北朝鮮が埋めた木箱地雷が爆発し、韓国軍の兵士2人が重傷を負ったにもかかわらず、この一週間、統一部と国防部、大統領府が違う動きを見せたことで、(政府の対応の)一貫性のなさが批判されている。対北朝鮮の協力と安全保障を総括する大統領府の国家安保室がコントロールタワーとしての役割を果たせていないと指摘されているのだ。
ミン・ギョンウク大統領府報道官は11日、「今回の事件は、北朝鮮軍が軍事境界線を不法に侵入し、木箱地雷を意図的に埋めた明白な挑発」だとし「北朝鮮の挑発行為は、停戦協定と南北間不可侵合意を明らかに違反したもので、私たち(韓国)は北朝鮮が今回の挑発に対して謝罪し責任者を処罰することを厳重に要求する」と述べた。事件が発生した4日から一週間後に、大統領府が初めて示した公式の反応だ。
大統領府は、国防部が事件の概要を公式発表した10日にも目立った動きを見せなかった。朴槿恵(パク・クネ)大統領はこの日に開かれた首席秘書官会議で、北朝鮮の標準時間変更の発表に対し「南北対話と同質性回復のための一連の措置を提案している状況で、北朝鮮が標準時間の変更を発表したのは非常に残念だ」と批判しただけで、地雷挑発について言及しなかった。これに先立ち、事件発生の翌日の5日から10日まで、統一部は毎日午前に北朝鮮に対し高位級会談の提案を盛り込んだ書簡の伝達を試みており、朴大統領は5日、江原道鉄原(チョルウォン)郡で開かれた「京元線南側区間起工式」に参加し、「南北協力を通じて北朝鮮経済を発展させ、北朝鮮の住民たちの生活が実質的に向上できるように、力と知恵を集めていく」と強調した。
しかし、この期間中に国防部は「北朝鮮製の木箱地雷が爆発したようだ」(6日)として報道を見送ることを要請しており、8日にはハン・ミング国防長官が出席した中、大統領府で国家安全保障会議(NSC)が開かれ、対応策が議論された。この日の結果は、キム・クァンジン国家安全保障室長が朴大統領に直接報告したと伝えられた。結局、非武装地帯で発生した地雷の爆発事故で軍将兵が重傷を負ってから、北朝鮮軍の仕業と疑って調査が行われたここ一週間、統一部は北朝鮮に対話を提案し、朴大統領は「南北協力」を強調していたことになる。さらに10日には、統一部が高位級会談を提案(午前10時)したのとほぼ同じ時刻に、国防部では地雷爆発事件のブリーフィング(10時30分)が行われた。外交と安保のコントロールタワーの大統領府国家安保室が職務を怠ったと批判されるのもそのためだ。 11日、大統領府が強硬対応に転じたのも、政府内の混乱を意識して遅れて“方針統一”に向けて動き出したものという解釈も出ている。
これに対して、大統領府側は、国防部の調査結果の発表後、「厳正な対処」という基調を明らかにしたものと説明した。また、挑発には徹底的に対応するが、会話のための努力もまた別のチャンネルで続けていかなければならないという立場を明らかにしている。朴大統領はこの日の午後、フィリップ・ハモンド英国外相と接見し、「韓国政府は、強力な抑止力に基づいて、北朝鮮を圧迫し続ける一方で、北朝鮮との対話再開のための努力も傾けていく」と話したと大統領府は伝えた。
しかし、政府の一貫しない態度を批判する声が高まっている。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は、「大統領府国家安保室が機能を果たせたなら、事件当初から政府が方針を統一して国民を納得させなければならなかった」と指摘した。政府の方向の定まらない動きで事件の予防と徹底した調査、再発防止に努力など“三拍子”が揃っていなければならないという批判だ。キム・ジョンデ「ディフェンス21プラス」編集長も「もし北朝鮮の挑発と判断したなら、その部隊は非常事態を宣言し、合同参謀は危機対策班を召集するなどの対応措置が取られるべきだったが、それどころか事故発生から6日が過ぎて、唐突にも病院への移送のような事後措置の成功を強調する発表が出てきた」とし「最初の報告がどのような内容で行われ、軍がどのように対応したのかも、必ず明らかにしなければならない」と述べた。
韓国語原文入力:2015-08-11 19:44