17日、「ソンワンジョン・リスト」で“時限付き”の岐路に立たされた李完九(イ・ワング)首相の光化門(クァンファムン)政府ソウル庁舎への出勤は普段と同じではなかった。普段の彼なら、堂々とした歩き方で、大きな目を見開き、拳を振りながら、そして時々笑みを浮かべていた。 だが、四日間の対政府質問(13~16日)でソン・ワンジョン前京南企業会長から金を受け取ったとする疑惑を集中的に追及された後、初めて姿を現した彼の身のこなしは重そうに見えた。
記者たちの前に立った彼は「大統領が昨日出国しました。国政が一寸たりとも動揺することなく、隙がないように」と話を切り出した。だが、ぼんやりした表情でしばらく沈黙した彼は、5秒後に話を続けた。「首相は(内閣を)統轄する責務、思いがあります。大統領がいらっしゃる時以上に一層熱心に国政を進めます」。 国政のナンバー2として、朴槿恵(パク・クネ)大統領の外国歴訪期間は一層熱心に責務をつくすという確約を明らかにしたわけだが、一方では虚しい抱負に過ぎないのではないかという指摘が出ている。 前日、朴大統領は彼の去就に関して「(中南米歴訪に)行ってきた後に決める」と話し、与党の一部では「歴訪期間に状況の反転がなければ交替するという意味」という解説を出した。
李首相はこの日、外部日程を定めず首相室で1級以上の幹部会議を主宰し、部署別主要懸案に対する報告を受けた。 幹部会議はチョン・ホンウォン前首相の時は毎週月曜日に定例的に開かれたが、李首相の就任後「形式的会議はしない」として、ほとんど開かなかった会議だ。 李首相は会議で「四日間、対政府質問の対応準備に職員に苦労をかけた」と慰労した。 だが、本人に提起された疑惑に関してはほとんど言及せず、「動揺せずに前に進もう。頑張ろう」とだけ話したと参席者の一人は伝えた。
別の参席者は「幹部会議での首相の態度や雰囲気は、普段と変わりがなかった」と話した。 実際、李首相は「大統領歴訪期間の懸案をしっかり点検してほしい」として「安全事故が発生しないよう、安全対策を徹底してまとめてほしい」と話した。 また「来週から4月臨時国会常任委が始まるので、経済活性化法案と民生法案など立法事項を点検し、法案が通過されるよう努力しなければならない」と注文した。
だが、李首相本人が自ら国政推進力の喪失を痛感しているのではないかという観測も出ている。 彼は出勤途中に記者たちと会った席で「(今後)党には私が話をしないのが礼儀のようだ。党側にはできるだけ話をしないようにする」と話した。自身の去就と関連して党との協議はしていないという話だが、以後の国政運営と関連しても党政協議チャンネルが正常稼働しがたいことを認めたのではないかという解説が出ている。 実際、セヌリ党は金武星(キム・ムソン)代表と李首相、イ・ビョンギ大統領府秘書室長が参加する高位級党・政・大統領府会議を当分中断することを早期に明らかにした状態だ。 李首相はこの日の昼食も外には出ずに庁舎内で幹部らと共にした。
セヌリ党では李首相を“まもなく退く首相”として既定事実化する雰囲気が濃厚だ。 キム・ヨンウ広報官はこの日、朴槿恵大統領の「いかなる措置も甘受する」という発言について「泣いて馬しょくを斬る決断もありえるという意志の表現」と話した。
野党は自主辞退を一層激しく圧迫した。文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合代表はこの日、記者たちに「本人自ら去就を決断することが最も朴槿恵大統領にも負担が少なく、本人も名誉を守る道」とし「それでも決断しないならば、我が党としては解任建議案を出さざるをえない」と発言した。 チョン・ビョンホン親朴権力型不正ゲート対策委員長は「李首相は週末の間に去就を決めなければならない」とし、来週には解任建議案を提出する意向を明らかにした。
李首相は大統領歴訪期間中、世宗市(セジョンシ)ではなくソウルに留まる。19日からは4・19革命記念式を始め各種外部行事に参加する。だが、追加疑惑が提起されたり、検察の捜査進展によっては歴訪中にも首相職の実行が不可能になる可能性もある。その場合、朴大統領も決断の瞬間を操り上げざるをえなくなると見られる。