して組織した編集諮問委員会の委員長として活動している。

 キム教授は、最近、セヌリ党側が「(ポータルが)政治的に野党側に偏向している」と主張する際、その根拠として挙げた、いわゆる「ポータル報告書」(チェ・ヒョンウ西江大学教授研究チーム「ポータルのモバイルニュースのメイン画面におけるビッグデータの分析報告書」)について、「社会や政治などの“カテゴリ”とマーズや口蹄疫などの問題を同じレベルで分類するなど、基礎的な方法論から、信頼性と専門性に疑問を抱かざるを得ない」と述べた。キム教授はさらに「権力の監視がマスコミ本来の役割なのに、報告書で提示した数値通りなら、『中立』の割合が高すぎる点がむしろ問題」だとし「ポータルが野党に偏向しているのではなく、態度に対する判断ができないほど、単純に(事実を)報道に移しているだけだと解釈すべきだ」と強調した。

 「市民社会の中心は世論です。与党が政府与党に対する批判が多いとしてポータルサイトを脅かすような行動を見せるのは、政治領域が社会領域を植民地化しようとする典型的な姿です」。キム教授は市民の視聴料で運営されている公営放送のKBS(韓国放送)の取締役たちが「政治の領域の手先として働いていること」を、このような“植民地化”のもう一つの事例として挙げた。

 メディアの重要な役割は権力の監視
 与党の報告書の数値通りなら
 「中立」の割合はあまりにも高くのが問題

 最近、政府がインターネット言論社の登録要件の強化を目指していることや、ポータル社が提携社の数を減らそうとする動きを見せていることなどについても、懸念を示した。彼は「メディアが多くなれば、それに伴った副作用も現れる。だからといって、門番を立てて、一部のメディアだけが公論の場に入るように制限するのは、民主主義の基本原則に反する」と述べた。「民主主義の基本原則は守って、メディアの逸脱行為については、司法的な手段などを通じて厳しく責任を問うシステムを目指さなければなりません」

 ネイバーの編集諮問委員を務めているが、キム教授がポータルサイト側を庇護しているわけではない。「ポータルは、印刷メディアが提供するニュースを捨て値で掻き集めてお客さんを呼び込み、検索という分野を作って巨万の富を築きました。もしポータルメディアがこれからもマスコミ市場を左右したら、非常に大きな問題が起こるでしょう」。彼は「ポータルがこれまでの借りを返すと言う意味でジャーナリズムを支援する事業に積極的に乗り出す」ことを求めた。例えば、探査・深層報道に対する支援や特定のアジェンダに対する専門教育事業など、メディアの基本的な土壌を強化できる様々な事業が考えらえると提案した。

 「従来の政派的なマスコミ報道とは違って、ポータルニュースは、多様性や多元性を獲得したということに意味があります。おそらくそのため、人々は、ポータルニュースについて中立的だと認識しているのかもしれません。しかし、多様性と多元性は常に品質や品格と対立したりします。興味中心の扇情的な記事にクリックが集まる現象などが代表的な現象です。今よりも質の良い世論を作るのがこれからの宿題であり、この点でポータルはジャーナリズムを助けなければなりません」

チェ・ウォンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-17 20:01

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/709382.html  訳H.J

関連記事