12日に開かれた政府の審議機構である国家エネルギー委員会の会議では、古里1号機の寿命再延長と関連して経済性と安定性の両面から疑問があるという意見が多数を占めた。
先ず、経済性に関連しては原発事業者である韓国水力原子力(韓水原)は、寿命をもう一度延長する場合、永久停止する場合より利用率(80~85%)と販売単価などにより1792億~2655億ウォン有利になると提示した。 しかし、この場合に発生すると見られる地域支援金は計算に反映されておらず、経済性判定に不確実性があるという反論が出された。2007年に一度稼動延長が決定された後、地域支援金として1310億ウォンがかかった。古里1号機の設備容量が587MWで、設備予備率の0.5%に過ぎない点も経済性判断の際に考慮された。
安全性についても韓水原の分析は説得力を得られなかった。 韓水原は2014年7月~2015年5月に安全性評価を実施した結果、原子力安全法の基準である158の項目で全て“満足”評価を受けたと明らかにした。 しかし、古里1号機はこの間、頻繁な故障で釜山地域の住民たちの不安を大きくした。現在運用中の23基の原子力発電所の故障事例690件のうち20%近い136件が古里1号機で発生している。
韓水原では安全だと言うが
原発23基全体の故障690件中136件20%
釜山地域住民の不安を高め
地域支援金を控除すれば経済性不確実
前現職の役職員100人余りが不正に関与
廃炉技術開発も緊急課題
その上、2011年の日本の福島原発事故後、原子力発電所の安全性問題に対する憂慮が高まっている点、相次いだ原発納品不正で2013~2014年に前・現職の韓水原役職員100人余が起訴されるなど、事業当事者に対する信頼が回復し難い状況になっている点も、古里1号機の廃炉決定に総合的に反映されたと見られる。 産業通商資源部関係者は「安全性の細部的な問題は高度な技術的内容であり、委員会の会議過程で具体的に提起されていないが、国民の目線で見れば既に信頼が大きく崩れているのではないかという意見が多数を占めた」と明らかにした。
韓国初の商業運転原発である古里1号機が稼動してから37年間、韓国国内の原子力発電産業は拡大の一途を歩んできた。 コストの安い電力生産に、二酸化炭素など大気汚染物質が発生しない長所のおかげで、李明博政権時には20%台水準の原子力発電所の電力生産比重を2035年までに40%台に高める計画をたてたこともある。 しかし、2011年の福島原発事故等で原子力発電所の危険性に対する問題提起が本格化し、2014年に入り2035年の原子力発電所比重目標を29%に下方修正した。 2014年末現在の原子力発電所比重は23.5%だ。
廃炉は多くの費用がかかる作業で、原子力発電所産業にとって新たな段階の開始といえる。 今回の初の廃炉勧告決定により、これまで短期的な経済性論理に隠されてきた原子力発電所産業の長期的安全性・経済性を巡る議論が一層力を得るものと予想される。 また、国内では不足している廃炉技術開発と、全世界的に需要が台頭している原子力発電所解体産業の育成も本格化すると期待される。 この日、環境運動連合は「古里1号機を安全に閉鎖できるよう、政府と専門家、地域住民、環境団体などが幅広く参加した社会的議論機構を用意しなければならない」と提案した。
今回の決定が下されても、原子力発電に対する現政権の基調は維持または拡大に重きが置かれている。最初の延長有無判断が迫った月城(ウォルソン)1号機に対して、原子力安全委員会は11日に再稼働最終承認を決め、今月中に稼動する予定だ。 8日に発表された7次エネルギー需給基本計画で産業部は、石炭火力発電所4基の建設計画を放棄するとし、原子力発電所については2基増やすと明らかにした。 今後、原子力発電所は35基まで増える計画だ。