裁判所「興奮状態の衝動的行為」
1950年代に制定された国旗冒涜罪
表現の自由侵害など議論絶えず
セウォル号事故1周年の追慕集会で太極旗(韓国国旗)が描かれた紙を燃やしたキム氏(24)に対する警察の勾留請求が却下された。ソウル中央地裁イ・スンギュ令状専門担当判事は2日、勾留請求を却下し、「キム氏は集会現場で腕を自ら傷つけるなど非常に興奮した状態で、偶発的、衝動的に国旗焼毀行為に達したと見られる」と明らかにした。
国旗冒涜罪は刑法第105条に「大韓民国を侮辱する目的で国旗を損傷・除去・汚辱した者は5年以下の懲役または禁錮10年以下の資格停止または700万ウォン以下の罰金に処す」と規定されている。
警察はキム氏が「大韓民国を侮辱する目的」があったか明らかでない状況で、国家冒涜の他に集会およびデモに関する法律違反など三つの容疑を加え拘留請求をした。当時、ソウル地方警察庁高官は「勾留状の発給可能性は90%ほどと見ている」と自信を示したが、裁判所は計画的侮辱でない衝動的行為と判断した。法適用は無理だったという指摘もされる。起訴されても裁判で国旗冒涜罪が認められるかは未知数だ。
1953年に作られた国旗冒涜罪は、59年に全羅北道・全州で初めて適用された。3.1節に裂けた国旗を煙突清掃用の竹竿に結んで掲揚した市民が警察の取り調べを受けた。政治的処罰もあった。1992年の大統領選挙直後、金大中(キム・デジュン)候補が落選するとキム・チュンジョ新政治国民会議議員が腹立ちまぎれに事務所の壁にかかっていた太極旗を床に投げつけて起訴され、罰金80万ウォンを宣告された。
こうしたことから、抽象的であるのに加え政治的乱用の可能性もあり、表現の自由を侵害する国旗冒涜罪の適用範囲を狭めなければならないとする指摘が絶えなかった。1992年には「公用の国旗」に制限する改正案も出された。韓国刑事政策研究院は2009年「現行法条文は言うまでもなく1992年改正案も表現の自由を侵害する違憲の余地がある」と指摘し、すべて削除すべきとする意見を出した。「星条旗を燃やす行為は国家政策に対する抗議を表現する強力な手段であるため表現の自由の保護範囲に入る」とした1992年の米国連邦最高裁の判断を根拠とした。同研究院は報告書で「国旗冒涜罪の削除は大衆的情緒に反することにはなるが、特定行為の犯罪化の有無は大衆的情緒ではなく、憲法の原則と実質的危険性によって判断しなければならない」とした。
日本とドイツの刑法には「外国国旗損壊罪」はあるが自国国旗損壊を処罰する条項はない。
韓国語原文入力:2015-06-02 21:20