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北朝鮮、潜水艦弾道ミサイルの発射に成功

登録:2015-05-10 20:52 修正:2015-05-11 06:57
事実なら安保戦略変化が不可避
韓米軍当局「模擬弾発射試験」
北朝鮮労働党機関紙の労働新聞は9日「金正恩同志の直接的な発起と細心な指導により開発し完成された北朝鮮独自の威力ある戦略潜水艦弾道弾水中発射試験が行われた」として、金正恩労働党第1書記が試験発射を見守る姿を報道した=連合ニュース

 北朝鮮が9日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射試験に成功したと明らかにした。 韓米の軍当局は弾道ミサイル発射ではなく模擬弾射出試験に過ぎないと評価したが、北朝鮮が“隠密性”と“移動性”を備えた戦略兵器の開発にスピードを上げているのは確実だ。

 労働新聞などの北朝鮮メディアは9日、金正恩(キム・ジョウン)労働党第1書記が見守る中で「開発し完成された北朝鮮独自の威力ある戦略潜水艦弾道弾の水中発射試験が行われた」と伝え、「北極星-1」発射体と弾道ミサイルが水面から飛び上がる写真を報道した。北朝鮮側の主張が事実ならば、朝鮮半島の安保環境に大きな変化を呼び起こす事案だ。

 まず、北朝鮮が潜水艦を利用して韓国側海域に浸透し、水中から隠密に弾道ミサイルを発射する可能性への対策が必要になる。 最悪の場合、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功して、これを潜水艦に搭載するなら韓国側は一層大きくなった核の脅威に直面することになる。 2020年代中盤までに韓国型ミサイル防御(KAMD)体系と“キル チェーン”を構築する計画についても、潜水艦発射弾道ミサイル探知・迎撃システムを追加するなどの変化が避けられない。

 軍事専門家らの間では、改良されたソナー(音波探知機)を搭載した次期海上哨戒機とイージス駆逐艦の増強配置、弾道ミサイルの発射が可能な3000トン級大型潜水艦の早期配置主張も出ている。 韓国軍は2020年から2030年までに3000トン級潜水艦9隻を戦力化する計画を推進中だ。

 だが、莫大な費用投入と緊張高揚につながりかねない軍備競争に入るのに先立ち、北側の新兵器開発の力量を綿密に調査し、実質的解決方案を先に探さなければならないという指摘もされる。 今回の試験は実際の弾道ミサイルではなく“ダミー弾”と呼ばれる模擬弾を潜水艦外に射ち出した射出試験だというのが、専門家たちの評価だ。水面上に飛び出したミサイルのロケット推進装置が点火され長距離飛行をしたわけではなく、潜水艦内の発射プラットホーム(発射管)を利用して水面上に飛び出してきた水準ということだ。 模擬弾の飛行距離は100メートルを超えないという分析が出ているが、火炎の強度をから見て相当な距離を飛んだだろうという見解もある。

 これに先立って北朝鮮は、ロシアの旧ゴルフ級ディーゼル潜水艦を屑鉄として買い入れて解体・逆設計方式で排水量2500トン程度の新型新浦(シンポ)級潜水艦を昨年建造し、この潜水艦に設置する弾道ミサイルの垂直発射管の性能試験を1月に地上で実施したことがある。 キム・ジョンデ『ディフェンス21プラス』編集長は、「射出試験の成功が潜水艦発射弾道ミサイルの開発成功を意味するわけではない」として「現在の水準は北朝鮮が韓国の国防戦略を揺さぶるために行う心理戦程度」と指摘した。

 北朝鮮の今回の試験成功発表には、米国に対する攻撃能力を誇示する意図も込められていると見られる。 金正恩第1書記は「(試験成功により)敵対勢力を任意の水域で打撃消滅できる世界的水準の戦略兵器を持つことになった」と主張した。 だが、国策研究機関のある専門家は「潜水艦の規模などから見て、ミサイルの射程距離は韓国を狙う数百キロメートル以内だろう」と推定した。 米国を威嚇するほどの能力とはかけはなれているということだ。キム・ジョンデ編集長は「軍備競争に巻きこまれるのでなく、安保戦略と共に核・ミサイルの脅威そのものを減らせるように、6カ国協議など予防外交を併行しなければならない」と話した。

ソン・ウォンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/690542.html 韓国語原文入力:2015-05-10 19:53
訳J.S(1821字)

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