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ソウル高裁、育児休職給与が少なく工事現場で働いた男性に「給与返却」命じる

登録:2015-08-04 23:23 修正:2015-08-05 16:54
 最低賃金にも満たず生活困難で日当を得る
 専門家「上限100万ウォンは非現実的」

 ソウル高裁が3日、育児休職給与だけでは生活が困難なため工事現場で働き日当を得ていた男性労働者に休職給与を返却せよとの判決を下し、育児休職給与の水準を現実化し実質的な生計補填にしなければならないという声が再び高まっている。

Pixabay提供 //ハンギョレ新聞社

 現在、育児休職給与は月間通常賃金の40%(上限額100万ウォン、下限額50万ウォン、1円=9ウォン)が支給されている。通常賃金が月額200万ウォンの労働者は休職期間に毎月80万ウォンを受け取るという意味だ。 今年5月に韓国雇用情報院が発表した育児休職者の月平均給与は1人当り86万6000ウォンだった。 2014年基準の「都市勤労者月平均所得(2人基準)」が387万ウォンで、2015年の2人世帯最低生計費が105万ウォンであることを考慮すれば極めて低い水準だ。 そのために片親・専業主婦家庭では気軽に育児休職を取れないのが現実だ。

年度別育児休業取得者数 //ハンギョレ新聞社

 これを改善するために育児休職給与を上方修正する法案が数回提出された。 今年4月、パク・グァンオン新政治民主連合議員は育児休職給与を月最低賃金の水準である116万ウォンに引き上げる内容の「雇用保険法改正案」を発議し、同党のパク・ワンジュ議員も先月育児休職給与を通常賃金の40%から50%に引き上げる法案を出した。 パク議員案の場合、追加で必要となる財源は2016~2020年に毎年2416億~3484億ウォンで、5年間で計1兆4516億ウォンが必要になるというのが国会予算政策処の分析だ。

 ホン・スンア韓国女性政策研究院研究委員は4日、「育児休職給与だけでは生活が不可能なので貯蓄を取り崩したという人が多い。 育児休職給与だけで日常生活を可能にしようというのが法の趣旨なのに、上限額が100万ウォンにとどまるというのはあまりに非現実的」と批判した。 育児休職中のパクさん(32)は「会社の顔色を伺って育児休職を使えない場合もあるが、生計のために育児休職を躊躇うケースがより多い」と話した。

 2014年10月から共稼ぎの両親が交替で育児休職に入る場合、二番目の育児休職者には最初の月の育児休職給与として通常賃金の100%を支給する「父の月」が施行されているが、「最初の月」に限定される上に、上限額も150万ウォンに過ぎない。 スウェーデンやドイツなどの福祉先進国は育児休職給与を賃金の70~80%まで支給している。

パク・スジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/703134.html 韓国語原文入力:2015-08-04 20:31
訳J.S(1212字)

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