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遺族と市民が一緒に作った「セウォル号ネバーエンディングストーリー」

登録:2015-06-01 21:26 修正:2015-06-02 09:25
追慕ミュージックビデオの感動
セウォル号追慕ミュージックビデオ「ネバーエンディングストーリー」の一場面=ミュージックビデオ画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

ロックバンド「復活」の曲をリメークし、107日間で製作
セウォル号家族25人や市民など計54人が製作に参加
キム・テウォンさんに「便せん7枚の手書きの手紙」送って使用同意を得
「見ている間とめどなく涙」ネチズンたちのコメント続く

 懐かしいと思っていればいつか会える まるで映画のようなことが起きた日に お前を守ってやれなかった 美しい思いでの中にいるお前だから(ネバーエンディングストーリーより)

 セウォル号遺族と市民が一緒に歌った復活の「ネバーエンディング ストーリー」(Never ending story)リメーク・ミュージックビデオが公開され話題になっている。

 リメンバー416のオ・ジスク代表が先月29日にユーチューブに公開したミュージックビデオは、静かな登校の映像で始まる。 この道は安山の檀園高等学校へ向かう。 空っぽの運動場が子供たちの空席を教える。 そこに檀園高2年3組の故チェ・ユンミンさんの姉、チェ・ユナさんが登場する。 チェさんは両手を前で組み、震える声で「手の届かないどこかで、今日もあなたは息をしているけれど」という歌詞を歌った。

 続いて穏やかに流れる間奏の後に、セウォル号遺族の幸せな瞬間が収められた写真が重なる。 子供が満1歳を迎えた誕生パーティ、ロウソクが点った誕生ケーキの前でVサインをしている子供たち、子供たちが明るく笑って撮った家族の写真が続々と登場した。 マイクの前に立った2年4組の故キム・ドンヒョク君の父親キム・ヨンレ氏の目じりには涙が光っている。彼は「惨事の日にお前を守ってやれなかった」という歌詞を歌い涙をこぼした。写真に登場した幼いドンヒョク君は、三本の指を出して楽しそうに笑っている。

製作者オ・ジスクさんが「ネバーエンディングストーリー」の原曲作者であるロックバンド「復活」のキム・テウォン氏に書いた手紙 //ハンギョレ新聞社

 映像に紹介された写真を集めた2年6組の故イ・ヨンマン君の母親イ・ミギョンさんは「映像に出てくる多くの写真のように、大切な子供が生まれた時の感激と小学校に入学する子供を見てうれしくてたまらない時期があった」として「写真のように幸せな時間があったのに、もうその時期には戻れない隣人がいるということを伝えたかった」と話した。

 セウォル号追慕曲にリメークされたネバーエンディング ストーリーは、セウォル号家族25人と平和の木合唱団、一般市民など計54人が一緒に歌った。彼らは合唱の部分の歌詞を歌いながら涙を拭いもした。 70人余の遺族が集めた1000枚の写真が、セウォル号の船体の形に並べられて映像は終わる。 ミュージックビデオの製作から交渉までを総括したオ代表は、ハンギョレとの通話で「遺族の方々がこの歌を聴いて歌って慰労になることを願ったし、この作業は新しい記憶の闘い」と所感を明らかにした。

セウォル号追慕ミュージックビデオ「ネバーエンディングストーリー」の一場面=ミュージックビデオ画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 このプロジェクトは今年2月に始まった。オ代表は「前から好きだった復活のネバーエンディング ストーリーを聞いて、歌の歌詞が家族を失ったセウォル号家族の話であるように感じた」と話し、「この歌を家族を失った方々の痛みを伝えるミュージックビデオにしてはどうかと考えた」と伝えた。

 オ代表は原曲作者であるロックバンドの復活のリーダー、キム・テウォン氏に便せん7枚の手紙を書いて送った。 彼は手紙に「子供と同じ気持ちでお作りになったネバーエンディング ストーリーを、子供を失った方々を慰める歌として使いたいのです。 ぜひ許諾してください」と書いた。 一カ月後の3月20日、キム・テウォン氏がサインした著作物使用同意書がオ代表の手に到着した。

 製作費は市民の寄付で賄った。3回にわたり2000万ウォンが集まった。 演出はキム・チョルミン ドキュメンタリー創作所代表が務めた。

セウォル号追慕ミュージックビデオ「ネバーエンディングストーリー」の一場面=ミュージックビデオ画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 107日かけて完成されたこのミュージックビデオは先月29日、ソウル市・麻浦(マポ)区のカトリック青年会館で初公開された。 8分13秒のこの映像は同日夜、ユーチューブにネバーエンディングストーリーというタイトルで上がった。 (関連映像: youtube.com/watch?v=58Thex2N4HM&sns=fb )

 映像を見たネチズンは「どうして忘れることができるでしょうか。必ずこの悲しみが癒える日が来るでしょう。 その日をむかえるために私も皆さんと共にします。 涙が溢れる」(Sun****) 、「見ている間とめどなく涙を流しました。 今の私たちの平凡な日常と同じ家族の方々の思い出がつまっていますね。ごめんなさい。最後まで糾明して二度とこのような痛みが無い世の中にするつもりです」(キム**)、 「じっくり見ました。部屋で一人で見て良かったと思います。 ふとんをかぶってしばらく泣きました」(ク**)、 「必ずまたお会いできますように、その懐かしさが人生の偉大な指標になることをお祈りします」(du***) などのコメントが寄せられている。

パク・スジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/693691.html 韓国語原文入力:2015-06-01 15:33
訳J.S(2446字)

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