「歴史教育が画一化されれば
多様な思考能力が育たない…
力量ある歴史学者たちが
政権の干渉・統制を避け
教科書の執筆忌避が憂慮される」
「これが歴史学界の意見だ。韓国史教科書の国定化推進を中断せよ」
韓国の歴史学界を代表する7つの歴史学会が28日、韓国史教科書の国定化を推進している朴槿恵(パク・クネ)政権と教育部に向け‘歴史学界の意見’を明らかにした。 韓国史研究会・韓国歴史研究会・韓国古代史学会・韓国中世史学会・朝鮮時代史学会・韓国近現代史学会・韓国民族運動史学会は28日午前11時、ソウル南大門路(ナムデムンロ)5街の大宇学術財団ビルで記者会見を行い、こうした内容を骨子とする声明書を発表した。 保守と進歩が一堂に会し、韓国で通時代史(原始~近現代)と各時代史学会を代表するすべての韓国史学会がまとまって声を上げたわけだ。
歴史学者たちは「国民に正確な情報を提供し、消耗的葛藤にまきこまれないようにするために学界の見解をできるだけ早く明らかにすることが必要だった」と声明の背景を説明した。 教育部が26日に世論を取りまとめるとして「韓国史教科書発行体制改善案用意のための討論会」を開き、国定教科書転換の歩みを本格化したことに対する学界の答えだ。
歴史学界は声明で「韓国史教科書の国定制度は1974年に維新政権によって解放以後初めて導入・施行され、歴史学界と歴史教育界はもちろん一般国民の批判と反対に直面し2007年の教育課程改正の時に完全に廃止された。ところが教育部が検定制導入から7年ぶりにこれを元に戻そうとしている」と批判した。
歴史学界は国定化に反対する理由として、何よりも歴史教育が画一化されれば多様で創意的な思考能力を持つ市民が育たないという点を挙げた。また、力量のある歴史学者たちが政権の過度な干渉と統制を嫌って、教科書の執筆を忌避し、国定教科書の質の下落が避けられないと憂慮した。政権次元の干渉と統制が容易で、歴史教育を巡る政治・社会的対立と葛藤が増幅される危険も挙げた。
これに対し歴史学界は、国定化の試みを中断すると共に、信望ある歴史学界人士による韓国史教科書検定制改善委員会を構成するよう教育部に要求した。
チョン・ヨンテ韓国歴史研究会長(カトリック大学教授)は「韓国史教科書の国定化は理念を別にして創造経済と自由民主主義を指向する朴槿恵政権にも相応しくない制度だ。ファン・ウヨ長官が合理的に判断するならば、絶対にしないだろうと見る」と話した。チョン会長は「教学社版韓国史教科書事態の時、不必要な社会的費用をとても多く支払った。 国定化論議が誤った理念論争や政治・社会的葛藤に広がらないよう、正確な情報とバランスの取れた見解を伝えることが、国民と政府と教育界のための学界の道理」と付け加えた。
チョン・ジョンユン記者 ggum@hani.co.kr