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北朝鮮の羅先市で洪水被害...復興支援で南北和解の転機に

登録:2015-08-28 23:25 修正:2015-08-29 08:12
 金第一書記、党中央軍事委会議で
 軍に直接「被害回復に全力」傾けることを命令
 「支援要請」のため被害映像を公開した様子

 政府「北朝鮮の要請があれば、支援を検討」
 野党、専門家「苦労して実現させた和解局面
 政府が先に支援を提案し手を差し伸べるべき」
台風「ゴニ」の被害を受けた咸鏡北道羅先市で住民が復旧作業を行っている=朝鮮中央テレビの画面キャプチャー/ニューシス

 金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が咸鏡北道・羅先(ナソン)市の洪水被害の復旧を軍に直接命令した。韓国政府が深刻な被害を受けた羅先市を支援することで、南北和解の雰囲気を一層盛り上げるべきという声があがっている。

 朝鮮中央通信は28日、金第1書記が党中央軍事委拡大会議で、「人民軍が羅先市の被害復旧事業を全面的に担い、党創建記念日(10月10日)前に完全に終了する内容の最高司令官命令を通達し、羅先市の被害回復のための戦闘指揮本部を組織した」と報じた。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は、「中央軍事委員会は軍の路線、方針、人事を議論する機構だが、異例的に羅先市の洪水問題を取り上げたのは、軍まで乗り出さなければならないほど洪水被害が深刻であることを物語っている」と述べた。

 これに先立ち、同通信は27日、豪雨を伴った第15号台風「ゴニ(白鳥)」が直撃した羅先市の被害映像を公開した。水浸しになった市街地と崩れた建物など、深刻な被害にみまわれた羅先市の様子が載せられた。同通信は26日に「22日から23日にかけて降り続けた250ミリメートル以上の豪雨で、羅先市では40人の人命被害が出た」と報じた。続いて「住宅の被害は1070棟、5240世代に及び、機関や企業所、学校、保育所、幼稚園、病院、診療所など99棟の公共の建物や鉄橋含む線路51本が破壊され、125町歩(約123万平方メートル)の農耕地が完全に浸水した」と伝えた。

 北朝鮮が羅先市の洪水ニュースを詳しく伝えた背景には、国際社会に支援を要請しようとする意図があるものと見られる。国際赤十字連盟(IFRC)は、朝鮮赤十字会との協議を経て咸鏡道と平壌で防水シート、家族用テント、調理器具、衛生用品や水質浄化剤などを被災地に送ったことがある。

 政府は羅先市の洪水被害と関連し、北朝鮮の要請があれば、南北関係の状況などを総合的に考慮して、支援するかどうかを検討する方針だ。チョン・ジュンヒ統一部報道官は同日、「中央軍事委員会の決議に注目している。北朝鮮の要請があったら、その時に被害状況と人道的側面を考慮して検討すべき問題だ」と述べた。

 野党と専門家らは、今回の羅先市の洪水被害支援のために、政府が積極的に乗り出すことを求めた。文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合代表は同日、最高委員・重鎮議員連席会議で「北朝鮮の羅先市の台風被害が非常に深刻だ。苦労して対話局面を作り上げただけに、互いに信頼をさらに積み上げていってほしい」とし、「南北災害共同対策機構を設けて、朝鮮半島の災害、気候変動、地震、白頭山(ペくトゥサン)の火山活動情報などを共有することを提案する」と述べた。同党の安哲秀(アン・チョルス)議員も同日、自分のソーシャル・ネットワーキン・グサービス(SNS)のアカウントで、「苦労して南北対話が始まった今が、政府レベルの人道的支援を提案する良い時期」だとして、「これからは当局間対話だけでなく、北朝鮮住民の信頼を得ることにも多くの努力を傾けなければならない」と記した。コリア研究院のキム・チャンス院長は「政府がまず北朝鮮に水害支援を提案し、羅先市の災害を克服するための南北協力から南北関係の改善の転機を作っていく必要がある」と述べた。

キム・ジフン、イ・ジョンエ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-28 19:38

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/706481.html 訳H.J

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