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[記者手帳]北朝鮮と集団的自衛権

登録:2015-06-08 00:29 修正:2015-06-08 05:24
アジア安保会議(シャングリラ対話)に参加しているハン・ミング国防長官が5月30日、シンガポールで中谷元・防衛相と韓日国防長官会談に先立ち握手している=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 先月30日、韓日防衛相会談を取材するうちに、韓国がますます困難な状況に追い込まれているような気がした。シンガポールで4年ぶりに行われた今回の会談では、日本の集団的自衛権の問題が議題に上がった。日本が昨年7月に集団的自衛権行使を容認し、2カ月前にこれを反映した日米防衛協力のための指針の見直しが行われ、自衛隊の朝鮮半島への進出が懸念されたのだから、当然のことである。しかし、自衛隊が韓国の事前同意なしには朝鮮半島に入れないという約束を取り付けようとしたハン・ミング長官に、中谷元防衛相は“半分”の確答を与えただけだった。朝鮮半島の南側については「国際法に基づいて、その国の同意を得ることが、日本政府の方針だ」と安心させたが、北側に対しては「今後議論しよう」と明言を避けた。 「北朝鮮も憲法上、韓国の領土」というハン長官の論理に「そうですね...」と首をかしげたわけだ。

 北朝鮮の実体をめぐる議論は、今に始まったことではない。 50年前の韓日国交正常化の過程でも議論になったし、その結果、韓日基本条約3条は1948年12月採択された「国連の韓国政府承認案」を援用し、「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」と折衝した内容となった。かねてから国連の決定をめぐり、韓国政府を「朝鮮半島の唯一の合法的な政府」と認めたという解釈と、「1948年5月10日、国連監視下の選挙を行った地域(38度線以南)で唯一の合法的な政府」と規定したという解釈に分かれた事実に照らしてみると、韓日間でお互いに便利に解釈する余地を残したのである。

 しかし、北朝鮮政権の国際法的実体は、1991年9月の南北の国連同時加入で既に否定できないのが現実だ。そのような状況で、「大韓民国の領土は韓半島とその付属島嶼とする」と規定した憲法3条をもって自衛隊の活動を制御するのは、容易ではないと思われる。だからといって自衛隊が私たちの意志とは無関係に、北朝鮮を攻撃する権利があると認めなければならないのか。そうではないだろう。

 1994年、米国が北朝鮮を爆撃しようとしたことがある。北朝鮮が先に国際原子力機関(IAEA)の特別査察決議に対抗し、核拡散防止条約(NPT)を脱退すると、寧辺(ヨンビョン)の核施設の対する爆撃を準備した。当時、金泳三(キム・ヨンサム)政権は全面戦争を懸念し、これに反対した。北朝鮮に対する軍事行動は、韓国の安全保障に直接的な影響を与えるというものであった。自衛隊の集団的自衛権の行使にも、このような論理を適用できないだろうか?南北関係は民族内部の特殊関係であり、直接的な安全保障の利益が絡んでいるので、事前協議と同意の対象になると。

 これまで、朝鮮半島の安保環境において“日本要素”は無視してもよかった。朝鮮半島で戦争が起これば、後方支援を行う「国連司令部後方基地」7カ所が日本にあっても、これらの基地は韓米連合防衛体制に基づいて運用されると思われていたので、日本が入り込む余地はあまりなかった。しかし、事情が変わった。韓国が、韓日安保協力が不可欠な状況に追い込まれたのかもしれない。自衛隊の朝鮮半島進出を抑制するためにも、日本の理解と協力が必要になったからだ。しかし、そうだとしても韓日国防協力をどの線まで進めるかには、慎重かつバランスのとれた立場が必要であろう。国内の否定的な世論もあり、韓日協力が中国牽制のための韓米日3角協力体制の完成に向けての飛び石になるかもしれないからだ。

 しかし、少し発想を変えると、他の解決策が見えてくる。日本の自衛隊の集団的自衛権の行使が朝鮮半島の有事を想定したものだから、朝鮮半島で武力衝突が起こらなければいい。だから、南北関係の復元が優先されるのであり、南北間の和解と協力が切実となる。政府は、それでも危険な綱渡りだけに固執するつもりなのか。

パク・ビョンス政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-07 18:53

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/694630.html  訳H.J

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