韓国と同様、ドイツでも米軍基地内の生化学戦研究所に活性化された炭疽菌が配送されたという事実が最近明らかになり、ドイツ社会は騒然となった。 米軍基地が存在する地域の市長と州首相が 「こんな事が二度と繰り返されてはならない」と強力に抗議し、在独米軍は直ちに地域の市長に研究所を公開するなど鎮火に出た。 炭疽菌配送事故後2カ月近く経つ今も、在韓米軍が事故に対する経緯説明さえしていないのに、地方政府も中央政府も碌な抗議一言出ない韓国の状況と対比される。
19日の米軍機関紙スターズ・アンド・ストライプスとドイツの南西ドイツ放送(SWR)の報道によれば、米軍は2005年に活性化された可能性のある炭疽菌標本をドイツのラインラント・ファルツ州ラントシュトゥル市にある米軍医療研究室に送った事実があると明らかにした。 米軍はこの炭疽菌標本は使われることなく2013年7月に廃棄されたと発表した。 このような事実は11日、ドイツの『ビルト』誌が2007、2009、2010年の計3回にわたり炭疽菌がドイツの米軍研究室に配達されたと報道した記事に米軍が反駁して明らかになった。
炭疽菌搬入の事実が知られると、ドイツの自治体長が強く反発した。 ラントシュトル市のピーター・デゲンハルト市長は「(米軍の炭疽菌配送・実験を)強く憂慮し不快に思う」として「(米軍は)2005年に何故この研究所に炭疽菌標本を持ちこんだのかを明らかにしていない」と発言。 さらに「我々が(基地事故発生の時、米軍に)消防士を送る支援活動を中止することもありうる」として、米軍に対する地方自治体レベルの制裁もあり得ると警告した。 ラインラント・ファルツ州のマルー・ドライア首相も「我々が(炭疽菌搬入)情報を受けられなかった状況は絶対に受け入れることができない」と強力に警告した。在独米軍もこの16日、デゲンハルト市長に問題の研究所を公開するなど素早く対応した。
同じような事故が発生した韓国では、状況は違っていた。 炭疽菌事故が起こった烏山(オサン)空軍基地がある京畿道のナム・ギョンピル知事は、事故公開後1カ月半以上も経った7日にマーク・リッパート米大使に会って「炭疽菌問題に関して明確な説明と情報公開が必要だ」と言った。 コン・ジェグァン平沢(ピョンテク)市長は5月30日に在韓米軍司令官に会って「二度と(事故が)発生しないよう在韓米軍側の関心をお願いする」と要請しただけで、警告と抗議の意思は伝えなかった。
ドイツと韓国の自治体長の対照的な対応は、両国の駐屯軍地位協定(SOFA)の規定の差から来ているとも指摘される。 ドイツでは米軍が炭疽菌のような危険物質を搬入する際、事前にドイツ政府の承認を受けるようSOFAに規定されている。 一方韓国では、承認権どころか事前通報規定すらない。 ドイツでは米軍が炭疽菌を無断搬入した場合、SOFA規定違反であるから自治体長から堂々と抗議と警告を送ることができる反面、韓国では在韓米軍の善意による再発防止を哀願しなければならない境遇なわけだ。保健医療団体連合のキム・ヒョンソン政策室長は「ドイツと違って韓国の自治体長がアメリカに抗議の一言も言えない不平等な現実を改善しなければならない」と述べた。