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汚職リスト問題で揺れる4月後半「韓国のコントロールタワー」は不在

登録:2015-04-16 00:33 修正:2015-04-21 12:38
 朴大統領側近も「ソンワンジョン・リスト」問題に巻き込まれ
 「遺憾だとする捜査を見守る」との儀礼的所感もなく
朴槿恵大統領が15日午後、ソウル鍾路区世宗路政府ソウル庁舎でセウォル号1周年の懸案点検会議を主宰する前に、パク・イニョン国民安全処長官と話している 青瓦台写真記者団//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が15日、「不正腐敗の責任がある人は、誰であっても容認しない」と「ソンワンジョン・リスト」波紋について初めて直接言及した。対外的には徹底した捜査を通じて今回の事件を正面突破するという強硬な意思を明らかにしたものだが、これまで朴大統領の態度に大きな変化が見られないうえ、「李完九(イ・ワング)首相の進退」など、今現在懸案となっている問題をどのように処理するかも不明だ。

朴槿恵大統領出国期間における首相・副首相の主要に日程及び状況。 //ハンギョレ新聞社

事実上の捜査ガイドライン提示...政界全般に対する不正腐敗清算で事態の希釈化図る

 朴大統領のこの日の発言をみると、まず、今回の「ソンワンジョン・リスト」問題をもたらした政府主導の不正腐敗清算が正当であることを強調した点が目立つ。朴大統領は、「腐敗の問題は、一つひとつ明らかにして根絶しなければならない。もちろん、その過程で、最近いくつかの極端な問題が発生したのは残念だが、かといって、ここでこの問題に目をつぶってしまったら、私たちに未来は見えないだろう」と述べた。「政権レベルで企画されたもの」というソン・ワンジョン前京南企業会長の主張に対し、間接的に反論した形だ。腐敗清算という名分まで失ってしまうと、政権基盤が根底から揺るがされることになり兼ねないと判断したものとみられる。

 李完九首相をはじめ、ソン前会長が金を渡したと指摘した自分の側近と政権の主要人物については、自分とは関係がないというような発言も続いた。「近い側近たちが波紋に巻き込まれて遺憾だが、捜査結果を見守る」という儀礼的な所感さえなかった。代わりに、「政治改革の次元で必ず正さなければならないこと」だとし、自分は改革の主体であり、政界は改革の対象であるとする認識を示した。就任初期国家情報院の大統領選挙介入事件や相次ぐ人事の失敗を経て、「助けてもらったことがない」、「測り難きは人の心」というふうに、自分とは無関係だと言うパターンが今回も繰り返されたのである。

 朴大統領が「過去から現在まで、問題のある部分を完全に明らかにする必要がある」と言った部分は、検察の捜査に一種のガイドラインを提示したのではないかという批判も出ている。最近の与党周辺から「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、ソン前会長が二度も恩赦を受けた」とか「ソン前会長が与野党の人物に幅広く接触していた」として、事態の希釈化を図る戦略を駆使しているのと相通じる部分だ。与党関係者は「過去を取り上げて、政治改革などを言及したことからして、大統領府が内部的に過去の政権と与野党をひっくるめて、今回の事件の性格を『政界の不道徳な慣行』のせいで生じたものとしようとする戦略を立てたようだ」と懸念を示した。

植物状態の首相体制で大統領は海外歴訪へ...セウォル号1周年の出国も「やむを得ないこと」

 朴大統領は、セウォル号1周年を迎える日に出国することについても、「経済再生のため」だとし、1周年当日の出国に対する批判世論には耳を傾けなかった。朴大統領は同日の会議で「明日126人の最大規模の経済使節団と一緒に中南米歴訪に出かける。やむなく明日出国するが、私たち(韓国)の経済を活性化するために、国民や企業が渾身の力を尽くしている」と強調した。

 朴大統領は、李完九首相の進退に関連し、何も言及しなかった。検察の捜査が進行中なので、捜査結果が出るまでは李首相体制の内閣を維持するという意味で解釈される。大統領府の内部からも、今回の歴訪で12日間、大統領が不在の状況だという点を挙げ、李首相の辞任や職務停止等については非常に否定的な雰囲気だ。大統領府の関係者は、「まだ何も確認されてないのに、辞退しろというのは納得できない。責任ある態度でもなく、むしろ混乱をもたらすだけになるだろう」と述べた。

 このような事情があるため、今のところ国政における空白は避けられないものと見られる。大統領が外国にいる間、内閣を統括しなければならない首相が検察の調査を控えており、事実上の「植物状態の首相」に転落してしまった状況だ。またイ・ワング首相に続き、内閣序列3位のチェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部長官も主要20カ国・地域(G20)財務相会議に出席などで、この日出国して20日に帰国する予定だ。大統領と首相、経済副首相3人が適切に国政を取りまとめることができない「コントロールタワーがない」状況がしばらく続くのである。大統領府を指揮するイ・ビョンギ秘書室長も「ソンワンジョン・リスト」に名前が載っており、ほとんど身動きが取れない状態だ。

ソク・チンファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-15 20:19

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/687043.html?fr_=st1  訳H.J

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