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権力享受した韓国最高裁判事、退任後は「金銭欲」

登録:2015-03-24 23:49 修正:2015-03-25 06:39
チャ・ハンソン弁護士開業返戻に見る「前官礼遇」問題

 大韓弁護士協会(弁協)がチャ・ハンソン前大法官(最高裁判事、61)の弁護士開業届を返戻したことをきっかけに、大法官出身弁護士の「前官礼遇」問題が再び注目を浴びている。法曹界の慢性的な問題である前官礼遇は、今に始まったことではないが、判事や検事を経ていない「非前官」弁協会長の就任をきっかけに本格的に公論化される様子だ。

 公益活動宣言しても事件受任
 「名前」のおかげで簡単に大金手にする
 法曹人の増加で否定的な認識拡散

 弁護士出身ハ・チャンウ弁協会長
 慢性的な問題に歯止めかける

第48代大韓弁護士協会会長に選出されたハ・チャンウ新会長が去る23日午前、ソウル江南区グランドインターコンチネンタルホテルで開かれた2015年の定期総会及び協会長離・就任式で就任演説をしている。ニューシス

■ 公益活動のために弁護士開業?

 「判事や検事をして退職した弁護士が引き受けた事件について、裁判所と検察が便宜を図ること」を指す前官礼遇は、これまで多くの批判を受けてきた。 2011年の国会は、判事や検事出身は退職1年後には(退職)直前の勤務地における事件を受任できないように弁護士法を改正した。

 このような変化の中で、大法官出身の一部は大学の客員教授を経て1〜2年後に弁護士として開業し、法曹界にUターンした。アン・デヒ(建国大学)、イ・ホンフン(漢陽大学·全北大学)、キム・ジヒョン(圓光大学)元最高裁判事の場合がそうだ。チヤ前大法官(嶺南大学)も同じ道を辿ったが、今回歯止めがかかった。

 退職大法官の一部は大手法律事務所に移る際、公益訴訟の分野を担当して前官礼遇議論を避けたこともあった。イ・ホンフン元大法官(ファウ公益財団理事長)、モク・ヨンジュン元憲法裁判官(キム&チャン社会貢献委員長)がそのような事例だ。今回問題になったチヤ前大法官も、法務法人太平洋で公益財団理事長を引き受けると明らかにした。

 しかし、公益財団や委員会活動をしても事件は自由に担当できる。イ・ホンフン元大法官は、法務法人ファウでキム・スンヨン韓火グループ会長の横領・背任事件の上告審弁護人名簿に名前を連ねた。モク・ヨンジュン元裁判官もキム&チャンで社会貢献委員長の肩書きをつけて「最高位級」顧客を相手にするなど、特別な「役割」を果たしていることが知られている。社会貢献を掲げながらも大手法律事務所に入る行為を、純粋に受け止めるのは現実的に困難な状況だ。

■ 大法官の前官礼遇の影響力は?

 法曹界で大法官出身の弁護士に言及するときは、当たり前のように「印鑑代」という言葉がついて回る。後輩弁護士が作成した意見書などを検討して大法院(最高裁判所)に提出する上告状に名前を連ねるのと引き換えに、大法官出身の弁護士が受け取る費用を指す俗語だが、1件当たり数千万ウォンと知られている。

 大法官を務めたという理由で簡単に大金を稼げるという話だが、実際イ・ヨンフン元大法院長は、大法官退任後、個人弁護士事務所を運営して5年間60億ウォン(約6億1120万円)を稼いだ事実が大法院長人事聴聞会の過程で公開された。イ・カングク元憲法裁所長も大法官退任後、4カ月間で、法務法人太平洋で2億ウォン(約2170万円)を超える給与を受け取った。

 ソウル地方弁護士会が2013年5月に実施したアンケート調査をみると、弁護士761人のうち90.7%が、前官礼遇が存在すると答えた。法務部が2011年に市民2640人を対象にしたアンケート調査でも調査対象の53%が「費用が高くても、前官弁護士を選択する」と答えた。このような信頼が全管弁護士の収入を増やしているのである。

 しかし、法曹人が増えて前官礼遇に対する否定的な認識が広がるにつれ、大法官出身に対する「礼遇」が以前ほどではないという評価もある。実際大法官退任後、「コンビニ店主」を経て、結局大手法律事務所に移ったキム・ヌンファン元大法官は、自分が代理人を務めた最初の上告審事件が審理不続行棄却(上告要件がないという理由で審理なく棄却すること)されたことが分かった。これに対して法曹界では「世の中が変わった」と言われる場面もあった。

■ 今なぜ再び問題となっているのか

 今に始まったことでもない前官礼遇問題が再び注目を集めたのは、ハ・チャンウ大韓弁護士協会会長(61)抜きには説明できない。判事や検事を経験していない「非前官」出身のハ会長は、弁護士として活動しながら「前官」に対する裁判所や検察の態度に多くの問題意識を持つようになったと知られている。ハ会長は先月就任してから、上告裁判所の導入に反対、大法官出身弁護士の開業禁止、検事評価制の導入などを掲げ、「裁判所・検察を牽制して司法改革に導く」と公言した。

 彼はチャ前大法官に直接会って、弁護士開業届の撤回を勧めたが、チャ前大法官がこれを拒否すると、開業届を返戻する荒技に出た。パク・サンオク大法官候補者にも大法官に任命される場合、「退任後、弁護士開業をしない」という誓約書を事前に提出してもらうという立場を示した。ハ会長は、ソウル地方弁護士会長を務める時も、初めて弁護士による裁判官評価制を導入するなど、裁判所と対立してきた。

■ 大法官の弁護士開業、解決策は

 ソ・ギホ正義党議員は、大法院判事退任後5年間、法務法人への就職を制限する「強力な処方」を盛り込んだ弁護士法改正案を先月提出した。ソ議員が提出した法案や弁護士協会の開業届出拒否などの「物理的手段」が動員される前に、大法官出身者自ら開業を控えるのが望ましいが、多くは「職業選択の自由」を掲げて現職時代の名誉と権力を享受したに続き、退職後は金にも欲を出している。

 このような状況のなか、大法院までも奇妙な態度を取っている。大法院は、チャ前大法官の問題が浮上すると、最近日本の最高裁判事の大多数が弁護士として開業して活動しているという内容の報道資料を配布した。大法官出身が弁護士として活動するのは韓国だけという報道を訂正するための趣旨だと説明した。しかし、日本の最高裁判事出身の弁護士は、一般的な事件を担当することなく、公証業務だけするのが慣例だが、大法院はこうした説明は省いた。

イ・ギョンミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.24 20:48

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/683812.html  訳H.J

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