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不問の「特殊活動費」巡り韓国国会で与野党の攻防激化

登録:2015-08-31 23:59 修正:2015-09-01 07:03
 年間約900億円の特殊活動費
 国家情報院は今年だけで490億円
セヌリ党チョ・ウォンジン院内首席副代表(左)と新政治民主連合イ・チュンソク院内首席副代表が31日午後、国会で特殊活動費の公開に対する与野党の異見で難航する議事日程を議論するため会い挨拶を交わしている =イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 国家機関の特殊活動費の公開・検証問題が、19代国会を締めくくる定期国会冒頭の最大争点になった。セヌリ党と新政治民主連合のチョ・ウォンジン、イ・チュンソク院内首席副代表、国会予算決算特別委員会の両党幹事であるキム・ソンテ、アン・ミンソク議員は、定期国会の開始前日である31日に会って調整を試みたが、合意に到らず物別れとなった。 「予算決算委の中に『特殊活動費制度改善小委員会』を作ろう」と主張する野党と、「認められない」とする与党の主張が平行線を辿った。

予算決算特委内に制度改善委を設置 平行線
野「税金は小遣いではない…使途を明らかに」
与「情報機関の予算を公開している国はない」
予算決算委幹事ら会合、合意に到らず
朴大統領が野党代表の時「国会で統制」
専門家「国会情報委への公開で接点探すべき」

 特殊活動費問題の核心は、年間8810億ウォン(今年、約900億円)に達しながらも、その使途や領収書処理が不要で、“裏金”“小遣い”と呼ばれてきたこのお金の透明性を高め民主的統制を強化することにある。

 特殊活動費は国家情報院などの国家機関が、国会情報委など該当常任委に概略的な内訳は報告しているものの、野党はこれをさらに細密化し透明性を高めるべきと主張してきたし、与党はそれに反対してきた。 朴槿恵(パク・クネ)大統領も野党だったハンナラ党代表時期の2005年、「国家情報院の予算に対する国会統制を強化する必要がある」として「各部署に隠れている特殊活動費がほとんど不透明な予算だ。透明に使われるよう国会が監視を強化しなければならない」と述べたことがある。 2011年にはキム・ジュンギュ検察総長が幹部に配った9800万ウォンの出処が特殊活動費だったことが明らかになり問題になったし、今年5月にはホン・ジュンピョ慶尚南道知事とシン・ゲリュン新政治民主連合議員が個人不正疑惑を国会特殊活動費だとして弁明し、与野党が揃って特殊活動費の改善に口をそろえもした。

 今でも与野党は表面では特殊活動費の透明性強化の必要性に共感しているが、具体的方法を巡って対立している。 特に国家情報院が衝突地点だ。 イ・ジョンゴル新政治民主連合院内代表はこの日の最高委員会議で「今年の特殊活動費8810億ウォンのうち、国家情報院が使った分が4782億ウォン(54%、約490億円)」とし、「セヌリ党が『特殊活動費制度改善小委員会』の設置に種々の理由を挙げて拒否している」と話した。 しかし、セヌリ党のウォン・ユチョル院内代表は「情報機関の予算(特殊活動費)を公開している国は世界のどこにもない。 野党が執権した時にも国家安保のための特殊活動費は公開したことがないということを考えてもらいたい」と真っ向から受けた。セヌリ党は「国家情報院は国家情報院法によって職員の人件費、施設費、運営経費など、全体予算が特殊活動費で編成されている」として「これを秘密資金であるかのように語るのは国家情報院無力化の意図」(キム・ヨンナム院内スポークスマン)と批判した。

 セヌリ党が「特殊活動費制度改善小委員会設置」に反対すると、予算決算委の野党幹事であるアン・ミンソク新政治民主連合議員はラジオのインタビューで「月2千万~5千万ウォン(約200万~500万円)に達する与野党院内代表の特殊活動費を先ず公開し、国会が率先して垂範しよう」と攻勢をかけた。

 与野党共に特殊活動費論争に困惑している気流も読みとれる。 セヌリ党は新政治民主連合の特殊活動費検証強化主張を「韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相拘束に対する腹いせと総選挙を控えた国家情報院飼い馴らし」として攻撃しつつも、透明性強化の名分のために無視するわけにもいかない。 新政治民主連合内部でも「当初は国会情報委の統制を受けている国家情報院は別にして、残りの機関の特殊活動費を予算決算委で検証しようという趣旨だったが、院内指導部が国家情報院に前線を集中して複雑になった」という話が出ている。

 学界などでは特殊活動費の透明性強化方案として、特殊活動費の全体規模縮小▽事後決算の強化などを提示する。 国会立法調査処は今月4日に政策資料で「特殊活動費支出内訳を保管し、一定期間が過ぎればその内訳を公開するようにし、包括的に規定されている特殊活動費の範囲を特定業務を明示する細目に区分する方案の検討が可能」と提案した。 参与連帯議会活動監視センターのチョ・ソンデ所長は「国家情報院の場合には特殊性があるので、秘密厳守を宣言する国会情報委員などに公開すれば良い」と話した。

ファン・ジュンボム、イ・スンジュン、キム・ギョンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/706771.html 韓国語原文入力:2015-08-31 21:36
訳J.S(2200字)

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