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貧すれば鈍する韓国の弁護士…1坪事務所で生き残り

登録:2015-05-13 10:33 修正:2015-05-17 05:24
ローファームの高級ラウンジはドラマの世界
12日に訪ねたソウル瑞草区瑞草洞のビル6階にある弁護士事務所。6.6平方メートルで家賃は40万ウォン=ソ・ヨンジ記者//ハンギョレ新聞社

富める者だけが富み、貧しい者は益々貧しく
弁護士が増えすぎ家賃4万円のミニ事務所も登場
経費節約で数人で事務所を借りることも
「以前は場所さえ良ければ値段は問わなかった」
弁護士会費の滞納者856人
「ほとんどが経済的困窮訴える」

 一年に約1500人の法学専門大学院(ロースクール=法科大学院)出身弁護士が大量に排出され、ソウル・瑞草(ソチョ)洞の法曹街の様子ががらりと変わろうとしている。家賃35万ウォン(約3万8000円)の弁護士事務所まで登場するかと思えば、毎月払わねばならない弁護士会費を払えない弁護士まで急増している。こうしたなか“仕事ができる”と話題の一部の退官弁護士による事件の“一人占め”には変化がなく、弁護士の格差が一段と広がっている。

■ わずか1坪の弁護士事務所

ソウル地方弁護士会の月会費滞納者 (4月30日基準)//ハンギョレ新聞社

 12日訪ねた地下鉄2号線瑞草(ソチョ)駅付近にあるビルの事務所入口には、号室ごとに様々な業者の名札がかかっていた。1人部屋や2人部屋で細切れにされた43室ある事務所のうち、およそ10室が弁護士事務所だ。ビル関係者は「初期創業費用を節約しようとする弁護士が主に部屋を探しに来る。ほとんどが30代初めから中頃」と話す。

 このビルの家賃は1人部屋が平均55万ウォン(約6万円)、2人部屋は70万ウォン(約7万7000円)。窓の有無によっても少しずつ違いが生じる。1年の長期契約で20%の割引を受けることができる。3.3平方メートル(1坪)余りの1人部屋は、机を置いただけで空間が満杯になっていた。6.6平方メートルある2人部屋も机と胸の高さのキャビネットしか置けない。ビルの管理人は「弁護士はたいてい2人部屋を使うが、1人部屋を使う人もいる。弁護士の代表が1人部屋を使い、社員が4人部屋を使うこともある」と言って部屋を案内した。月最大6時間まで無料で使える会議室もあるという説明も付け加えた。

 広々とした部屋にCEO用の机、事務長に秘書まで従え高価な花で飾られた高級感ある弁護士事務所とは、雲泥の差がある。瑞草洞の法曹街で82平方メートル(25坪)の事務所を借りるには、保証金3000万ウォン(約330万円)に賃貸料は月250万~350万ウォン(約27~38万円)になる。道路沿いはさらに値が上がる。インテリア改修費用は平均2000万~3000万ウォン、机やエアコンなど什器にかかる費用は別途だ。一昔前ならこのレベルで弁護士事務所を始める人が多かったが、近頃の新参弁護士は意欲さえ出すことができない。

 近くにあった別の小さな事務所でも、1人部屋の家賃が月35万ウォンだった。昨年初めに開業したというこの事務所の賃貸業者は「弁護士からの問い合わせが頻繁にある。ロースクールを卒業した人も多く、若い弁護士の場合は最初から(広い)事務所を用意するのが大変なので、まずはここから始め、様子をみて事務所の規模を決めるという人もいる」と語る。初めから広目の事務室を借りてお金を稼げられなければ、投資金を失ってしまうだけなので、質素に仕事を始める人が多いというのだ。昨年末、弁護士だけを対象にした小さな事務所ビルも瑞草洞にできた。そこでの1人部屋家賃は月55万ウォン、2人部屋は77万ウォン。1人部屋の4室は満杯になった状態だ。

 瑞草洞で不動産仲介業を始めて19年になるというナ氏(55)は、「景気が良かった頃は場所さえ良ければ家賃など問われなかった。弁護士の数が急に増えだし雰囲気がだいぶ変わった。新参の弁護士にはなかなか顧客がつかない。そのため単独で開業せず数人で一緒にやる場合も多い」と語る。

SBSドラマ『噂で聞きました』で登場するローファーム「ハンソン」の高級ラウンジ=SBS提供//ハンギョレ新聞社

■ 月5万ウォンの会費滞納者856人

 ソウル地方弁護士会(ソウル弁護士会)の会員数は、2003年の3701人から2013年に1万476人に10年間で3倍ほど増えた。だが、同期間に会員弁護士が訴訟委任状を提出して代理した事件は、20万6507件から38万3964件に86%増えただけだ。ロースクール出身のある弁護士は「弁護士が開業して成功する基準は、成功報酬金を受けとる時まで持ちこたえられるかにある。 1審判決が下されるのに普通1年かかるので、1年を持ちこたえることができれば成功したといえる。経歴がない弁護士は扱える事件が少なく、社員に月給を出したら事務所の運営がままならない」と実情を打ち明ける。

 先月30日を基準にソウル弁護士会に月5万ウォン(約5500円)の会費を払えない人も全会員数(1万2058人)の7%の856人に達する。6カ月以上の長期滞納者は199人にのぼる。このうち4人は「会則遵守義務違反」で大韓弁護士協会から過怠金100万ウォンの懲戒を受けた。懲戒開始申請の後に遅れて会費を出す人もいる。ソウル弁護士会関係者は「会費を払うように電話するとほとんどが経済的困難を訴え、少しだけ時間をくれと言う。社員の月給と事務所運営費を出したら、本人に残るお金はなさそうだ」と話した。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-12 22:19

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/690938.html 訳Y.B

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