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「経済的地位より生活の質が重要」…韓国の青年に「脱物質主義」傾向が顕著に

登録:2015-08-31 23:36 修正:2015-09-05 21:09
青年世代の価値志向で世論調査
ハンギョレと希望製作所が今年2月、京畿道安山にある京畿創作センターで開いた「光復100周年の大韓民国の想像」のイベントに参加した青年たちが、自分たちが夢見る未来社会の姿を窓ガラスに書き留めた様子=安山/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 青年が希望する韓国社会はどんな姿だろうか?

 ハンギョレ経済社会研究院が今月初め青年(19〜34歳)1500人を対象に実施した意識調査の結果によると、若者たちは、競争と自律より連帯と協力を、経済的地位より生活の質を、リスクについて個人より国の責任をより重要視することが分かった。経済、社会、文化などの5つの領域で青年が望む韓国社会の価値志向を求め点数化した結果(価値スコア)だ。 1点に近いほど革新志向の価値を、7点に近いほど保守志向の価値をより好むことを意味する。

 青年が望む韓国社会の姿とは
 競争と自律より協力と連帯を重視
 「リスク社会」に対する国の責任重大
 分配と成長、平等と競争には「中立的」
 「価値志向急速に変化...世帯間対立の懸念も」

 具体的な項目別に詳しく見ると、まず「連帯と協力を優先する社会」と「競争と自律を優先する社会」の価値スコアは3.71点で中間値(4点)より低かった。入試と就職のための出口のない競争システムに置かれている若者たちの「共に一緒に生きる社会」への熱望が反映されたものと解釈される。

 「生活の質に価値を置く社会」と「経済的な地位を重視する社会」の中で、どのような社会を望むのかという質問に対しては、「生活の質」を重視する回答がはるかに多く、調査項目のうちの革新志向が最も強く表れた(価値スコア2.75点)。富と成功を人生の目標にしてきた中壮年世代とは異なり、自己実現と幸福などを重視する“脱物質主義”への変化が顕著に表れたものと見られる。個人と国家の責任について、どのように考えているだろうか?若者たちは「税金を少なく納める代わりに、リスクに対する個人の責任が重い社会」よりも「税金をたくさん納めても、リスクに対して社会保障など国の責任が重視される社会」の方を好むことがわかった(価値スコア3.29点)。個人が抱えきれないリスクと不安要素がますます多くなる状況で、社会のセーフティネットの強化など、国の公的な責任がより重要だと考えているのだ。

 「分配をより重視する社会」と「成長をより重視する社会」に対する価値スコアは3.97点で、中間レベルだった。「個人能力の差を補完する平等社会」と「個人能力の差を認めて競争力を重視する競争社会」への回答結果も4.02点で中間値に近かった。低成長と二極化の苦痛を最も大きく感じている青年世代が、分配と平等の価値に劣らず成長と競争力を重視する、現実的かつ複合的な認識を持ってことを示した結果として解釈される。今回の調査で目を引くのは、親の経済的地位によって、若者たちが目指す社会像にも差があるという点だ。親が金持ちであるほど保守的価値志向が、貧しいほど革新指向が高かった。一般的な政治世論調査で貧しいほど保守的な傾向を示すのとは異なる結果で、自分の経済的地位に応じた“階層意識”が比較的に強いといえる。

青年たちが望む社会像(単位:点、資料:ハンギョレ経済社会研究院)//ハンギョレ新聞社

 また青年は、中壮年世代になったときに韓国社会の革新志向の価値がさらに強化されることを望んでいることが分かった。「自分が40〜50代になったときに望ましい社会像」を尋ねたところ、連帯と協力(価値スコア3.23)、生活の質(価値スコア2.55)など5つの項目すべてにおいて、革新志向の価値がより強く表れた。シン・ユンジョン青年ハブ政策室長は「青年世代は成長と競争力のなど、中壮年世代が絶対的に依拠してきた価値では、韓国社会が持続可能ではないことを、身をもって感じている」とし「このような青年たちの価値志向を受け入れて、韓国社会が全面的な方向転換を模索することから、青年政策を始めなければならない」と評価した。

 これまで韓国社会を支配していた価値観が変化する兆しという解釈も出ている。韓国は経済協力開発機構(OECD)国家の中で物質主義志向が最も強い国だったが、青年世代で脱物質主義と分配志向性が高まり、価値観が急速に変化しているということだ。ソウル大学のチャン・ドクチン教授(社会学)は「成長、競争、物質主義などは韓国社会が急成長を成し遂げた原動力だったが、現在の韓国社会が直面した問題の根源でもある。青年たちの価値の変化は、韓国社会の変化の可能性を意味するという点で肯定的だが、中壮年世代との価値の衝突が発生する可能性がある点で、対立の素地も少なくない」と診断した。

ハン・グィヨウン・ハンギョレ経済社会研究院社会調査センター長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-30 20:39

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/706656.html  訳H.J

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