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批判世論に慌てて行った病院公表を「大統領の指示」と強調

登録:2015-06-07 22:48 修正:2015-06-08 07:04
 コントロールタワー不在で総括的に対応できず
 無能・無原則で国民に不信感募らせる
チェ・ギョンファン国務総理職務代行とムン・ヒョンピョ保健福祉部長官(前から2番目)などが7日午前、政府世宗庁舎でMERS対応措置を発表するためブリーフィングルームに向かっている //ハンギョレ新聞社

 政府の遅れた対応と政策の混乱で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスが急速に広がり、国民の不安感もますます大きくなっている。首相不在の中、大統領府もリーダーシップを発揮せず、MERS対応を総括するコントロールタワー機能も作動していない状況だ。国民の不安を理由に病院の公開を拒否していた政府が、数日後に公開方針に転じるなど、防疫当局の無能と無原則に対する国民の不信感と疲労感もピークに達している。

情報公開に右往左往...遅れた病院公開は大統領の指示を強調

 首相代行のチェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部長官は7日、緊急記者会見を開き、MERS感染に関連する病院の名前を公開したが、この過程で混乱と偽りの釈明があった疑いまで浮上している。

 チェ副首相がこの日、病院の情報を公開したのは、世論に押された側面が大きい。ソウル市など地方自治体長さえ先に情報を公開した状況で、非公開にこだわり続けたら、世論が大きく悪化することを意識した措置とみられる。すでにインターネットやソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)などで病院の情報が共有されており、情報非公開によるメリットもない状況だった。発表時間を2回も延期し、発表された病院の情報さえも間違えて再び訂正する騒ぎになったことからも、この日の病院情報の開示がいかに拙速に行われたのかが窺える。

 チェ副首相はまた、同日のブリーフィングで、「大統領が今月3日、MERS対応官民合同緊急点検会議で、患者が発生した医療機関を透明に知らせなければならないと指示した」とし、この日の病院の公開が大統領の指示に従ったものと強調することに力を入れていた。しかし、最後の3日、朴大統領主宰の会議後、ヒョン・ジョンテク大統領府政策調整首席は「患者を隔離収容している病院を公開するか否かは(重要な)ポイントではない。 (感染者)30人のうち25人が病院で発生しており、その病院は閉鎖した状態」だと病院情報公開を拒否した。病院公開が朴大統領の指示と何の関係もないのに、朴大統領に対する国民の不満が大きくなるような状況で、国民が望む内容を朴大統領の指示のおかげにしようと努めた様子だ。

今回も大統領府はコントロールタワーではない

 セウォル号事故直後、厳しい批判を受けた“コントロールタワー”の不在は、今回のMERS対応でもそのまま繰り返された。不十分な初期対応を認めようとしなかったため、安易な対応が続いてしまった。大統領府は、MERSへの初期対応が不十分だったことに対する批判が殺到していた今月2日、大統領ではなく、政策調整首席の主宰で最初の緊急点検会議を開き、「緊急対策チームを構成する」と発表した。朴大統領は3日、再び官民合同緊急点検会議を主宰した後、「総合対応タスクフォース(TF)」の構成方針を発表した。しかし、それ以降もムン・ヒョンピョ福祉部長官が以前と同じように状況を主導している。 7日、チェ・ギョンファン副首相は、「MERS対応関連窓口を保健福祉部に一元化する」と発表した。政府のMERS対応を統括する場所が大統領府なのか、総理室なのか、保健福祉部なのか、依然として明確ではない、朴大統領が指示した「総合対応タスクフォース」はどんな役割をしているのか、活動の様子が見当たらない。朴大統領は5日、国立中央医療院を訪問し、「自治体の独自の解決は混乱を招くだけだ」と述べたが、“コントロールタワー”が明確でない政府の対応が、より大きな混乱を招いているという批判を免れないものと見られる。

 このような状況で、政府の対応を総括しなければならないチェ・ギョンファン首相代行は2日、英国へ海外出張に出かけ、6日午後、大急ぎで帰国するなど、危機意識の不在を表わしており、その間法務部をはじめとする司正機関は、連日「流言飛語を流布する者は厳重処罰する」など、厳正な対処だけを強調した。

ソク・チンファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-07 20:10

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/694680.html  訳H.J

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