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韓国で頻発する整形美容観光の医療事故、外国人の訴訟は極めて困難

登録:2015-04-16 00:15 修正:2015-04-16 11:13
 整形外国人4年間で5倍以上の増加
 言葉が通じず裁判書類準備など苦労が多く
 パッケージ商品利用時は問題がさらに複雑
 福祉部「医療紛争調整制度の利用を」
韓国の整形外科を訪れた外国人患者数 資料:韓国保健事業振興院//ハンギョレ新聞社

 中国人観光客ホ・イウォン氏(仮名・41)は2013年10月、韓国に住む中国人の友人の紹介でソウル・江南の有名皮膚科を訪ねた。 コラーゲンなどを注射し顔に立体感をつけるフィラー施術を受けるためだ。 600万ウォン(約65万円)を払って、額と鼻の周辺にフィラー注射4回を受けることにした。 3回目に目に痛みを感じた。 近くの病院で急いでフィラー除去手術を受け2週間入院した。だが、左目の視力を失った。 額と鼻の周辺の皮膚は真っ黒になった。 病院に言ったが、事故にともなう手術費と入院費の1500万ウォンを受け取っただけだった。ホ・イウォン氏は1月にソウル中央地裁に損害賠償訴訟を起こした。

 外国人の整形観光が増え医療事故も増加傾向にある。 1月にはソウル・清潭洞の整形外科で中国人女性が目と鼻、額に整形手術を受けて脳死状態に陥った。 ある中国マスコミは、中国整形美容協会の統計を引用して、昨年韓国で整形手術を受けた中国人は約5万6000人で、整形紛争と事故が毎年10~15%ずつ増加していると明らかにした。 韓国保健産業振興院の統計によれば、整形外科を訪れる外国人は2010年の4708人から2013年には2万4075人へ5倍以上増加した。

 だが、外国人が医療事故訴訟を行うことは容易でない。ホ・イウォン氏の訴訟を代理するパク・ウドン弁護士は、「言葉が通じないので、帰化した知人の助けを得て必要な訴訟書類などをもらっている。 通訳や弁護士事務所に頼めば多額の費用がかかる。 ホ・イウォン氏は事業家であり韓国に知人がいるために訴訟が可能だったものの、パッケージ観光で来た人ならばあきらめたかもしれない」と話した。

 裁判の進行も容易ではないという。 パク弁護士は「中国の公文書を逐一翻訳しなければならず、業務が二倍になる。 中国の税務署から受け取った所得資料を出したが、先月の裁判の時に病院側が信じられないとして中国政府に事実照会をすると言った。 訴訟がどれほど長びくかも分からない」ということだ。 医師出身のユン・ヘジョン弁護士は「両顎手術の副作用で、咀嚼できなくなった被害者が相談に来たことがある。 だが『中国で仕事をしなければならないので、韓国で訴訟を進めることは容易でない』と言った」と話した。

 医療紛争の結果は外国人だからといって変わりはない。 2011年の判例を見れば、有名整形外科で胸部拡大手術を受けた日本人は、脇に傷跡ができ保形物が破裂して日本で再手術を受けた。 裁判所は医療過失を認めた。 米国市民権者チョン氏(53)が2009年にフィラー注射を受けて右の鼻の穴がなくなったことに対しても、裁判所は医療過失を認めたが、「チョン氏が別の病院に早く行かなかった」という点などを理由に責任比率を50%に限定した。

 医療専門家たちは、外国人の場合は医療事故に一層几帳面に備えなければならないと言う。 医師出身のユン・テジュン弁護士は「整形ブローカーを介している場合には、事故が起きれば一層問題が複雑になる。 整形観光パッケージの金額と整形外科に払った金額差が大きく、賠償額を決めることが容易でない」と話した。

 韓国保健福祉部関係者は「外国人患者は通訳のいる韓国保健産業振興院や韓国医療紛争調整仲裁院を通じて問題提起できる」と話した。 医療紛争調整仲裁院の関係者は「3月から韓国観光公社と協約を結び、『医療事故が発生すれば医療紛争調整仲裁院を利用する』という署名に応じた医療機関を紹介している。 医療機関にも外国人には調整制度があることを知らせるようにお願いしている」と明らかにした。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/687020.html 韓国語原文入力:2015-04-15 22:25
訳J.S(1729字)

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