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[インタビュー]韓中接近で専門家が考える“戦勝記念後”

登録:2015-09-04 22:31 修正:2015-09-05 08:01
イ・ヒオク成均館大教授と金燦榮・中国人民大学教授に聞く

 今回の韓中首脳会談の最大イベントは、朴槿恵(パク・クネ)大統領の中国軍閲兵式出席だった。 朴大統領は韓国だけでなく米国の同盟国の指導者としては史上初めて天安門の城楼に上がったことになり、この場面が今後の南北、朝中関係にどんな影響を与えるかに関心が集中している。 両国の韓中関係専門家から首脳会談の結果と閲兵式出席の象徴性、今後の展望に関する意見を聴いてみた。

イ・ヒオク成均館大教授(成均中国研究所長)=資料写真//ハンギョレ新聞社

■イ・ヒオク成均館大教授「韓米・韓中関係の積集合を広げる必要」

 イ・ヒオク成均館大教授(成均中国研究所長)は4日、ハンギョレとの電話インタビューで「今回の韓中首脳会談が確定し議題を調整している時期に南北2+2高位当局者合意により緊張局面が緩和され、両国が朝鮮半島情勢に対する認識の共感を広げる成果を得た」として「北東アジア外交が好循環するかという問題の核心には南北関係がある」と指摘した。

朝鮮半島の緊張緩和の必要性では共感
北朝鮮核問題の解決法に大きな進展は無かった
朴大統領の北東アジア外交主導権
その核心は結局、南北関係

-朴槿恵(パク・クネ)大統領が今回の中国訪問で得た最も核心的な成果は何だと考えるか?

 「南北緊張が緩和されて韓中が朝鮮半島の状況に対する意見の相違を狭める成果があった。 例えば、朴槿恵政権の外交安保戦略の核心である北東アジア平和協力構想は、2013年の韓中首脳会談では中国から「原則的支持」を確保して、2014年の会談では両国の地域戦略が調整されず全く抜け落ちた。 ところが今回は、再び『中国政府の支持の立場を再確認した』という表現が出てきた」

-北朝鮮核問題と関連しても成果があったと見るか?

 「その部分では進展がなかったようだ。 中国は至急ではあるが焦って解決してはならないとして、韓国側は北朝鮮がもう一歩積極的な非核化の立場を示せろと言っている。 このような見解の相違は狭まらなかったようだ」

-韓国側は「意味ある6カ国協議が早期に再開されなければならないということで意見を共にした」という表現まで使ったが、「意味のある」という表現は中国側の発表にはなかった。 会談後に両国が出した資料に少しずつ差異があるのが目につく。

 「見解の相違というよりは、各自がオーディエンス(発表対象)を考慮したもので、それぞれ異なる表現を使う余地を残すのが中国外交の長い慣例だ。 ただ、韓中のみならず中日や朝中でも同じだ。 『意味のある』という表現は韓国が北朝鮮の前向きな措置や核凍結宣言など特定条件を念頭に置いて用いる表現だが、一方中国は6カ国協議再開自体を『意味がある』と見ている」

-政府は後続措置の一つとして、韓米中協力体制構築を提示した。 可能だと見るか?

 「北朝鮮を圧迫することに対しては中国が消極的な態度を示す可能性が大きい。中国は“先易後難”(容易なことを先に、難しいことは後に)の観点で少多者協議を非伝統的安保、実務級接触などから始めたいが、より積極的に大きな協議をしようとしている韓国とは温度差がある」

-韓中日首脳会談の開催に対して中国はどんな態度だと見るか?

 「中国の立場としては、日本を過度に圧迫してアジアのアウトサイダーにすれば、かえって米国の再均衡戦略、アジア地域戦略を強化させる否定的結果につながると認識している。 日本を叩くほどブーメランとなって中国に返ってくる構図を整理したいと考えるだろう」

-3国協力の再開必要性に共感しているという意味か?

 「そうだ。 議題や主導権など各論で認識の違いはあっても、総論として3国協力再開に共感を示している。そのため、変化する可能性がある。 下半期に韓国がどのような方法で主導権を握るかにより、東北アジア全体の外交が好循環することもありうるが、その核心には南北関係がある」

-朴大統領の閲兵式出席はどんな象徴性を持っているか?

 「韓米同盟と韓中関係を同時に発展させられ、事案別に韓国の国家利益に応じて選択的に支持と反対を表明できるという信号だった。単純に均衡を追求するのではなく、韓米同盟と韓中関係がゼロサムにならないよう積集合を広げなければならない」

キム・ウェヒョン記者 oscar@hani.co.kr

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金燦榮・中国人民大学国際関係学院副院長=資料写真//ハンギョレ新聞社

■金燦榮・中国人民大学教授「中国の朝鮮半島政策、北→南へ変わるだろう」

 金燦榮中国人民大学国際関係学院副院長は4日、ハンギョレとの電話インタビューで「朴槿恵大統領の中国閲兵式出席を契機に、中国の朝鮮半島政策の中心が北朝鮮から韓国に変わるだろう」としつつも、「北朝鮮と中国の関係が分裂することはないだろう」と話した。 金副院長は全国人民代表大会常務委員会研究室特約研究委員であり、中国国際関係学会の副会長も務めている国際関係の専門家だ。

北朝鮮と中国、分裂まで進むことはないだろうが
北朝鮮の核問題が解決してこそ関係回復
安倍が安保法制を通過させれば
3国首脳会議開催に悪影響を与えるだろう

-朴槿恵大統領の閲兵式出席と韓中首脳会談が今後の韓中関係にどんな影響を及ぼすと見るか。

 「朴大統領が中国の閲兵式に参加したことはとても積極的な外交の歩みだ。中国もこれを非常に高く評価し肯定的に感じている。 朴大統領と習近平主席の首脳会談を見れば、両者共に現在の韓中関係に満足していることが分かる。 中国は両国関係が今よりさらに一歩踏み出すことを願っている。 朴大統領の今回の訪中を契機に、中国の朝鮮半島政策の中心が北朝鮮から韓国に変わるものと判断する」

-習主席が別途に単独昼食会を持つなど朴大統領を格別に待遇した理由は何か?

 「朴大統領は今回の閲兵式に参加した世界各国首脳の中でロシアのウラジミール・プーチン大統領を除けば最も重要な首脳だ。現在の韓中関係がいつにもまして良好で、中国人民の間でも朴大統領に対する好感度が高いのも理由の一つだろう。両国共に不安定な朝鮮半島状況の中でも北朝鮮を過度に遠く排斥したり極端へ向かわないようにしなければならないという共通の目標も持っている」

-北朝鮮代表として参加した崔竜海(チェ・リョンヘ)労働党書記に対しては、今回中国が大きな比重を置かなかったように見える。今後の北朝鮮と中国の関係に対する展望は?

 「現在、北朝鮮と中国の関係は冷えている。国家首班である金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が来ずに(彼より職責が低い)崔書記が来たということが北朝鮮と中国の関係の現実を反映している。 崔書記も北朝鮮では重要な人物だが、中国の立場から見れば金永南委員長が来た方が良かっただろう。 おそらく中国も10月10日の北朝鮮労働党創党70周年行事にはそれほど位が高くない人を代表として送るだろう。このような状況で、他国の国家元首が来たのに中国の最高指導者が崔書記に会わなかったのは異常ではない。 現在、冷え切った北朝鮮と中国の関係の最大の根本的原因は北朝鮮が核兵器保有に方針を固めたことにあり、中国はこれに反対しているということから来る葛藤にある。 北朝鮮と中国の関係は、核問題が解決しないかぎり困難をきたすだろう。 それでも北朝鮮と中国の関係が分裂にまで進むことはない。 過去のような特殊な関係がなくなるだけだ。 他国と同じように“正常な国家関係”として進むだろう」

-韓国と中国の首脳が合意した韓中日3国首脳会議の展望と影響は?

 「3国首脳会談が開かれれば、これは皆にとって肯定的なことだ。だが、3国首脳会談が再開出来るかは未知数だ。 カギは日本の態度にある。 中国は、安倍晋三日本首相が安保法制を通過させようとしている状況を不快に思っている。 万一、安倍政権が安保法制を通過させるならば、3国首脳会談開催の展望は明るくない」

北京/ソン・ヨンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/707530.html 韓国語原文入力:2015-09-04 19:50
訳J.S(3457字)

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