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韓日防衛相会談、韓国側主張の「対北朝鮮攻撃事前同意」に日本側は明言避ける

登録:2015-06-01 00:33 修正:2015-06-01 06:30
 自衛隊、朝鮮半島周辺で活動で韓国の同意必要
 原則合意...具体案は今後議論
 韓米日軍事協議チャンネルの開設に注目集まる
シンガポールで開かれているアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席しているハン・ミング国防部長官(右)が5月30日、アシュトン・カーター米国防長官(左)と中谷元・日本防衛相(中央)と韓米日防衛相会談に先立ち握手している=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 

 日本の自衛隊が、朝鮮半島周辺で集団的自衛権を行使する過程において、韓国の主権を侵害することがないように、いかなる方法で保障するのか?最近行われた日米防衛協力のための指針の見直しにより、韓国国内で提起された懸念だ。

 ハン・ミング国防長官は30日、シンガポールで4年ぶりに開かれた中谷元・日本防衛相との韓日防衛相会談で、このような懸念を中心議題として提案した。その結果、両国は、自衛隊が韓国の主権領域で活動する際には、韓国の要請と事前同意が必要であるという原則を再確認し、今後詳細な議論のための実務協議を進めて行くことに合意したと、国防部が発表した。日本の集団的自衛権の行使が朝鮮半島と関連する場合、行使の範囲と要件、手続きなどを実務協議で具体化することにしたということだ。しかし、日本はこの実務協議を韓日、または韓米日軍事協力強化のチャンネルとして活用しようとすることが予想されており、韓国が韓米日三角同盟の協議チャンネルの開設という“パンドラの箱”を開けてしまったのではないかという指摘も出ている。

 国防部は、近いうちに実務協議の日程などを米日と協議する計画だ。国防部関係者は、「韓日両国とも米国と作戦計画を共有しているだけに、米国も一緒に議論すべきだ」と述べた。議論の形式は、従来の対話の枠組みを利用する方針だ。韓米日間の協議は、「3カ国安全保障討議」(DTT)、韓日間は局長級「国防政策実務会議」、韓米間は「韓米安保政策構想」(SPI)を通じて議論する。

 韓国の主権を侵害するおそれがある自衛隊の活動としては、自衛隊の米軍艦艇の保護と後方支援▽国連司令部の後方基地の支援及び保護▽韓国在住日本人の疎開作戦▽北朝鮮のミサイルによる在日米軍への攻撃に対する反撃などが挙げられる。実務協議では、具体的な軍事状況を想定し、自衛隊の活動範囲をどこまで許すか、日本がいつ、どのような手続きとチャンネルなどを通じて韓国と協議し、事前同意を得るかなどが議論されるものと見られる。

 しかし、韓日間には認識の差があり、協議の過程で難航が予想される。日本は4月、日米防衛協力のための指針の見直しを契機に自衛隊の役割を拡大しようとする意図を持っており、これを警戒する韓国と対立する可能性が高い。韓日は今回の会談でも、微妙な見解の相違を表した。中谷防衛相は17日、「米国が北朝鮮のミサイル攻撃を受けた場合、自衛隊が報復することもあり得る」という趣旨の発言をした。ハン長官は、今回の会談で、「北朝鮮も憲法上韓国の領土だ。事前協議と同意の対象だ」とし、この発言にくさびを打ち込んだ。しかし、中谷防衛相は「今後議論しよう」と明言を避けた。「北朝鮮が韓国の主権領域」という韓国の立場に留保的な態度を示したのだ。

 両国の関心事も異なる。韓国は自衛隊の集団的自衛権の牽制に焦点を当てているが、日本は、両国間の軍事協力の強化に重点を置いている。中谷防衛相は30日、日本の記者たちに会談の結果を説明する席でも実務協議についてあまり言及しなかった。国防部当局者は「日本は実務協議を自分たちの議題、例えば、韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の締結などを話し合うチャンネルとして捉える側面がある」と述べた。

 現在韓日間の情報交換は、昨年末締結された「韓米日3カ国情報共有約定」を通じて行われているが、約定の適用対象は北朝鮮の核とミサイルに限られる。しかし、実務協議で軍事状況を設定し、自衛隊の活動範囲を規定するためには、韓米の作戦計画と日米の作戦計画をある程度は共有することが不可欠である。国防部当局者は「韓日間の作戦計画の共有が難しい現実からして、軍事的措置を想定して協議していく知恵が必要な状況だ」と述べた。

シンガポール/パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-31 21:33

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/693662.html  訳H.J

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