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[ルポ] 米軍地雷原の京畿道北部・民間人統制区域を行く

登録:2015-07-21 00:14 修正:2015-07-21 07:32
環境団体が米国相手に地雷被害者損害賠償請求訴訟を検討
10日京畿道坡州市の民間人統制線(民統線)の山野を開墾した農耕地周辺でキム・ギホ韓国地雷除去研究所長が手に持った地雷を、チョン・インチョル生態地平政策チーム長が指している //ハンギョレ新聞社

朝鮮戦争・キューバ事態の直後に集中埋設
情報提供せずに撤収、ほとんどが未確認
最近5年間、京畿道・仁川で21人が死傷
「埋設した米軍が地雷除去に責任を負うべき」

 京畿道・坡州(パジュ)市の民間人統制区域(民統線)にある村の周辺から、在韓米軍が埋設してから50年以上が経過した対戦車・対人地雷が大量に発見され、非武装地帯(DMZ)周辺の“未確認地雷原”を放置していることが問題になっている。 DMZ周辺は数十年間にわたり人が入り込めない“生態系の宝庫”と呼ばれ、年間200万人の安保観光客が訪れている。

 10日、ハンギョレが環境団体「生態地平」や民間地雷専門家らと共に坡州市の民統線の村の裏山と農地周辺を地雷探知機で調査したところ、米軍の対人地雷(M3、M2A4)や対戦車地雷(M7、M6)が数十発発見された。

 地雷が発見された村の周辺には、地雷危険地域であることを知らせる何の警戒標識もなかった。 大人の背丈以上に茂ったブタクサの群落を踏み分けて100メートルほど山中に入ると、誰がいつ設置したか分からない錆ついた鉄条網が転がり、地雷探知機からは金属を探知した信号音が鳴り始めた。

 「米軍の地雷はたいてい対人・対戦車用が1~2メートル間隔で4個ずつセットで列んで埋められています。埋設して50年が経過し、サビ付いてはいるが、まだ雷管が生きています」。 30年間軍生活をしたキム・キホ韓国地雷除去研究所長(61)が、鍬で慎重に土を掘ると「殺傷半径最大40メートル」と言われるM3対人地雷が埋まっていた。山中の人里離れた墓地周辺には、2001年の墓地造成当時に除去されたと見られる対戦車地雷7個と対人地雷10個が露出していた。

 山野であったが最近開墾された村の前にあるチョ・ギョンス農園周辺も“地雷原”だった。耕運機やトラクターのタイヤ跡がきわどく避けたところからM7対戦車地雷が出てきたし、農園と高麗人参畑の間の農民たちの休息空間と未舗装農路、傾斜地などからも20発ほどの地雷が簡単に見つかった。 農園の周辺で発見された地雷は、生態地平が昨年3~12月にDMZ周辺の現場調査をして地中から発見し雷管を除去したものだ。 現場調査に参加したキム所長は「発見された米軍地雷の30%ほどが雷管が生きていた」と伝えた。

 生態地平、シム・サンジョン国会議員室(正義党)、軍関係者の説明を総合すると、民統線地域の米軍地雷は朝鮮戦争期間とキューバ事態の直後である1960年代初めの冷戦期に集中的に埋設された。 1970年代初めに、在韓米軍が民統線から撤収し情報が伝えられずに国軍管理外にある未確認地雷として残った。 生態地平はこうして放置された未確認の米軍地雷が坡州DMZ周辺だけで約10万発、漣川(ヨンチョン)と江原道の民統線地域まで含めば60万発になると推定した。 韓国に埋設されたと推定される地雷は合計100万~120万発だが、国軍が埋設した前方の60万発と後方防空基地39カ所付近の6万402発を除いた残りは米軍の地雷である。 後方の防空基地地雷は国防部が除去作業に乗り出し昨年までに5万7314発を除去し、残った3088発は流失し行方がわからない。

 未確認地雷は最近になって民統線開発が増え、現地住民や出入り営農者はもちろんDMZを訪れる観光客にとっても脅威になっている。 民統線の村のある住民は「工事して地雷が出てくれば面倒な問題になるかと思い、申告せずに地中深くうずめてしまったり、自分たちで適当に処理するケースが多い。 昨年観光客が道端から地雷を持ってきて驚いたこともあった」と話した。

 実際、昨年7月には坡州津東(チンドン)面で住民が廃ビニールを燃やしたところ、地雷が爆発して負傷するなど最近5年間に京畿道と仁川地域で21人が地雷事故で死亡または負傷した。 生態地平が事故記録を調査分析した民間人地雷被害は、死亡289人、負傷253人に達しており、軍人の事故と未確認分まで加えれば被害者は1千人を超えると見通した。

 チョン・インチョル生態地平政策チーム長は「分断という特殊な状況であっても、軍の作戦上不必要な後方の生活余暇空間と民統線地域の田畑周辺の地雷は国民の安全のために除去しなければならない。 在韓米軍が埋設情報を伝えたのか伝えなかったのか詳しい内幕は分からないが、地雷が米軍のものと明らかになった以上、原因提供者である米国が責任を負わなければならない」と話した。 生態地平は米国を相手に地雷被害者損害賠償請求訴訟を検討する方針だ。

 シム・サンジョン議員は「分断70年を迎えた時点で、政府、国会、民間が共同で民間人地域の地雷分布調査と管理方案を用意しなければならない。 フィリピンの場合、残留爆発物の処理費用を米軍が支払った事例があり、米国が対人地雷禁止協約であるオタワ協約に署名した以上、地雷の除去費用は米軍が負担すべきだ」と話した。

坡州/文・写真 パク・ギョンマン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/701104.html 韓国語原文入力:2015-07-20 22:10
訳J.S(2351字)

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