米国防総省は過去10年間、韓国など全世界7カ国に生きている炭疽菌を配送する事故があったと公式確認した。しかし、炭疽菌が生きている状態で配送された根本的な原因は把握できなかったと述べた。にもかかわらず、在韓米軍が韓国から生物兵器防御プログラムを続行するという意思を明らかにしたことで、問題になっている。
米国防総省は23日(現地時間)「炭疽菌の胞子死菌化に関連した実験手順の総合検討委員会」が作成した「意図しなかった、生きている炭疽菌の配送」という題名の報告書を発表した。報告書は「米国防総省傘下のユタ州ダグウェイ研究所で、過去10年間、日本、イギリス、韓国、オーストラリア、カナダ、イタリア、ドイツなど7カ国86カ所の実験室に生きている炭疽菌が配送された事例があった」と明らかにした。報告書は、「これは深刻な違反」だと指摘したが、炭疽菌がいかなる理由で生きている状態での発送されたのかについては、具体的に識別できていないと伝えた。報告書は、「ダグウェイ研究所での生存性試験で使用した試料量が少なく、放射線照射作業と生存性試験との間の時間が非常に短かったことが、生きている炭疽菌の配送に作用した可能性がある」とし、状況的な判断を示しただけだ。
米国防総省のフランク・ケンドール次官(調達・軍需担当)は、報告書の公開後に行った記者との質疑応答で「言い訳の余地のない過ちであり、決して起きてはならないことだった」と述べた。さらに「(炭疽菌が韓国では)烏山空軍基地の研究室に実験用として送られただけで、他の場所(在韓米軍基地)には配送されていないと聞いている」と説明した。今後も引き続き、炭疽菌を韓国に送るのかという質問には、「現時点では、その意図がない」とし、「これからどうするかについては、推測できない」という可能性を残した。
在韓米軍も、韓国との協議を前提に、「ジュピター」プログラムなどの生物兵器防御プログラムは続行するという意思を、改めて明らかにした。カーティス・スカパロッティ在韓米軍司令官は24日、米国防総省の発表後、報道資料を出して「韓米同盟の生物兵器防御プログラムは、非常に現実的で深刻な生物脅威に直面した、両国軍の準備態勢と防御能力を増強するように設計された」とし「生物兵器防御プログラムの継続的な協議を保証する」と強調した。
韓国国防部もこの日、報道資料を出し、在韓米軍への炭疽菌配達事故調査のために先月11日に発足した米韓合同実務団が、民間の専門家とともに「最短時間内に在韓米軍烏山基地の現場を訪問して炭疽菌配達事故について徹底的に確認する」と明らかにした。国防部の関係者は、「在韓米軍側が炭疽菌の配達は今回が初めてだとしたが、過去に何があったのかについても調査するつもりであり、調査対象に制限はない」と述べた。
しかし、在韓米軍が生物兵器防御プログラムを続ける意思を明らかにした状況で、現場調査、炭疽菌事故が発生してから2カ月後に行われることについて、“後の祭り”にすぎない対応ではないかという指摘が出ている。キム・ヒョンソン保健医療団体連合政策室長は「炭疽菌以外に生物戦に備えるための他の高危険性の物質が、以前に入ってきた事実はないのかなどを徹底的に調査しなければならない」と指摘した。そして「米国が事故原因を明らかにできなかったということは、再発防止策も用意できないという意味」だとし「在韓米軍が安全を保障できない状態で生物兵器防御プログラムを韓国で実行するのは容認できない」と述べた。
韓国語原文入力: 2015-07-24 20:13