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老いるほど貧しくなる韓国...2人に1人が貧困層

登録:2015-01-14 00:53 修正:2015-01-14 07:51
高齢者の求職「至難のわざ」
65歳以上高齢者の貧困率48.1%
OECD平均11%よりはるかに高い
中壮年→老年貧困率急上昇
高齢者の雇用不足が最大の原因
政府推進事業も月20万ウォン満たない
韓国の老人貧困率は50%に肉迫する。政府は高齢者の社会参加機会拡大と貧困率緩和のため高齢者事業を推進中だが、低賃金と働き口不足などの問題で大きな効果を上げられずにいる。写真はある老人が廃材を集め古物商に運んでいる様子。イ・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国は高齢者が貧しい国だ。それも非常に深刻な水準だ。統計庁が昨年9月に出した「2014年高齢者統計」によると、高齢者の貧困率は48.1%に達する。 65歳以上の高齢者の2に1人が貧困層だということだ。経済協力開発機構(OECD)に属する国の平均値(11%前後)からすると、いくら「高齢者貧困率1位の国」とはいえ、50%に迫る韓国の高齢者貧困率は正常とは言えない。韓国の次に高齢者が貧しい国はオーストラリアで30.2%だった。高齢者福祉制度が行き届いているオランダとルクセンブルクの高齢者貧困率はそれぞれ1.5%、2.8%だ。

 高齢者貧困率をライフサイクルごとに見てみると、問題の原因がもっと鮮明になる。現代経済研究院が昨年10月に発表した「高齢化に伴う老年扶養負担と示唆点」という研究報告書によると、OECDの2012年統計などを基に案出した韓国の平均貧困率は41〜50歳8.9%、51〜65歳17.3%、66〜75歳45.6%だ。OECD国の年齢別貧困率は、韓国とは全く異なる(41〜50歳9.5%、51〜65歳の9.9%、66〜75歳の11%)。他の国と異なり韓国の貧困率は中年から壮年に、そして老年になるにつれ、急激に高くなるという意味だ。これに対し報告書は、「韓国の場合、50代以前には安定した収入に基づき中間層の生活を営んでいるが、50代以降は雇用の安定性が低下し老後への準備が不足している脆弱階層に転落する傾向がある」と指摘した。また、「特に50代以上が引退後、生計型創業を始めるが、自営業における同種業間の過度な競争の中で生き残れず廃業と失敗を経験する現象がある」と付け加えた。

 年齢を重ねていく人々にとってもう一つの憂鬱なニュースは高齢化の速度だ。国連が定めた基準によると、65歳以上が全体の人口の7%以上であれば高齢化社会、14%以上であれば高齢社会、20%以上であれば超高齢社会に当たるが、韓国はすでに2000年に「高齢化社会」に入った。続いて、3年後の2018年になると「高齢社会」への仲間入りが確実視される。超高齢社会への進入予想時点も2026年で、これから10年ほどしか残っていない。高齢化社会から高齢社会に、さらに超高齢社会に突入する時間がそれぞれ18年、8年しかかからないのも、日本や米国、ドイツなど他の先進国に比べ最も速いスピードだ。少子化の国で高齢者人口が急激に増えてきたというのは、彼らを扶養しなければなら生産可能人口(15〜64歳)が似たような速度で減少することを意味する。統計庁の人口統計などを活用して行われた現代経済研究院の計算によると、「実際の1人当たり(就業者基準)老年扶養負担額」は、2000年12万7000ウォン(約1万4000円、1ウォンは約0.11円、以下同)から2013年には20万1000ウォンに跳ね上がった。

 貧しい老人は増え、彼らを扶養しなければならない(比較的に)若い世代の負担が多くなることに対する一次的な解決策は、高齢者の雇用拡大だ。キム・グァンソク現代経済研究院先任研究員は8日、「高齢者を扶養する世帯の雇用を拡大して扶養能力を引き上げることも重要だが、それに先立ち高齢者の雇用率を引き上げ、高齢者人口が引退に伴い急に貧困層に転落することを防がなければならない」と述べた。

 問題は、高齢者にとって「良い」働き口が少ないという事実だ。政府は、高齢者の貧困率の上昇を最大限に抑えるため、2004年から高齢者雇用事業を実施中であるが、効果が大きくない。種類の数は多いが、低賃金などの問題に貧困緩和に実質的な効果はほとんどないという評価が多い。保健福祉部が推進する高齢者雇用事業は大きく2種類に分けられる。社会貢献型と市場進入型だ。まず、社会貢献型の雇用は政府が「高齢者の雇用予算」で参加高齢者の人件費と経費を全額支援することを特徴とする。市場進入型の雇用は、政府が事業費支援などを通じて高齢者起業を促し、高齢者雇用率を高めようという趣旨だ。

 二つの雇用両方に制限があるが、社会貢献型は「雇用」は安定的だが、人件費がネックになっている。この仕事のプロジェクトに参加する高齢者は、月に20万ウォンの「賃金」を受け取る。これを年俸で計算すれば192万〜256万ウォンに過ぎない。市場型はそれさえも固定的に得ることができる収入がない。例えばショッピングバッグ製造業や包装業、食品製造業などに参加し、市場で得る成果だけ収入として持って行けとおいうのが市場進入型雇用事業の趣旨だが、資本力と技術力の両方が劣る高齢者たちの「零細」事業団が市場で生き残るのは容易ではない。したがって、仕事をしたいと思う大多数の高齢者は月に20万ウォンさえも得られない市場型より薄給でも社会貢献型を好む。 「月給20万ウォンの仕事」さえ簡単に得られないのが高齢者の現実なのである。

コ・ヒョンジョン老年ユニオン事務局長は「市場進入型雇用事業を実施するとしながらも、創業のための施設への支援や、起業家精神と関連した教育の機会の提供など制度的な裏付けがないので、規模が零細なお年寄り事業の成功率が低くならざるを得ない」とし、「高齢者雇用事業が安定するためには、まず、政府がこの事業の趣旨と目標をしっかり確立しなければならない」と指摘した。コ事務局長はまた、「特に市場型雇用は種類の数を増やすよりも施設への支援を強化するなど、中身をより充実化する必要がある」と述べた。

チェ・ソンジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/13 20:12

https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/673448.html 訳H.J

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