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「教育部の教科書修正命令は適法」としたソウル行政裁判決に教育界で反発高まる

登録:2015-04-03 23:01 修正:2015-04-04 07:37
 執筆陣「政権の好みに合わせて教科書を修正できる道開いた」反発
 今週末にでも会合開き控訴するかどうかなど議論
 学界・市民団体「歴史教育の中立性毀損」
検定審査を通過した高校韓国史教科書 //ハンギョレ新聞社

 検定審査を通過した高校韓国史教科書の内容を変更するよう命令した教育部の処分が適法とした裁判所の判決に対する反発が高まっている。教科書の執筆者たちが「自律性・専門性を侵害した」と反発している上に、歴史学者や市民団体などは「歴史教育の政治的中立性が危うくなった」と憂慮と批判を表明した。教科書の執筆者たちは、早ければ今週末に会合を開いて対応策を議論する予定だが、控訴を求める意見が多いことが分かった。

 ソウル行政裁判所行政5部(裁判長キム・ギョンラン)が教育部の教科書内容の変更要求は、「青少年の教育に好ましく、適切である」と判断したことをめぐり、「ミレエン教科書」の代表筆者であるハン・チョロ東国大学教授(歴史教育)は3日、 「政権の好みに合わせて教科書にいくらでも修正できる道を開いて検定制に弔鐘を鳴らした」と批判した。今回の判決について、歴史教科書の発行制度を“国定”から「検定」に変えた背景と趣旨を無視したという批判が多い理由だ。実際、教科書発行制度は国が特定の視点を強要することができる国定教科書制度の危険性があるため、教師、生徒、保護者、政府、教育庁など教育の利害関係者が牽制と均衡の下に検証する「教科書検定・認定制度」へと進化してきた。

 歴史教科書の理念偏向、親日、独裁美化などの問題をめぐり、これまで教科書の修正手順の善し悪しを判断した最高裁の判決はあったが、教科書の内容の妥当性を直接判断した裁判所の判決は、今回が初めてだ。

 今回の訴訟の発端である、教育部が修正を要求した教科書の内容は、「特定勢力の視点を強制する」などの反論と議論が激しかった事案である。例えば1987年にはソウル大学の学生パク・ジョンチョル氏拷問致死事件を紹介した教科書の小見出しである「机をポンと叩くと、ウッと言って死んだとは!」は、当時政府の最初の発表内容をそのまま引用したものなのに、裁判所は「教科書の品位と品格に欠ける」と判断した。ハン・チョロ教授は「複数の視点について議論し、検定審査も通過した内容なのに、裁判所が適切か不適切かを判断するのが果たして妥当なのか」と問いただした。

 今回の「教育部の教科書修正命令取消訴訟」の原告側である執筆陣共同代表チュ・ジノ祥明大学教授などの教科書6種の執筆者たちは、「週末にでも集まって判決文を検討しよう」とすぐに対応に乗り出し、今回の判決が最終確定されると、歴史教育に及ぼす悪影響が甚大だという理由で「控訴しなければならない」という意見が広がっていると伝えられている。

 参与連帯公益法センターは声明を出し、「今回の判決は、憲法で定められた教育の専門性、自主性及び政治的中立性に反する」と批判した。

イ・ボム、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-04-03 19:34

http://hani.co.kr/arti/society/schooling/685418.html  訳H.J

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