「実際に人々を救ったのは漁船じゃないか」、「ニュースで全員救助の誤報を出した」、 「政府は牛を盗まれてから牛小屋を直しただけ」。子どもたちは先を争うように次々と意見を出した。 討論をリードする生徒が努力して発言を引き出そうとしなくても、子どもたちは心に溜めておいた話がたくさんあるように見えた。 彼らは自分の体より大きな模造紙にきちんとした字で討論の主題を書き留めた。セウォル号事件以後、私たちの社会から無くさなくてはいけないもの」
26日、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)区堂山(タンサン)洞のグランドコンベンションセンターに450人のソウル地域の小中高生が集まった。 ソウル市教育庁が主催した「安全人権円卓討論」に参加するためだ。「4・16 セウォル号惨事」を記憶する意味で各学校から参加申し込みを先着順で受け付けて、416人の生徒たちを招待しそのうち397人が参加した。 討論をリードするために事前教育を受けた44人の同年輩の生徒たちも一緒に集まった。 ソウル市教育庁のチョ・ヒヨン教育監(教育委員会委員長に相当)は「セウォル号惨事1周年を迎え、生徒達の目線で安全人権を理解し、生徒達が教育共同体の主体としてソウルの教育政策に参加できる疎通と公論の場を提供しようと考えて設けた席」と説明した。
生徒たちは各自の学校で「安全人権校内大討論会」を開催した後、その結果を携えて円卓討論に参加した。 教育活動・生活・保健・給食の安全など学校現場の8つの安全イシューと関連して各自が持ち寄った議題を、9~10人から成る44のグループに分かれて1時間かけて自由に討論した。
小学5~6年生が集まった1班では「セウォル号惨事の原因を把握することが、同じような事故の再発を防ぐ最優先の対策だ」という意見に集約された。「1年が経ったけれども追悼することしかできてないじゃない。事態を先ず正確に把握しなくては。 それが私たちが歴史を学ぶ理由じゃないの」。 キム・ソウンさん(トングァン小学校6年)がこう言うと、キム・ソヨンさん(カンイル小学校5年)が加勢した。 「そうだよ。 セウォル号事件はまだ真相糾明もされてないし、船体の引揚もできてない」
中高生が集まった25班では、学校周辺の安全から振り返らなければならないという主張が出た。「ある学校では周辺の工事現場のために生徒達が呼吸器疾患を患っているそうです。 私の知っているある小学校の周辺には歓楽街があります。 こんなことでいいんですか?」。 グループの討論をリードするキム・イェウォンさん(タンゴク高2年)が尋ねた。 彼女は「『セウォル号惨事を経て政府が安全対策を立てたが実効性はない』という指摘がたくさん出た。身近なところから成される予防が必要だ」と話した。 この日生徒たちが提案した案件は、 「ソウル児童生徒安全人権決議案」として採択され、ソウル市教育庁の今後の政策と予算に反映される。