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最低賃金大幅引き上げは口先だけ…時給48円引上げ

登録:2015-07-09 22:05 修正:2015-07-22 16:26
 朴大統領の選挙公約「5年間で40%引き上げ」
 チェ・ギョンファン副首相「内需拡大するためには急速に上げるべき」
 「時給1万ウォン・2桁引き上げ」期待を膨らませて...
 労働界委員退場した中で8.1%上げた6030ウォンに決定
先月29日午後、政府世宗庁舎で開かれた最低賃金委員会8回総会の様子。法定期限を控えて経営界委員たちが欠席した=世宗/チョン・ジョンフィ記者//ハンギョレ新聞社

 労働界委員たちが欠席した中で、来年の最低賃金が今年より8.1%上回る時給6030ウォン(646円)に決定された。最低賃金委員会は「初めて6000ウォン台に入った」と広報した。しかし、これは最低賃金の大幅引き上げを強調してきた朴槿恵(パク・クネ)大統領とチェ・ギョンファン経済副首相の発言や、与党と政府、大統領府の最低賃金引き上げの議論で高まった期待感に到底及ばないものだ。

過去10年間の最低賃金額・引き上げ率(資料:最低賃金委員会)。棒グラフ:時給(ウォン)の推移。線グラフ:引き上げ率(%)の推移 //ハンギョレ新聞社

 最低賃金委員会は9日、未明1時頃、第12回総会に出席した経営界・公益委員16人のうち15人の賛成で、2016年の最低賃金時給を8.1%上げた6030ウォンに決定したと発表した。来年度から最低時給と併記される給料(週40時間労働に週1回の有給週休ベース)基準では126万270ウォン(13万957円)だ。最低賃金委員会は、今回の決定に賃金が上がる労働者が342万人に達すると推定した。 8.1%の引き上げ率は、朴槿恵政権発足以来、2014年の7.2%、2015年の7.1%よりも高い数値だ。しかし、労働界が当初要求した時給1万ウォン(79.2%、1071円)を大幅に下回っており、「2007年以降、9年ぶりの2桁引き上げ率」という期待も満たせないものだ。

 労働界が引き上げ案を出し、経営界が凍結案で対抗すれば、政府が任命した公益委員が小幅の引上げ率で仲裁を図る“悪習”が今年も繰り返された。 6月18日に開かれた第5回総会で、労働界は最低賃金の最初の要求案として時給1万ウォン(79.2%)を、経営界は凍結案を提示した。経営界は5.8%削減案を提示した2010年を除いて、2008年以来、今まで毎年凍結を主張してきた。 8日、労働界が8100ウォン(45.2%)、経営界が5715ウォン(2.4%)の修正案を、公益委員は5940〜6120ウォン(6.5%〜9.7%)という審議促進案を提示した。労働界委員9人は「公益委員の案は低賃金労働者を絶望させる内容であり、最低賃金引き上げを通じた労働市場の二極化の緩和と経済の活性化に逆行するもの」だとし、集団退場した。

 労働界委員が欠席した状況で、第12回全員会議が8日午後7時30分頃に開かれ、法定期限を十日過ぎた9日未明、6030ウォン案に対する投票が始まった。投票直前、経営界委員のキム・デジュン韓国コンピュータソフトウェア販売協同組合理事長とチェ・スンジェ小商工人連合会長は引き上げ率が高いとの理由で退場した。パク・ジュンソン最低賃金委員長は、「今年の団体協約の賃上げ率と賃金引き上げの見通しなど4.4%と所得分配の改善分2.1%、生活費の反映など1.6%を基準に、8.1%引き上げ案が算出された」と説明した。民主労総は、来年の最低賃金の決定額が昨年未婚単身世帯の生活費155万3390ウォン(16万6346円)の81%に過ぎず、昨年の所得分配の改善値(2.5%)よりも後退したと批判した。

アルバイト労働組合のパク・ジョンハ(左)、イ・ガヒョン組合員が3日昼、ソウル国会前で一時間働いて1万ウォンももらえないアルバイトの境遇をゴミ袋で風刺するパフォーマンスを行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 今年の最低賃金引き上げに対する関心は特に大きかった。国内ではチェ・ギョンファン経済副首相が3月に「内需を拡大するためには、最低賃金を急速に上げるしかない」とし、最低賃金引き上げの議論に火を付けた。これに先立ち、朴槿恵大統領は大統領選挙候補時代、経済成長率と物価上昇率、所得分配調整額を加えた最低賃金引き上げの基準を設けて、5年間の最低賃金を40%引き上げする公約を掲げた。国外では、オバマ米大統領が最低賃金10.10ドル引き上げ議論を主導し、日本の安倍晋三首相は、企業を相手に賃上げを重ねて促してきた。ドイツは低賃金労働者の保護のために最低賃金(8.5ユーロ)制を導入した。

 しかし、結果は、時給450ウォン(48円)引き上げ。泰山鳴動して鼠一匹(騒ぎばかり大きく、結果が伴わない様子)であり、空の容器が一番大きな音を立てる格好だ。民主労総は「朴槿恵政権は、最低賃金大幅引き上げを通じた所得の二極化の緩和と、庶民経済の活性化という国民的期待を裏切った」と批判した。韓国労総は「チェ・ギョンファン経済副首相は、最低賃金の引き上げ、所得主導の成長、内需活性化を強調した」とし「今回だけは、少なくとも2桁引き上げは実現すると期待していた700万の低賃金労働者は、政府に失望と裏切りを感じている」と述べた。

キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-09 16:53

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/699564.html  訳H.J

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