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地雷で凍りつく南北関係...緊張高まる解放70周年

登録:2015-08-11 22:43 修正:2015-08-12 07:00
 国防部長官「DMZでの主導権掌握に向けた作戦」
 大統領府「北朝鮮の挑発に対する謝罪と責任者の処罰」
 与党・政府・大統領府、一斉に強硬対応の砲門開く
北朝鮮軍による非武装地帯(DMZ)への地雷埋設で、韓国軍の将兵2人が重傷を負ったことで、南北関係が冷却局面に入った11日午前、京畿道坡州市の板門店で北朝鮮軍兵士たちが、フィリップ・ハモンド英国外相一行が訪問したことを受け韓国軍兵士たちをカメラで撮影している=坡州/ニューシス

 乙支演習など、年末まで悪材料が目白押し
 「強対強」対応が衝突の危機を高めるとの指摘も
 朴大統領「北朝鮮への圧迫と対話努力を並行」

京畿道・坡州(パジュ)の非武装地帯(DMZ)での地雷爆発事件で、南北関係が“視界ゼロ”の不安定な状態に陥っている。与党と政府、大統領府は一斉に砲門を開いて北朝鮮を非難し、強硬対応を予告した。これに北朝鮮が対抗する場合、軍事衝突が懸念される状況だ。強力な対応とともに、緊張を和らげ、南北関係の突破口を開くための努力も求められるとの指摘もされる。

 ミン・ギョンウク大統領府報道官は11日のブリーフィングで、「今回の事件は、北朝鮮軍が軍事境界線を不法に侵入し、木箱地雷を意図的に埋めた明白な挑発」だと規定した。ミン報道官は「北朝鮮の挑発行為は、停戦協定と南北間不可侵合意を明らかに違反したもので、私たち(韓国)は、北朝鮮が今回の挑発について謝罪し責任者を処罰することを厳重に要求する」と述べた。またハン・ミング国防部長官は同日、国会で開かれた党政協議直後、記者団に 「非武装地帯の主導権を掌握するための作戦を積極的に実施する」と発表した。セヌリ党のウォン・ユチョル院内代表も同日、国会で開かれた院内対策会議で「軍は非武装地帯の監視対策を強化し、奇襲挑発に対して直ちに断固かつ強力な報復を実施することで、追加挑発への試みを粉砕するのに総力を傾けなければならない」と要求した。

 南北間の軍事的緊張が高まる中、ただでさえ微弱だった南北対話と協力に向けた動きは急速に姿を消している。政府は、光復70周年を記念する様々な南北共同行事を進めてきたが、実績は皆無の状態だ。南北が共に参加するサッカーやテコンドー大会と京元線の復元などは、北朝鮮が反応を見せない中、事実上失敗に終わった。イ・ヒホ金大中平和センター理事長が訪朝した5日、政府は、光復70周年共同行事と離散家族の再会などを議論するための高位級会談を提案する書簡を送ろうとしたが、北朝鮮の反発を買っただけで、実現しなかった。民間団体がソウルと平壌での開催を目指していた光復(解放)70周年南北共同行事も、北朝鮮側がソウルでの記念式典への参加を拒否したことで、一歩も進んでいない状態だ。

 南北関係の突破口は見当たらないのに、緊張を高める要因は積み重なっていく。光復節の直後である今月17日から、韓米合同軍事演習を兼ねて行われる政府の訓練、「乙支(ウルチ)フォーカスレンズ(UFL)演習」が始まる。北朝鮮が10月10日の労働党創建70周年を迎え、長距離ロケット発射試験を実施する可能性も高まっている。 15日に予定された朴槿恵(パク・クネ)大統領の光復節祝辞でも、南北関係の活路を開けるような新しい提案は期待しにくい状況となった。朴大統領はこの日の午後、大統領府でフィリップ・ハモンド英国外相と接見し、北朝鮮の木箱地雷挑発などについて「政府は強力な抑止力に基づいて北朝鮮を圧迫し続ける一方で、北朝鮮との対話再開のための努力も傾けていく」と明らかにした。

 地雷爆発後、南北間の軍事的対峙の狭間にある接境地域の住民たちは、南側の対北放送再開と北朝鮮の対抗措置による衝突の可能性について不安な心境を吐露した。京畿道坡州市東坡(トンパ)里の住民、チョン・ファンシクさんは「対北朝鮮放送が危険だと思っているのなら、しなければいいのに、住民を防空壕に避難させるほど不安感を与えるようなことを、なぜするのか分からない」と緊張を高める軍の対応に懸念を示した。

 専門家たちは、情勢管理するための冷静な対応を求めた。コリア研究院のキム・チャンス院長は「今のように南北が軍事的な衝突も辞さないという姿勢に出るのは賢明とは言えない」とし「北朝鮮の非人道的な行動を国内外に知らしめるとともに、装備の改善などを通じて非武装地帯における監視能力を高めながら、長期的には南北が対人地雷禁止条約に加盟し、非武装地帯の地雷を共同で除去していく方法を模索しなければならない」と提言した。

キム・ジフン記者、坡州/パク・ギョンマン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-11 21:03

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/704094.html  訳H.J

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