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安倍首相、主語省いたまま「慰安婦は人身売買犠牲者」

登録:2015-03-30 07:13 修正:2015-03-30 07:40
米ワシントン・ポスト紙とのインタビューで日本政府の責任を回避
安倍晋三首相が東京で開かれた自民党の例年大会に参加して演説している様子。グラフィック//ハンギョレ新聞社

 強制性は初めて認定
 外交部「本質を隠している」と批判

 安倍晋三日本首相が第2次世界大戦当時の日本軍慰安婦を「人身売買の犠牲者」と犯罪被害者として表現しておきながら、誰の犯罪であったか明らかにせず問題になっている。当時、日本軍の指示で慰安所運営を任された民間業者に責任を転嫁することにより、日本政府の究極的責任を回避しようとする見せかけの“手口”ではないのかとの指摘もされる。

 安倍首相は27日、米ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、デビッド・イグナチウス氏とのインタビューで「人身売買で酷いめに遭い、推し量ることもできない苦痛と言葉では言い尽くせない痛みを体験した人たちを思うと胸が痛む」と述べた。同紙は安倍首相が日本語で話した「人身売買」という表現を英語で「ヒューマン・トラフィキング(human trafficking)」と訳して載せた。

 読売新聞は「人身売買という日本語は両親や民間業者による売買を連想させる単語」である一方、「英語のヒューマン・トラフィキングは強制連行も含む用語であり、軍隊慰安婦問題に対する米国務省の公式見解で使われている」と指摘した。さらに「首相はこうしたニュアンスの差を念頭に置き、米国政府と同じ用語になる“人身売買”という言葉を使ったという」と伝えた。 安倍首相は日本政府の強制動員の責任を希薄にさせる日本語を使いながら、英語では本音を隠せるよう意図的に単語を選択したとの分析だ。

 安倍首相が人身売買の主体について全く言及しなかった点も、同じ脈絡から議論を呼んでいる。慰安婦問題に対する日本政府の責任を否定してきた既存の立場を巧妙に強調したとみられるためだ。韓国外交部は28日、「(安倍総理の言及が)慰安婦問題の責任を民間業者に転嫁し、日本政府の関与と責任を否定しようとする意図があったとすれば、これは慰安婦問題の本質を隠そうとするものとして被害者の方々や我が政府、国際社会から決して受け入れられることはできない」と明らかにした。さらに「日本政府が日本軍慰安婦被害者問題の責任を認めることが問題解決の第一歩」と繰り返し強調した。

 安倍首相はまた「歴史上多くの戦争が起こされ、そこで女性たちの人権が侵害された」と述べた。日本だけでなく他の国々もこうした犯罪を犯したのに、なぜ日本だけが非難されねばならないのかと抗弁しているかのようだ。ただし、安倍首相は「安倍内閣は(慰安婦問題で日本軍の責任と強制性を認めた) 1993年の河野談話を再検証しないという立場を明確にしてきた」と付け加えた。

 米議会は来月29日、上下両院合同演説で安倍首相を招請し、過去の問題と関連して前向きな態度を明らかにすることを要請していることが分かった。

キム・ウエヒョン記者、ワシントン/パク・ヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.29 21:18

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/684456.html?_fr=mt5 訳Y.B

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